FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで3月26日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、三指数全てで反発する展開となった。欧州での新型コロナウイルス感染拡大への懸念から売りが先行した。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が米公共ラジオ放送NPRのインタビューで、国債など資産購入について『我々の目標に向けて大幅な進展がみられたら購入額を徐々に縮小する』などと発言すると、市場では『量的緩和の縮小を検討し始めた』と受け止められ、一時340ドル超下落した。ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢になった。バイデン米大統領が『就任100日までに米国内で2億回の新型コロナワクチン接種を目指す』と述べると、感染拡大が抑えられるとの期待から景気敏感株に買いが集まり、一時250ドル超上げた。ただ、ハイテク株は7年債入札結果が前回に続き低調にとどまり長期金利が上昇に転じたため小幅高にとどまった。一方米長期金利は、米国株相場の持ち直しに伴う売りが出たほか、低調な7年債入札が相場の重石となった。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数ともかなり割高感が残っており、リスク回避の材料が出ると下落しやすい。

 

感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬の投与が世界的に普及するなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を押し上げている。ただ、米長期金利の上昇が止まらないことから、市場に警戒感が強まっている。米FRBが長期金利の上昇に懸念を示すまでは上昇基調が続く可能性があり、株価の下押し要因となりやすい。VIX指数は21.20から19.81へ低下した。VIX指数が20割れまで低下してきたことで、安定基調になるか注視される。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.307%

・直近イールドスプレッド縮小:19/4/25-▲3.048%、20/09/1‐▲2.867%

                20/10/12-▲2.847%、21/1/11-▲2.611%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・3月24日:▲2.745%⇒3月25日:予想▲2.709%(前日比で縮小:割高)

 

3月25日のNYダウは反発したうえ、米長期金利が上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲3.307%から▲0.598%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.517%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.393%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.832%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.308%下回った。NYダウは、パウエルFRB議長が将来のテーパリングに言及したことで下落してスタートしたが、空運、クルーズなどの経済活動再開銘柄が買い直され主要3指数がそろって上昇した。NYダウは348ドル安まで下落したが、取引終盤に252ドル高まで上昇し、199.42ドル高(+0.62%)と3日ぶりに反発して終了した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.772%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・3月24日:▲2.672%⇒3月25日:予想▲2.640%(前日比で縮小:割高)

 

S&P500は反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.772%から▲0.132%と平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.229%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.362%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.539%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.859%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.582%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.788%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、20/12/4-1.351%

              21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・3月24日:▲1.325%⇒3月25日予想▲1.312%(前日比で縮小:割高)

 

NASDAQは反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.788%から▲0.476%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.867%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲1.071%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.186%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.491%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.782%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が上昇したうえ、株価も反発したことで縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.3%台前半まで縮小して推移している。そのため、割高感が続いていることから、ネガティブなニュースが出ると引き続き下落しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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