FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで3月1日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、NYダウとS&P500指数は下落する一方で、ナスダック総合指数は反発する展開になった。米長期金利上昇への警戒から、寄り付き後下落した。月末でヘッジファンドなどが損失確定のための持ち高解消に動いたなどとの憶測も重しとなり、NYダウは終日軟調推移した。前日に発表した2022年1月期通期の1株利益見通しが予想を下回ったセールスフォース・ドットコムが6%超の急落となり、相場を押し下げた。ゴールドマン・サックスやキャタピラーなど景気敏感株にも売りが出たほか、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)などディフェンシブ株にも売りが集まった。原油価格の下落を背景にシェブロンなど石油株も安かった。ただ、米国債相場が行き過ぎ感などから反発し、金利が低下に転じたため足元で大きく下げていたアップルやマイクロソフトなどを中心にハイテク株が買い戻され、ナスダック総合指数は概ねプラス圏で推移した。一方米長期金利は、前日に急落した反動で短期的な戻りを期待した買い(利回りは低下)が入ったほか、市場では『月末を迎えて、機関投資家が保有する債券の平均残存年限を維持するための買いを入れた』との指摘があった。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数ともかなり割高感が残っており、リスク回避の材料が出ると下落しやすい。

 

感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬の投与で有効性が実証されるなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。また、新型コロナウイルス感染『第3波』が懸念されている。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を押し上げている。そのため、期待感が薄れるような事態となると、再び下値模索の動きとなりやすい。VIX指数は28.89から27.95へわずかに低下した。再びVIX指数がえ27後半で推移していることで不安定な値動きが継続しやすい。20を割れるまでは不安定な動きが継続する。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.311%

・直近イールドスプレッド縮小:19/4/25-▲3.048%、20/09/1‐▲2.867%

                20/10/12-▲2.847%、21/1/11-▲2.611%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・2月25日:▲2.847%⇒2月26日:予想▲3.033%(前日比で拡大:割安)

 

2月26日のNYダウは下落したうえ、米長期金利も大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で大幅拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲3.311%から▲0.278%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.193%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.069%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.508%下回った。20年3月23日の6.017%から▲2.984%下回った。NYダウは、長期金利の上昇が一服したことで、今週大きく下落した主力ハイテク株が上昇した一方、エネルギー、金融などの景気敏感株が下落した。NYダウは朝方にわずかにプラス圏で推移したが、469.64ドル安(-1.50%)とほぼ一日の安値で終了した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.773%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・2月25日:▲2.743%⇒2月26日予想▲2.889%(前日比で拡大:割安)

 

S&P500は下落したうえ、米長期金利が大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲2.773%から+0.116%と平均値より上方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲0.980%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.113%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.290%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.610%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.333%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.791%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、20/12/4-1.351%

              21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・2月25日:▲1.286%⇒2月26日予想▲1.395%(前日比で拡大:割安)

 

NASDAQは反発した一方で、米長期金利が大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲1.791%から▲0.396%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.784%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.988%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.103%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.408%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.699%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が大幅低下した一方で、株価は反発したものの拡大した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQのイールドスプレッドは、▲1.3%台後半まで縮小して推移している。そのため、割高感が続いていることから、ネガティブなニュースが出ると引き続き下落しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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