FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで2月9日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、主要三指数が全て上昇する展開になった。米国での新型コロナウイルス感染者減少に伴って経済正常化への期待感が高まると買いが優勢となった。長期業績見通しや自社株買いが好感されたアムジェンが8%近く上昇し、1銘柄でダウ平均を124ドルほど押し上げた。米長期金利が上昇し利ざやが改善するとの見方から、JPモルガン・チェースなど金融株も堅調だった。一方、長期金利は、米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めが加速するとの観測が強まる中、この日も債券売り(利回りは上昇)が続いた。利回りは一時1.9686%前後と2019年11月以来の高水準を付けた。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利は大幅上昇した一方で、主要三指数も上昇したことでイールドスプレッドは三指数ともに縮小した。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。

 

世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。米国株のVIX指数は22.86から21.44へ低下した。20を上回っておりリスク回避の動きは継続している。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.277%

・直近イールドスプレッド縮小:20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%

                21/1/11-▲2.611%、21/10/21-▲2.758%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・2月7日:▲2.596%⇒2月8日:予想▲2.506%(前日比で縮小:割高)

 

2月8日のNYダウは続伸したうえ、米長期金利も大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.277%から▲0.771%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.720%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.596%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲2.035%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.511%下回った。NYダウは、アムジェンなど好決算発表銘柄や、長期金利の上昇を好感した金融株が上昇したほか、ハイテク・グロース株も総じて上昇した。前日にほぼ変わらずとなったNYダウは一時453ドル高まで上昇し、371.65ドル高(+1.06%)で終了した。アムジェンが7.8%高となったほか、アメリカン・エキスプレス、ユナイテッドヘルスが2-3%上昇。JPモルガン・チェース、アップル、マイクロソフトも1%超上昇しNYダウを押し上げた。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.779%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・2月7日:▲2.796%⇒2月8日:予想▲2.713%(前日比で縮小:割高)

 

S&P500は反発したうえ、米長期金利も大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.779%から▲0.066%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.156%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.289%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.466%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.786%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.509%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.766%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、21/1/11-1.066%

              21/2/16-1.144%、21/11/23-1.299%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・2月7日:▲1.517%⇒2月8日予想▲1.431%(前日比で縮小:割高)

 

NASDAQは大幅反発したうえ、米長期金利も大幅上昇したもののイールドスプレッドは前日比で大幅縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.766%から▲0.335%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.748%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.952%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.067%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.372%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.663%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が大幅上昇したうえ、株価も上昇したことで前日比で縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.4%台前半までスプレッド縮小推移していることで、割高感が強まった。2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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