FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで2月5日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、三指数全てで上昇する展開になった。週次新規失業保険申請件数が予想外に減少し労働市場の改善に期待が高まり寄り付きから上昇した。また、米追加経済対策の成立への期待が高まったことで投資家心理が改善した。金融など景気敏感株の一角が上昇し、相場を押し上げた。前週に混乱を巻き起こした個人投資家による投機的な売買が収束していることも買い安心につながった。引けにかけて上げ幅を拡大した。ナスダック総合指数は史上最高値を更新した。一方米長期金利は、米国株相場の上昇や良好な米経済指標を受けて、相対的に安全資産とされる米国債に売り(利回りは上昇)が先行した。ただ、明日の1月米雇用統計を前にポジション調整目的の買い(利回りは低下)が入ると持ち直した。 今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数ともかなり割高感が残っており、リスク回避の材料が出ると下落しやすい。

 

感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬の投与で有効性が実証されるなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。また、新型コロナウイルス感染『第3波』が懸念されている。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を押し上げている。そのため、期待感が薄れるような事態となると、再び下値模索の動きとなりやすい。VIX指数は22.91から21.77と低下した。VIX指数が21台後半で推移しているほか、株価の日中ボラティリティも高まっていることで、引き続き不安定な動きが続く。VIX指数が20を割れてくるようなら市場が安定化してきたことになる。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.313%

直近イールドスプレッド縮小:19/4/25-▲3.048%、20/09/1‐▲2.867%

                20/10/12-▲2.847%、21/1/11-▲2.611%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・2月3日:▲3.152%⇒2月4日:予想▲3.098%(前日比で縮小:割高)

 

2月4日のNYダウは続伸したうえ、米長期金利もわずかに上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲3.313%から▲0.215%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.128%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.004%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.443%下回った。20年3月23日の6.017%から▲2.919%下回った。NYダウは、新規失業保険申請件数が予想を下回る強い結果となり、翌日発表の1月雇用統計の上振れ期待が高まったほか、ペイパルやイーベイなどの決算発表銘柄の上昇、個人投資家の投機的な買いで急騰したゲームストップ株などが大きく下落したことも安心感につながった。ダウ平均は332.26ドル高(+1.08%)とほぼ1日の高値で終了した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.772%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・2月3日:▲2.937%⇒2月4日予想▲2.885%(前日比で縮小:割高)

 

S&P500は続伸したうえ、米長期金利もわずかに上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲2.772%から+0.113%と平均値より上方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲0.984%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.117%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.294%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.614%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.337%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.795%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、20/12/4-1.351%

              20/12/4-1.351%、21/1/11-1.066%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・2月3日:▲1.287%⇒2月4日予想▲1.250%(前日比で縮小:割高)

 

NASDAQは反発したうえ、米長期金利もわずかに上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.795%から▲0.545%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.929%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲1.133%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.248%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.553%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.844%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利がわずかに上昇したうえ、株価も上昇したことで縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQのイールドスプレッドは、▲1.2%台半まで縮小して推移している。そのため、割高感が続いていることから、ネガティブなニュースが出ると引き続き下落しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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