FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで2月4日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、主要三指数ともに全て大幅反落する展開になった。ソーシャル・ネット・ワーキング・プラットフォーム、フェイスブックを運営するメタ(FB)ほかハネウェル・インターナショナルやメルクの低調な決算に加えて、オミクロンの影響を受けた1月雇用統計の悪化を警戒し、寄り付き後は下落した。主要企業決算の強弱混合の結果や金利の上昇を受け投資家心理がさらに悪化し、引けにかけて下げ幅を拡大した。一方、長期金利は、欧州中央銀行(ECB)による年内利上げ観測の高まりを背景に欧州債相場が下落(利回りは上昇)すると、米国債にも売りが波及した。WTI原油先物価格が約7年4カ月ぶりの高値を付けたことも、インフレ懸念による債券売りを誘った。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利は上昇したものの、主要三指数が大幅反落したもことで前日比で拡大する展開になった。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。

 

世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。米国株のVIX指数は22.09から24.35へ上昇した。20を上回っており上昇基調が強まってきていることで、リスク回避の動きは増幅して継続している。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.277%

・直近イールドスプレッド縮小:20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%

                21/1/11-▲2.611%、21/10/21-▲2.758%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・2月2日:▲2.601%⇒2月3日:予想▲2.605%(前日比で拡大:割安)

 

2月3日のNYダウは大幅反落した一方で、米長期金利は上昇したもののイールドスプレッドは前日比でわずかに拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲3.277%から▲0.672%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.621%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.497%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.936%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.412%下回った。NYダウは、決算や弱い見通しが嫌気されたメタ・プラットフォームズ(フェイスブック)が26%安と急落し、相場全般の下げを主導した。NYダウも518.17ドル安(-1.45%)と、ほぼ一日の安値で終了した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.779%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・2月2日:▲2.795%⇒2月3日:予想▲2.849%(前日比で拡大:割安)

 

S&P500は大幅反落した一方で、米長期金利は上昇したもののイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.779%から+0.007%と平均値より下方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.020%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.153%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.330%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.650%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.373%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.766%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、21/1/11-1.066%

              21/2/16-1.144%、21/11/23-1.299%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・2月2日:▲1.565%⇒2月3日予想▲1.635%(前日比で拡大:割安)

 

NASDAQは大幅反落した一方で、米長期金利は上昇したもののイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲1.766%から▲0.131%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.544%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.748%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.863%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.168%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.459%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が上昇した一方で、株価が大幅反落したことで前日比で拡大した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.6%台半ばまでスプレッド縮小推移していることで、割高感は残っている。2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

カテゴリー: ホットニュース

カテゴリー

カレンダー

4月 2024
« 1月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ページの先頭へ