FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで2月28日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、主要三指数の全てが続伸する展開になった。ロシアのプーチン大統領がウクライナと高官レベルの協議に前向きだとの報道を受け投資家心理が改善し、寄り付き後は上昇した。停戦交渉への期待に加え、1月耐久財受注や個人消費支出(PCE)、2月ミシガン大学消費者信頼感指数確報値が予想を上回る経済指標の強い結果も手伝い、終日堅調に推移した。また、「米証券取引委員会(SEC)は新規制でヘッジファンドの株式ショートの情報開示拡大を求める」との報道も好感された。さらに引けにかけて、疾病管理予防センター(CDC)がマスク規制の緩和を発表すると、景気回復期待がさらに強まり、上げ幅を拡大した。一方、長期金利は、ロシアとウクライナの停戦交渉への期待から債券売り(利回りは上昇)が先行したものの、売り一巡後は買い戻し(利回りは低下)が入り持ち直した。ウクライナ情勢を巡る懸念は根強く、積極的に債券売りを進める状況にはならなかった。ロシアとウクライナの激しい武力衝突が報道され、停戦交渉実現への不透明感も意識された。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利がわずかに低下した一方で、主要三指数とも反発したことで、イールドスプレッドは三指数で縮小すした。まちまちとなった。S&P500指数は3.0%台を再び下回ったことで、割安感はやや後退している。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。

 

世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。また、ウクライナ情勢の緊迫化が続くなか地政学リスクから株価がが売られやすい。米国株のVIX指数は30.32から27.59へ低下した。しかし、VIX指数が20台後半で推移していることで、ボラティリティの高い相場が継続しやすい。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.274%

・直近イールドスプレッド縮小:20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%

                21/1/11-▲2.611%、21/10/21-▲2.758%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・2月24日:▲2.766%⇒2月25日:予想▲2.652%(前日比で縮小:割高)

 

2月25日のNYダウは大幅続伸した一方で、米長期金利はわずかに低下したもののイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.274%から▲0.622%と平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.574%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.450%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.889%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.365%下回った。NYダウは、ロシアがウクライナとの停戦交渉のために、ベラルーシの首都ミンスクに代表団を送る準備ができていると報じられたことで、ウクライナ情勢を巡る過度な警戒感が後退した。前日に800ドル超の下落から反発し92ドル高で終えたNYダウは、834.92ドル高(+2.51%)と大幅続伸した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.780%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・2月24日:▲3.099%⇒2月25日:予想▲2.991%(前日比で縮小:割高)

 

S&P500は続伸した一方で、米長期金利がわずかに低下したもののイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.780%から+0.211%と平均値より下方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲0.878%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.011%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.188%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.508%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.231%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.764%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、21/1/11-1.066%

              21/2/16-1.144%、21/11/23-1.299%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・2月24日:▲1.518%⇒2月25日予想▲1.464%(前日比で縮小:割高)

 

NASDAQは大幅続伸した一方で、米長期金利はわずかに低下したもののイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.764%から▲0.300%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.715%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.919%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.034%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.339%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.630%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利はわずかに低下した一方で、株価が大幅続伸したことで前日比で縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.4%台半ばまでスプレッドは再び縮小してきた。そのため、2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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