FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで2月25日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、主要三指数の全てが反発する展開になった。ロシアによるウクライナ軍事侵攻を受け投資家心理が悪化し、アジア、欧州市場からの流れを継ぎ、寄り付き後は大幅安となり、一時850ドル超下落した。その後、バイデン大統領が発表した対ロ制裁第2弾はプーチン大統領個人を対象とした制裁やSWIFTシステム、エネルギー関連の制裁が含まれず、厳しいものにならず、売り一巡後はハイテク株に押し目買いなどが入り、急速に持ち直した。引けにかけて下げを消し、プラスに転じた。一方、長期金利は、ロシアがウクライナへの本格的な軍事侵攻を開始したことを受けて、投資家のリスク回避姿勢が強まり、相対的に安全資産とされる米国債に買い(利回りは低下)が集まった。ただ、大幅安で始まった米国株が持ち直すと急速に伸び悩んだ。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利が低下した一方で、主要三指数とも反発したことで、イールドスプレッドは三指数でまちまちとなった。NYダウは拡大したもののS&P500指数とナスダック総合指数は縮小する展開になった。S&P500指数は3.0%台を回復してきており、割高感はやや後退している。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。

 

世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。また、ウクライナ情勢の緊迫化が続くなか地政学リスクから株価がが売られやすい。米国株のVIX指数は31.02から30.32へ低下した。しかし、VIX指数が30台で推移していることで、ボラティリティの高い相場が継続しやすい。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.274%

・直近イールドスプレッド縮小:20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%

                21/1/11-▲2.611%、21/10/21-▲2.758%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・2月23日:▲2.798%⇒2月24日:予想▲2.811%(前日比で拡大:割安)

 

2月24日のNYダウは小幅反転した一方で、米長期金利が低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲3.274%から▲0.463%と平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.415%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.291%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.730%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.206%下回った。NYダウは、ロシアがウクライナに侵攻したことで急落してスタートしたものの、売り一巡後は足もとで大きく下落したハイテク株を中心に買い戻しが優勢となった。NYダウは朝方に859ドル安まで下落後、92.07ドル高(+0.28%)と6日ぶりに反発して終了した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.780%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・2月23日:▲3.140%⇒2月24日:予想▲3.092%(前日比で縮小:割高)

 

S&P500は反発した一方で、米長期金利は低下したもののイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.780%から+0.312%と平均値より下方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲0.777%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲0.910%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.087%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.407%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.130%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.764%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、21/1/11-1.066%

              21/2/16-1.144%、21/11/23-1.299%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・2月23日:▲1.612%⇒2月24日予想▲1.521%(前日比で縮小:割高)

 

NASDAQは大幅反発した一方で、米長期金利は低下したもののイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.764%から▲0.243%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.658%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.862%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.977%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.282%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.573%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利は低下した一方で、株価が大幅反発したことで前日比で縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.5%台前半までスプレッドは再び縮小してきた。そのため、2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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