FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで2月14日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、主要三指数が全てで大幅続落する展開になった。数人の連邦準備制度理事会(FRB)高官が大幅な利上げを支持しない考えを示したため、寄り付き後は上昇した。その後、発表された2月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値が予想を下回ったため景気回復懸念に下落に転じた。さらに、米国政府が早くて今週末にもロシアがウクライナ侵攻に踏み切る可能性を警告したため警戒感から売りが加速し、終日軟調に推移した。一時620ドル超下落する場面があった。一方、長期金利は、インフレ加速を背景に米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐとの見方から債券売り(利回りは上昇)が先行し、利回りは一時2.0609%前後と2019年7月以来の高水準を付けた。ただ、『ロシアが来週にもウクライナに侵攻する可能性がある』との報道が伝わると、相対的に安全資産とされる米国債に買いが入り一転上昇(利回りは低下)した。 今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利は大幅低下したうえ、主要三指数とも大幅続落したことで、イールドスプレッドは三指数ともに大幅拡大した。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。

 

世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。米国株のVIX指数は23.91から27.36へ急上昇した。20台後半まで上昇してきたことで、相場に下押しバイアスが強まってきた。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.276%

・直近イールドスプレッド縮小:20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%

                21/1/11-▲2.611%、21/10/21-▲2.758%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・2月10日:▲2.472%⇒2月11日:予想▲2.630%(前日比で拡大:割安)

 

2月11日のNYダウは大幅続落したうえ、米長期金利も大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で大幅拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲3.276%から▲0.646%と平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.596%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.472%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.911%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.387%下回った。NYダウは、中盤までほぼ横ばいで推移したものの、ウクライナを巡る地政学リスクを背景に原油価格が急伸したことや、ホワイトハウスのサリバン米大統領補佐官がオリンピック開催中にロシアがウクライナに侵攻する可能性があるとし、ウクライナに滞在する米国人の退避を促したことでリスク回避が強まった。NYダウは朝方に189ドル高まで上昇したが、終盤に621ドル安まで下落し、503.53ドル安(-1.43%)で終了した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.779%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・2月10日:▲2.711%⇒2月11日:予想▲2.896%(前日比で拡大:割安)

 

S&P500は大幅続落うえ、米長期金利も大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で大幅拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.779%から+0.117%と平均値より下方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲0.973%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.106%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.283%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.603%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.326%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.765%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、21/1/11-1.066%

              21/2/16-1.144%、21/11/23-1.299%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・2月10日:▲1.386%⇒2月11日予想▲1.577%(前日比で拡大:割安)

 

NASDAQは大幅続落したうえ、米長期金利も大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で大幅拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲1.765%から▲0.188%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.602%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.806%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.921%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.226%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.517%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利は大幅低下したうえ、株価も大幅続落したことで前日比で大幅に拡大した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.5%台後半までスプレッドは拡大推移したが、2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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