FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで12月9日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、三指数とも大幅上昇したうえ、米長期金利も上昇したことで、イールドスプレッドは三指数ともに大幅縮小した。三指数ともやや割高感が出始めている。過3指数ともに高水準で推移していたものの、米長期金利が以前に比べて低下していたことで過熱感が抑えられていた。しかし、このところの米長期金利上昇によって、過熱感が出始めてきている。また、米長期金利は1.8%台に再び上昇しており、今後米長期金利が低下するのか、上昇するのか重要なポイントとなる。

 

NYダウは、25日SMAの27,783ドルがレジスタンスして意識され上値が抑えられていたが、一気に上抜けた。また、5日SMAの27,726ドルや10日SMAの27,891ドルも上抜けたことで、再び上昇基調を回復した。ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)では、%Dがやや上向きとなってきており、Slow%Dを上抜け寸前となっている。そのため、テクニカル的には、下落基調から、一転して上昇基調へと転換した。今後も長期金利の動向次第で米国株の割高・割安感が意識されるようになる。NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。割高になると米国株を売って、安全資産である債券などに資金がシフトされやすくなり、米国株の下落調整しやすい地合いとなる。一方で過剰に売り込まれるようなら、米長期金利の低下にともなって一気に割安感が出る。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲4.269%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/6/3-▲4.038%、

               19/8/5-▲4.102%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・12月5日:▲3.382%⇒12月6日予想▲3.288%

 

12月6日のNYダウは上昇した一方で、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲4.269%から▲0.981%と平均値よりかい離していることで割高になっている。18年12月3日の天井▲3.069%まで▲0.219%に接近してきた。19年4月25日の天井3.048%まで▲0.240%に接近してきた。

 

NYダウが上昇したことで株式益利回りは低下した。さらに、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で大幅に縮小した。米国債券に対してNYダウが前日比で割高となった。前日比ではNYダウを買うよりも米国債を買う方が良いことになる。中国政府が『米国産の大豆や豚肉について追加関税の免除を継続する』と発表したことを受け、米中協議の進展期待が高まった。11月米雇用統計や12月米消費者態度指数(ミシガン大調べ)速報値が良好な内容となったことも投資家心理の改善につながり、一時350ドル超上げた。長期金利の上昇を受けて金融銘柄に幅広く買いが広がった。クドロー国家経済会議委員長が、米中貿易交渉について改めて第一段階の合意は間近との認識を示したことも好感され、終日堅調推移となった。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲3.602%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、19/4/25-▲2.966%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/6/3-▲3.881%、

                19/8/5-▲4.002%、19/8月15日-4.179%

・12月5日:▲3.337%⇒12月6日予想▲3.256%

 

S&P500が上昇した一方で、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲3.602%から▲0.346%とかい離していることで割高になっている。また、18年12月3日の天井となった▲2.731%まで▲0.525%に接近した。19年4月25日の天井となった2.966%まで▲0.290%に接近した。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲2.109%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、19/4/25-1.468%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/6/3-▲2.328%、

              19/8/5-▲2.383%、 19/8/15-▲2.498%

・12月5日:▲1.779%⇒12月6日予想▲1.711%

 

NASDAQが上昇した一方で、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドが前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲2.109%から▲0.398%と平均値より縮小した。また、18年12月3日の天井となった▲1.198%まで▲0.513%に接近した。19年4月25日の天井となった▲1.468%まで▲0.243%に接近した。

 

NASDAQが上昇一方で、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは1.70%台前半まで縮小してきている。NASDAQはハイテク関連銘柄が多く米中貿易摩擦の影響が大きく、三指数の中で上下に振れるボラティリティが最も高くなっている。特に米中通商協議の行方に左右されやすく、報道に振れやすい地合いとなっている。

 

三指数のイールドスプレッドは、指数が上昇したうえ、米長期金利も上昇したことで三指数は連日縮小した。米国株は史上最高値近辺に推移しているうえ、米長期金利も上昇してきたことで、やや割高感を感じるようになってきた。米長期金利がもう一段上昇すると、一気に米国株に割高感が出てくるので、今後の米長期金利の動向には注意が必要となる。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

カテゴリー: ホットニュース

カテゴリー

カレンダー

4月 2024
« 1月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ページの先頭へ