FITS エコノミックレポート

★12月5日（水）はブッシュ元大統領の追悼式のため、米国株式市場は休場となる。

★12月3日（金）の米国3市場は、NYダウ:287.97ドル高、S&P500:30.20ポイント高、NASDQ総合:110.98ポイント高となり、全ての指数が上昇した。一方で米長期金利が2.970％と前日2.992%から金利は低下したが、12月3日付けイールドスプレッドは、NYダウ:▲3.069％、S&P500:▲2.731％、NASDAQ:▲1.198％のイールドスプレッドは縮小（米国10年債金利に対して米国株は割高）となった。

3日（月）の米国株式市場は、前週末の米中首脳会談で、米国が中国への追加関税を90日間猶予することで合意した。投資家のリスク選好の意欲が高まり、買い戻しの動きも広がり終日上昇した。キャタピラーやボーイングなど中国向け売上比率が高い銘柄が買われたほか、アップルやマイクロソフトなどハイテク株が堅調だった。VIX指数は18.07から16.44へ低下した。

12月4日（火）の米国3市場は、NYダウ:799.36ドル安、S&P500:90.31ポイント安、NASDAQ:283.09ポイント安と全面安の展開となった。また、米長期金利は前日比低下（価格は上昇）の2.915％と3％割れが継続している。3日付けPERと株価から逆算して4日PER計算すると、NYダウ:16.05倍、S＆P500:16.97倍、NASDAQ:23.08倍と大幅低下した。このPERを基に4日付けのイールドスプレッドを算出すると、NYダウ:▲3.262％、S&P500:▲2.922％、NASDAQ:▲1.363％となる。

参考となるのは、10月3日の株価下落直前のピークでは、NYダウ:▲2.468％、S&P500:▲2.146％、NASDAQ:▲0.601％となる。一方で10月29日に底値となったNYダウ:▲3.115％、S&P500:2.865％、NASDAQ:▲1.333％である。

4日（火）の米国株は、米中の通商政策に対する姿勢に依然として大きな隔たりがある。また、債券市場でイールドカーブ（利回り曲線）のフラット化が進行した。そのため、米経済の成長減速を示唆している恐れがあるとの警戒感が浮上した。そのため、3指数とも下落幅を広げた。一方で、FRBの利上げの打ち止めが近いとの思惑や米国株が大幅下落したことで、米長期金利は低下した。3指数ともイールドスプレッドは拡大（米国10年債金利に対して米国株は割安）した。10月29日の反転した時のイールドスプレッドより拡大（米国10年債金利に対して米国株は割安）となった。12月4日（火）では、イールドスプレッドの割安感が増大した。米国3指数が大幅下落したことや、このところの米長期金利の低下が寄与しており、米国3指数は一気に割安圏となっている。

テクニカル的に見てみると、NYダウは、10月3日高値と11月8日高値を結んだトレンドラインがレジスタンスとなり下落基調となった。そして、ロウソク足では、大陰線となり3日の窓空けを埋める展開となった。ただ、各移動平均線を下抜けしたものの、辛うじて10日SMAの24,970ドルで下げ止まった。11月23日安値24,268ドルを下抜けすると、上値・下値を切り下げる展開となりNYダウが下落トレンド入りした可能性もある。

S&P500も、NYダウ同様に各移動平均線を下抜けしたが、10日SMAの2,701ポイント近辺で下げ止まる展開となっている。11月23日安値2,631ポイントを下抜けると上値・下値切り下げの展開となる。

さらに、NASDAQも10日SMAの7,147ポイント近辺で下げ止まる展開となっている。11月20日安値6,830ポイント下抜けると、他の指数同様に上値・下値を切り下げる展開となる。

3指数とも10日SMAが下げ止まりのポイントとなった。長期金利が低下した一方で、大幅な下落調整となりイールドスプレッドでは直近の相場で割安感が出てきた。そのため、一旦買い戻しの動きとなっても不思議ではない。市場では、米国の長短金利が縮小したことでアルゴリズムが作動して売り圧力が強まったとの声もある。本日はブッシュ元大統領の追悼式のため、米国株式市場が休場となる。そのため、一旦頭を冷やす時間が出来たことで、3指数に割安感が出始めていることから、6日は買戻しの動きとなりやすい。

※毎日イールドスプレッドを掲載していきますので、米国株式市場の買われ過ぎ･売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。