FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで12月6日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、三指数とも大幅上昇した一方で、米長期金利も上昇したことで、イールドスプレッドは三指数ともに大幅縮小した。三指数とも割高なほどは買われているわけではないものの、過去のイールドスプレッドと比較して割安感は払しょくされている。3指数ともに高水準で推移しているものの、米長期金利が以前に比べて低下していることから、過熱感は抑えられている。また、米長期金利は1.8%台に再び上昇しており、今後米長期金利が低下するのか、上昇するのか重要なポイントとなる。

 

NYダウは、連日25日SMAの27,744ドルがレジスタンスして意識され上値が抑えられている。また、ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)では、高値圏で%DがSlow%Dを下抜けして両線ともかい離幅を拡大して下向きとなっており下押しバイアスが強い。テクニカル的には、下落基調が継続しているので注意が必要となる。今後も長期金利の動向次第で米国株の割高・割安感が意識されるようになる。NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。割高になると米国株を売って、安全資産である債券などに資金がシフトされやすくなり、米国株の下落調整しやすい地合いとなる。一方で過剰に売り込まれるようなら、米長期金利の低下にともなって一気に割安感が出る。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲4.293%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/6/3-▲4.038%、

               19/8/5-▲4.102%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・12月4日:▲3.431%⇒12月5日予想▲3.390%

 

12月5日のNYダウは反発した一方で、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲4.293%から▲0.903%と平均値よりかい離していることで割高になっている。18年12月3日の天井▲3.069%まで▲0.321%に接近してきた。19年4月25日の天井3.048%まで▲0.342%に接近してきた。

 

NYダウが上昇したことで株式益利回りは低下した。さらに、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で大幅に縮小した。米国債券に対してNYダウが前日比で割高となった。前日比ではNYダウを買うよりも米国債を買う方が良いことになる。高く始まったあとマイナス圏に沈む場面もあったが、終盤持ち直した。市場では『米中貿易協議の行方を見極めたい投資家が多く、相場は方向感が出なかった』との指摘があった。15日に迫る対中制裁関税『第4弾』の発動を前に、米中が部分合意に至るかについては見方が分かれている。耐久消費財・アパレルやテクノロジー・ハード・機器が上昇する一方で小売やエネルギーが下落した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲3.621%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、19/4/25-▲2.966%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/6/3-▲3.881%、

                19/8/5-▲4.002%、19/8月15日-4.179%

・12月4日:▲3.374%⇒12月5日予想▲3.331%

 

S&P500が上昇した一方で、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲3.621%から▲0.290%とかい離していることで割高になっている。また、18年12月3日の天井となった▲2.731%まで▲0.600%に接近した。19年4月25日の天井となった2.966%まで▲0.365%に接近した。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲2.122%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、19/4/25-1.468%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/6/3-▲2.328%、

              19/8/5-▲2.383%、 19/8/15-▲2.498%

・12月4日:▲1.805%⇒12月5日予想▲1.769%

 

NASDAQが上昇した一方で、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドが前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲2.122%から▲0.353%と平均値より縮小した。また、18年12月3日の天井となった▲1.198%まで▲0.571%に接近した。19年4月25日の天井となった▲1.468%まで▲0.301%に接近した。

 

NASDAQが上昇一方で、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは1.80%台割れまで縮小した。NASDAQはハイテク関連銘柄が多く米中貿易摩擦の影響が大きく、三指数の中で上下に振れるボラティリティが最も高くなっている。特に米中通商協議の行方に左右されやすく、報道に振れやすい地合いとなっている。

 

三指数のイールドスプレッドは、指数が上昇したうえ、米長期金利も上昇したことで三指数は縮小した。米国株は史上最高値近辺に推移しているものの、米長期金利が低位にあることから、割高感を感じるまでは買われているわけではない。だだし、全般米国株への割安感は薄れてきている。割高・割安感がないということは見方を変えれば、上振れ・下振れしやすいとも言える。また、米長期金利が上昇すると、一気に米国株に割高感が出てくるので、今後の米長期金利の動向には注意が必要となる。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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