★NY株式市場では、三指数全て反落する展開となった。米議会下院は28日、米追加経済対策に対し、世帯への現金給付額を1人最大2000ドルに増額する法案を賛成多数で可決したものの、上院では多数派である共和党の反発が予想されるため積極的に上値を追う展開にはならなかった。マコネル上院院内総務(共和党)は同案の審議に入る方針を示したが、採決には進まなかった。そのため、失望感が広がり下落に転じた。一方米長期金利は、米追加経済対策の一環である世帯への現金給付額増額期待を背景に債券売り(利回りは上昇)が先行したものの、マコネル上院院内総務(共和党)が下院で可決された現金給付額を2000ドルに引き上げる案を阻止すると買い戻し(利回りは低下)が入り下げ幅を縮めた。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数ともかなり割高感が出ており、リスク回避の材料が出ると下落しやすい。
感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬の投与で有効性が実証されるなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。また、新型コロナウイルス感染『第3波』が懸念されている。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を押し上げている。そのため、期待感が薄れるような事態となると、再び下値模索の動きとなりやすい。VIX指数は21.70から23.08へ上昇した。VIX指数が21台半ばで推移しているほか、株価の日中ボラティリティも高まっていることで、引き続き不安定な動きが続く。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。
そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.318%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%
20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・12月28日:▲2.806%⇒12月28日:予想▲2.798%(前日比で縮小:割高)
12月29日のNYダウは小反落した一方で、米長期金利が上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲3.318%から▲0.520%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.428%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.304%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.743%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.219%下回った。追加経済対策の増額期待などで主要3指数がそろって史上最高値を更新したが、増額期待の後退や欧米でのコロナ感染拡大などが嫌気され反落した。ダウ平均は184ドル高まで上昇後、129ドル安まで反落したが68.30ドルで終了した。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.774%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、20/08/27-▲2.677%
20/10/12-▲2.664%、20/12/08-▲2.666%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%
20/3/23-▲6.222%
・12月28日:▲2.589%⇒12月30日予想▲2.579%(前日比で縮小:割高)
S&P500が反落した一方で、米長期金利が上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲2.774%から▲0.195%と平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.290%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.423%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.600%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.920%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.643%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.801%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、20/10/22-▲1.438%
20/12/4-1.351%、20/12/8-1.383%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・12月28日:▲1.317%⇒12月29日予想▲1.308%(前日比で縮小:割高)
NASDAQは反落した一方で、米長期金利が上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.801%から▲0.493%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.871%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲1.075%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.190%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.495%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.786%下回った。
NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が上昇した一方で、株価は反落したものの縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQのイールドスプレッドは、▲1.3%割れ寸前まで低下して推移している。そのため、割高感が続いていることから、ネガティブなニュースが出ると引き続き下落しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。
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