FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで12月3日の米国株市場を先取り!

★NY株式市場では、三指数ともに下落したものの、米長期金利が上昇したことで、イールドスプレッドは三指数ではわずかに拡大または変わらずとどまった。三指数とも割高なほどは買われているわけではないものの、過去のイールドスプレッドと比較して割安感は薄れてきている。3指数ともに史上最高値を更新したものの、米長期金利が以前に比べて低下していることから、過熱感は抑えられている。ただし、米長期金利は再び1.8%台まで上昇してきていることから、米長期金利の動向が重要なポイントとなる。

 

NYダウは、5日SMAの28,037ドルと10日SMAの27,962ドルを一気に下抜けした。そのため、短期的には下落調整の動きになりやすい。ただ、25日SMAの27,685ドルがサポートラインとして意識される。また、ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)では、高値圏で%DがSlow%Dを下抜けしており下落の兆しとなっている。今後も長期金利の動向次第で上米国株の割高感が意識されるようになる。NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。割高になると米国株を売って、安全資産である債券などに資金がシフトされやすくなり、米国株の下落調整しやすい地合いとなる。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲4.265%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/6/3-▲4.038%、

               19/8/5-▲4.102%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・11月29日:▲3.375%⇒12月2日予想▲3.385%

 

12月2日のNYダウは下落したものの、米長期金利が上昇したことでイールドスプレッドは前日比でわずかに拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲4.265%から▲0.880%と平均値よりかい離していることで割高になっている。18年12月3日の天井▲3.069%まで▲0.316%に接近してきた。19年4月25日の天井3.048%まで▲0.337%に接近してきた。

 

NYダウが下落したことで株式益利回りは上昇した。一方で、米長期金利が上昇したことでイールドスプレッドは前日比でわずかに拡大した程度だった。米国債券に対してNYダウが前日比で割安となった。前日比では米国債を買うよりもNYダウを買う方が良いことになる。11月米ISM製造業景気指数が予想を下回ったことで、米景気の先行き不透明感から売りが先行した。中国が米国での香港人権・民主主義法案の成立を受け、報復措置を実施したほか、トランプ米大統領がブラジルやアルゼンチン産の鉄鋼などに追加関税を課す方針を示したことも投資家心理を冷やした。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲3.604%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、19/4/25-▲2.966%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/6/3-▲3.881%、

                19/8/5-▲4.002%、19/8月15日-4.179%

・11月29日:▲3.340%⇒12月2日予想▲3.344%

 

S&P500が下落したものの、米長期金利が上昇したことでイールドスプレッドは前日比でわずかに拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲3.604%から▲0.260%とかい離していることで割高になっている。また、18年12月3日の天井となった▲2.731%まで▲0.613%に接近した。19年4月25日の天井となった2.966%まで▲0.378%に接近した。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲2.110%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、19/4/25-1.468%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/6/3-▲2.328%、

              19/8/5-▲2.383%、 19/8/15-▲2.498%

・11月29日:▲1.781%⇒12月2日予想▲1.781%

 

NASDAQは下落したものの、米長期金利が上昇したことでイールドスプレッドが前日比で変わらず(米国10年債金利に対して米国株は変わらず)だった。平均値の▲2.110%から▲0.329%と平均値より縮小した。また、18年12月3日の天井となった▲1.198%まで▲0.583%に接近した。19年4月25日の天井となった▲1.468%まで▲0.313%に接近した。

 

NASDAQは割高にはなっていないが、イールドスプレッドも1.80%台割れとなっており、割安感も払しょくしている。NASDAQはハイテク関連銘柄が多く米中貿易摩擦の影響が大きく、三指数の中で上下に振れるボラティリティが最も高くなっている。特に米中通商協議の行方に左右されやすく、報道に振れやすい地合いとなっている。

 

三指数のイールドスプレッドは、指数は下落したものの、米長期金利が上昇したことで三指数はわずかに拡大又は変わらずとなった。米国株は史上最高値近辺に推移しているものの、米長期金利が低位にあることから、割高感を感じるまでは買われているわけではない。だだし、全般米国株への割安感は薄れてきている。割高・割安感がないということは見方を変えれば、上振れ・下振れしやすいとも言える。また、米長期金利が上昇すると、一気に米国株に割高感が出てくるので、今後の米長期金利の動向には注意が必要となる。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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