FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで12月28日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、主要三指数は全てで続伸する展開になった。クレジットカード会社、マスターカード(MA)のデータで今年の年末商戦の小売売上高が17年ぶり最大の伸びを示すかなり強い結果が明らかになり、寄り付き後は上昇した。さらに、新型コロナ、オミクロン変異株の入院リスクが他のコロナ株に比べ低いとの最新研究結果も手伝い景気回復が続くとの期待に終日堅調に推移した。多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数は史上最高値を更新した。一方、長期金利は、月末を控えて機関投資家による保有債券の残存年限を長期化するための買い(利回りは低下)が入った。 今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、株価の続伸した一方で、米長期金利は低下したもののイールドスプレッドは前日比で縮小して全般割高感が強まった。

 

世界的にオミクロン変異株の感染拡大が懸念されたほか、世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、株価にとっては、ネガティブな材料となりやすい。一方、米国株のVIX指数は18.63から17.96へ低下した。VIX指数が20台を下回ってきたことで、リスク回避の動きは後退してきている。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.283%

・直近イールドスプレッド縮小:20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%

                21/1/11-▲2.611%、21/10/21-▲2.758%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・12月23日:▲2.888%⇒12月27日:予想▲2.863%(前日比で縮小:割高)

 

12月27日のNYダウは続伸した一方で、米長期金利は低下したもののイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.283%から▲0.420%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.363%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.239%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.678%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.154%下回った。NYダウは、新型コロナウイルス・オミクロン株の感染拡大が続いたものの、サンタクロース・ラリー(年内最終5営業日+新年最初の2営業日)への期待が高まる中、先週末に複数の研究機関からのオミクロン株の重症化リスクが低いとの研究発表が引き続き好感された。3連休明けのNYダウは351.82ドル高(+0.98%)と4日続伸した。マイクロソフト、アップル、シェブロン、セールスフォースが2%超上昇したほか、ホーム・デポ、インテル、ナイキなども1%超上昇した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.779%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・12月23日:▲2.860%⇒12月27日:予想▲2.817%(前日比で縮小:割安)

 

S&P500が続伸した一方で、米長期金利は低下したもののイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.779%から+0.038%と平均値より下方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.052%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.185%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.362%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.682%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.405%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.769%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、21/1/11-1.066%

              21/2/16-1.144%、21/11/23-1.299%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・12月23日:▲1.478%⇒12月27日予想▲1.454%(前日比で縮小:割高)

 

NASDAQは続伸した一方で、米長期金利は低下したもののイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.769%から▲0.315%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.725%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.929%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.044%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.349%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.640%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利は低下した一方で、株価が続伸したことで前日比で縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.4%台半ばへスプレッドが縮小したことで割高感が強まった。2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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