FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで12月22日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、主要三指数は全てで大幅反発する展開になった。新型コロナのオミクロン変異株に対し、製薬会社が追加接種の有効性を確認したほか、いくつかの経口薬の当局の承認が近いとの報道で、オミクロン変異株感染が管理可能との安心感から寄り付き後は上昇した。バイデン大統領がパンデミック発生当初とは違うとし、経済封鎖を否定したため景気回復の鈍化懸念が後退し一段の上昇に繋がった。大統領はさらに、歳出法案に関しても何らかの進展の可能性を示唆したことも手伝い、終日堅調推移となった。NYダウは終盤に35400ドル割れを見た後に再浮上し高値圏で終えてきた他、ハイテク株の多いナスダック総合指数は2.40%高、S&P500は1.78%高で終えた。一方、長期金利は、ロシアからの供給懸念で欧州天然ガスが急騰し、欧州長期金利が軒並み上昇すると米長期金利も連れ高になった。米国株が大幅反発したことも安全資産とされる債券売り(利回りは上昇)につながり、利回りは一時1.49%台まで上昇した。一方、20年債入札が好調だったことで引けにかけてはやや買い戻し(利回りは低下)が入った。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、株価の反発と米長期金利が上昇したことで全般割高感が強まった。

 

世界的にオミクロン変異株の感染拡大が懸念されたほか、世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、株価にとっては、ネガティブな材料となりやすい。一方、米国株のVIX指数は22.87から21.00へ低下した。ただ、VIX指数が再び20台を上回っていることで、リスク回避の動きは継続している。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.283%

・直近イールドスプレッド縮小:20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%

                21/1/11-▲2.611%、21/10/21-▲2.758%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・12月20日:▲3.093%⇒12月21日:予想▲2.988%(前日比で縮小:割高)

 

12月21日のNYダウは大幅反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.283%から▲0.295%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.238%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.114%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.553%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.029%下回った。NYダウは、前日までの3日続落で押し目買いが強まったほか、バイデン米大統領が昨年3月のようなロックダウンに戻ることはないとしたことで、新型コロナウイルス・オミクロン株の感染拡大への過度な警戒感が和らいだ。前日までの3日間で約1000ドル下落したNYダウは、560.54ドル高(+1.60%)とほぼ一日の高値で終了。好決算を発表したナイキが6.15%高となったほか、ボーイングも5.86%上昇。このほか、アメリカン・エキスプレス、ビザ、ウォルト・ディズニーも3%超上昇した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.779%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・12月20日:▲3.081%⇒12月21日:予想▲2.971%(前日比で縮小:割安)

 

S&P500が大幅反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.779%から+0.192%と平均値より下方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲0.898%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.031%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.208%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.528%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.251%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.769%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、21/1/11-1.066%

              21/2/16-1.144%、21/11/23-1.299%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・12月20日:▲1.678%⇒12月21日予想▲1.573%(前日比で縮小:割高)

 

NASDAQは大幅反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.769%から▲0.196%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.606%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.810%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.925%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.230%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.521%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利は上昇したうえ、株価も大幅反発したことで前日比で縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.5%台後半へスプレッドが縮小したことで割高感が強まった。ただ、2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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