★NY株式市場では、三指数ともに上昇する展開となった。追加経済対策を巡り与野党が合意に近いと楽観的見方が強まったほか、モデルナの新型コロナワクチンの緊急使用に関し、米食品医薬品局(FDA)の諮問委員会の会合を控え勧告への期待に寄り付き後上昇した。しかし、週次失業保険申請者数が予想外に前週から増加し3カ月ぶりの高水準となったため労働市場が再び悪化し始めたとの警戒感から上げ幅を縮小した。引けにかけては、連邦準備制度理事会(FRB)が当面大規模緩和を継続する方針であることや追加財政支援への期待が支えとなり、堅調に推移し史上高値を更新した。一方米長期金利は、米金融緩和の長期化観測を背景に買い(利回りは低下)が先行したものの、そのあとは米国株相場の上昇を受けて売り(利回りは上昇)が優勢となり下げに転じた。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数ともかなり割高感が出ており、リスク回避の材料が出ると下落しやすい。
感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬の投与で有効性が実証されるなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。また、新型コロナウイルス感染『第3波』が懸念されている。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を押し上げている。そのため、期待感が薄れるような事態となると、再び下値模索の動きとなりやすい。VIX指数は22.50から21.93に低下した。VIX指数が20台を上回っているほか、株価の日中ボラティリティも高まっていることで、引き続き不安定な動きが続く。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。
そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.319%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%
20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・12月16日:▲2.903%⇒12月17日:予想▲2.864%(前日比で縮小:割高)
12月17日のNYダウが反発した一方で、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲3.319%から▲0.455%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.362%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.238%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.677%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.153%下回った。NYダウは、米追加経済対策の早期成立期待を背景に買いが先行した。FRBによる金融緩和の長期化観測も相場を下支えした。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.774%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、20/08/27-▲2.677%
20/10/12-▲2.664%、20/12/08-▲2.666%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%
20/3/23-▲6.222%
・12月16日:▲2.686%⇒12月16日予想▲2.645%(前日比で縮小:割高)
S&P500が続伸したうえ、米長期金利も上昇たことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲2.774%から▲0.129%と平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.224%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.357%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.534%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.854%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.577%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.802%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、20/10/22-▲1.438%
20/12/4-1.351%、20/12/8-1.383%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・12月16日:▲1.376%⇒12月17日予想▲1.337%(前日比で縮小:割高)
NASDAQは続伸したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.802%から▲0.465%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.842%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲1.046%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.161%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.466%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.757%下回った。
NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が上昇したうえ、株価も続伸したことで縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQのイールドスプレッドは、▲1.3%前半まで低下して推移している。そのため、割高感が続いていることから、ネガティブなニュースが出ると引き続き下落しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。
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