FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで12月16日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、三指数ともに上昇する展開となった。製薬会社ファイザーに続き、バイオ、モデルナ開発の新型コロナウイルスワクチンの安全性や有効性が食品医薬品局(FDA)により確認され緊急使用が今週中に許可されるとの期待に寄り付きから上昇した。その後、米追加経済対策を巡る与野党協議が進展するとの観測が広がり、買いが優勢となった。一方米長期金利は、米追加経済対策や新型コロナウイルスワクチン普及への期待から、相対的に安全資産とされる米国債に売りが出た。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数ともかなり割高感が出ており、リスク回避の材料が出ると下落しやすい。

 

感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬の投与で有効性が実証されるなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。また、新型コロナウイルス感染『第3波』が懸念されている。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を押し上げている。そのため、期待感が薄れるような事態となると、再び下値模索の動きとなりやすい。VIX指数は24.72から22.89へ低下した。VIX指数が20台を上回っているほか、株価の日中ボラティリティも高まっていることで、引き続き不安定な動きが続く。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.319%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%

                20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・12月14日:▲3.000%⇒12月15日:予想▲2.940%(前日比で縮小:割高)

 

12月15日のNYダウが反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲3.320%から▲0.380%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.286%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.062%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.601%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.077%下回った。新型コロナ対応の追加経済対策に関し、超党派議員らが、中小企業や失業者、ワクチン配布への資金支援を含む総額7480億ドルの法案と、企業の賠償免責や州・地方政府への支援を盛り込んだ1600億ドルの法案とに2分割して提示した。当初の想定に比べると規模は小さいものの、与野党の妥協につながるという期待感が高まっている。また、米製薬大手ファイザーに続く米国で二つ目の新型コロナワクチンとして、米モデルナのワクチンに週内にも緊急使用許可が出されるとの期待感も株高を支援した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.775%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、20/08/27-▲2.677%

               20/10/12-▲2.664%、20/12/08-▲2.666%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・12月14日:▲2.758%⇒12月15日予想▲2.695%(前日比で縮小:割高)

 

S&P500が反発したうえ、米長期金利も上昇たことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲2.775%から▲0.080%と平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.174%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.307%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.484%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.804%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.527%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.802%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、20/10/22-▲1.438%

              20/12/4-1.351%、20/12/8-1.383%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・12月14日:▲1.435%⇒12月15日予想▲1.389%(前日比で縮小:割高)

 

NASDAQは続伸したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.802%から▲0.413%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.790%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.994%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.109%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.414%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.705%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が上昇したうえ、株価も続伸したことで縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQのイールドスプレッドは、▲1.4%割れまで低下して推移している。そのため、割高感が続いていることから、ネガティブなニュースが出ると引き続き下落しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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