FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで12月14日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、主要三指数は全て反落する展開になった。新型コロナのオミクロン変異株を巡り英国で初の死者が報告され感染を抑制する規制強化も懸念されるなど、感染拡大で回復鈍化懸念が再燃し寄り付き後は下落した。また、連邦準備制度理事会(FRB)が今週開催する連邦公開市場委員会(FOMC)で緩和縮小ペースを加速する可能性も警戒され、終日軟調に推移した。一方、長期金利は、新型コロナウイルスの変異型『オミクロン株』の感染拡大を嫌気して株価が軟調に推移すると、相対的に安全資産とされる米国債に買い(利回りは低下)が入った。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、株価の反発と米長期金利が上昇したことで割高強まる結果となった。

 

世界的にオミクロン変異株の懸念が和らいできたほか、世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、株価にとっては、ネガティブな材料となりやすい。一方、米国株のVIX指数は18.69から20.31へ上昇した。VIX指数が再び20台を上回ってきたことで、リスク回避の動きが再び高まってきた。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.284%

・直近イールドスプレッド縮小:20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%

                21/1/11-▲2.611%、21/10/21-▲2.758%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・12月10日:▲2.870%⇒12月13日:予想▲2.980%(前日比で拡大:割安)

 

12月13日のNYダウは反落したうえ、米長期金利も大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.284%から▲0.304%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.246%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.122%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.561%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.037%下回った。NYダウは、新型コロナウイルス・オミクロン株への警戒感から空運などの経済活動再開銘柄に再び売りが強まったほか、14-15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を控え、テーパリング(資産購入の段階的縮小)ペースの加速への警戒感も相場の重石となった。先週4.02%高と5週ぶりに大幅反発したNYダウは、ほぼ横ばいでスタートしたものの、取引終盤に361ドル安まで下落し、320.04ドル安(-0.89%)で終了した。ボーイングが3.73%下落し、NYダウを50ドル押し下げたほか、ホーム・デポ、ダウ・インク、アメリカン・エキスプレスも2%超下落しNYダウを押し下げた。

 

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.779%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・12月10日:▲2.885%⇒12月13日:予想▲2.997%(前日比で拡大:割安)

 

S&P500が反落したうえ、米長期金利も大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.779%から+0.218%と平均値より下方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲0.872%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.005%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.182%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.502%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.225%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.769%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、21/1/11-1.066%

              21/2/16-1.144%、21/11/23-1.299%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・12月10日:▲1.498%⇒12月13日予想▲1.612%(前日比で縮小:割安)

 

NASDAQは反落したうえ、米長期金利も大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲1.769%から▲0.157%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.567%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.771%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.886%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.191%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.482%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が大幅低下したうえ、株価も反落したことで前日比で拡大した。ただ、イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.612%台へスプレッドは拡大したものの、2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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