FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで12月11日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、NYダウとS&P500指数は下落した一方で、NASDAQ指数は小幅上昇する展開となった。米新規失業保険申請件数が予想より弱い結果となったことで、景気回復が停滞するとの懸念が強まり寄り付き後下落した。もっとも、米食品医薬品局(FDA)が早ければ本日中にもコロナワクチンの緊急使用許可を認可するとの期待や、追加経済対策を巡ってムニューシン米財務長官やペロシ米下院議長から協議の進展を示唆する発言が伝わったため、寄付きでの売り一巡後は下げ渋る展開になった。原油先物相場の上昇を受けてシェブロンなどの石油株が買われ、相場を下支えした。一方米長期金利は、米30年債入札が好調な結果となったことを受け、需給悪化の懸念が和らいだことを手掛かりにした買い(利回りは低下)が入った。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数ともかなり割高感が出ており、リスク回避の材料が出ると下落しやすい。

 

感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬の投与が実施されるなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。また、新型コロナウイルス感染『第3波』が懸念されている。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を押し上げている。そのため、期待感が薄れるような事態となると、再び下値模索の動きとなりやすい。VIX指数は22.27から22.52へ上昇した。VIX指数が22台前半まで低下していることから、一時的なリスク回避の動きは後退してきた。しかし、株価の日中ボラティリティが高まっていることで、引き続き不安定な動きが続く。また、VIX指数がじり高になっていることにも注意が必要となる。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.320%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%

                20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・12月9日:▲2.939%⇒12月10日:予想▲2.982%(前日比で拡大:割安)

 

12月10日のNYダウが小幅続落したうえ、米長期金利はも大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲3.320%から▲0.338%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.244%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.120%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.559%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.035%下回った。NYダウは、新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、新規失業保険申請件数が予想以上に悪化したことや、年内の追加経済対策成立期期待が後退したことが重石となった。ただ、アップルがマイナス圏からプラス圏に浮上するなどハイテク株が総じて堅調となったほか、原油高を好感したエネルギー株の上昇も相場を支えた。NYダウ平均は192ドル安まで下落後、69.55ドル安(-0.23%)と続落して終了した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.775%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、20/08/27-▲2.677%

               20/10/12-▲2.664%、20/12/08-▲2.666%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・12月9日:▲2.675%⇒12月10日予想▲2.715%(前日比で拡大:割安)

 

S&P500が小幅続落したうえ、米長期金利も大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲2.775%から▲0.060%と平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.154%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.287%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.464%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.784%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.507%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.803%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、20/10/22-▲1.438%

              20/12/4-1.351%、20/12/8-1.383%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・12月9日:▲1.406%⇒12月10日予想▲1.427%(前日比で拡大:割安)

 

NASDAQは反騰した一方で、米長期金利が大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲1.803%から▲0.376%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.752%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.956%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.071%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.376%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.667%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が大幅低下した一方で、株価は小幅上昇したもののわずかに拡大した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQのイールドスプレッドは、▲1.4%台前半まで低下して推移している。そのため、割高感が続いていることから、ネガティブなニュースが出ると引き続き下落しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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