FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで11月9日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、NYダウとS&P500は小幅反落、NASDAQは小幅続伸する展開となった。全米で1日の新型ウイルス感染者数が過去最多に達したため寄り付きから下落した。米大統領選で民主党のバイデン前副大統領が勝利に近付き、米政治の不透明感が後退するとの見方が強まった。投資家のリスク志向が高まり買いが優勢となる場面もあった。ただ、足もとで相場上昇が続いたあとだけに、週末を控えた利益確定の売りが出ると小幅に下げて取引を終えた。市場では『バイデン氏の勝利は有力視されているが、結果が判明するまでは売買を見送るムードもあった』との声が聞かれた。また、ジョージア州上院の決選投票の可能性から民主党が政権、議会を掌握する可能性が依然残っていることも警戒された。一方米長期金利は、10月米雇用統計が予想以上に良好な内容となったことで、相対的に安全資産とされる米国債に売り(金利は上昇)が出た。このところ、米長期金利は上下に振れる展開から、日々のイールドスプレッドへの影響が強まっている。そのため、今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数ともかなり割高感が出ており、リスク回避の材料が出ると大幅下落しやすい。

 

感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬が開発されるなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。また、新型コロナウイルス感染『第2波』『第3波』が懸念されている。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を押し上げている。そのため、期待感が薄れるような事態となると、再び下値模索の動きとなりやすい。VIX指数は27.58から24.86へ低下した。VIX指数が20台後半で推移していることから、リスク回避の動きは継続している。株価の日中ボラティリティが高まっていることで、引き続き不安定な動きが続く。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.322%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%

                20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・11月5日:▲3.170%⇒11月6日:予想▲3.128%(前日比で縮小:割高)

 

11月6日のNYダウが小幅反落した一方で、米長期金利が大幅上昇したことからイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲3.322%から▲0.194%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.098%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲0.974%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.413%下回った。20年3月23日の6.017%から▲2.889%下回った。前日までの大幅高で週末を控えた利益確定売り圧力が高まる中、選挙結果を巡る不透明感や、新型コロナウイルスの新規感染者が過去最大を記録したことも重しとなった。一方、米10月雇用統計で失業率と非農業部門雇用者数が予想以上に改善したことは一定の下支え要因となった。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.775%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、19/04/25-▲2.966%

               20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・11月5日:▲2.895%⇒11月6日予想▲2.846%(前日比で縮小:割高)

 

S&P500が小幅反落した一方で、米長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲2.774%から+0.072%と平均値より上方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.023%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.156%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.333%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.653%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.376%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.806%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、19/4/25-1.468%

              20/10/12-▲1.450%、20/10/22-1.438%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・11月5日:▲1.623%⇒11月6日予想▲1.571%(前日比で縮小:割高)

 

NASDAQは小幅続伸した一方で、米長期金利も大幅上昇たことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.806%から▲0.235%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.608%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.812%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.927%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.232%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.523%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が大幅上昇うえ、株価が小幅続伸したことで縮小した。イールドスプレッドより半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい合いとなっている。NASDAQのイールドスプレッドは、▲1.5%台後半に低下して推移している。そのため、割高感が続いていることから、ネガティブなニュースが出ると引き続き下落しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

 

 

 

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