FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで11月5日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、三指数ともに大幅続伸する展開となった。3日に投開票された米大統領選は4日に入っても勝敗の行方が決まらず不透明感が漂っているものの、米大統領選と同時に実施された米議会上院選では共和党が多数派を占める現状が続く見通しとなった。市場では『政策に大きな転換はなさそうだ』との楽観的な見方が広がり、株式への買いが集まった。『バイデン氏優位』との見方が広がったことも買いを促し、NYダウは一時820ドル超上昇する場面があった。また、連邦公開市場委員会(FOMC)の開催を受け、連邦準備制度理事会(FRB)が当面、大規模緩和を維持するとの思惑やマコーネル上院院内総務が追加経済策を年内に取り組む姿勢を示したことも支援し終日堅調推移となった。一方米長期金利は、米大統領選と同時に実施された米議会上院選では、共和党が多数派を占める現状が続く見通しとなった。『ブルーウエーブ(大統領選と上下両院選で民主党がすべて勝利)』を見込み、大規模な財政出動による国債増発観測が強まっていただけに、前日までの取引を巻き戻す動きが優勢となった。このところ、米長期金利は上下に振れる展開から、日々のイールドスプレッドへの影響が強まっている。そのため、今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数ともかなり割高感が出ており、リスク回避の材料が出ると大幅下落しやすい。

 

感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬が開発されるなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。また、新型コロナウイルス感染『第2波』『第3波』が懸念されている。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を押し上げている。そのため、期待感が薄れるような事態となると、再び下値模索の動きとなりやすい。VIX指数は35.55から29.57へ低下した。VIX指数が30近辺で推移していることから、リスク回避の動きは継続している。株価の日中ボラティリティが高まっていることで、しばらくは不安定な動きが続く。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.322%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%

                20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・11月3日:▲3.224%⇒11月4日:予想▲3.300%(前日比で拡大:割安)

 

11月4日のNYダウが大幅続伸した一方で、米長期金利は大幅低下したことからイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲3.322%から▲0.022%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲0.926%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲0.802%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.241%下回った。20年3月23日の6.017%から▲2.717%下回った。米議会選では上院が現在過半数超えの共和党の優勢維持、下院は現在過半数超えの民主党の優勢維持の見通しにより、ネジレ議会の継続見通しが強まった。ネジレ議会が続くと、民主党が主張するキャピタルゲイン増税などの各種増税リスクや、原油生産生産の制限など環境規制の強化が後退するとの期待感が高まった。同時にネジレ議会が続くと、民主党が主張する大規模な財政出動が後退し、金利低下がハイテク株などの支援材料となった。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.775%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、19/04/25-▲2.966%

               20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・11月3日:▲2.893%⇒11月4日予想▲2.941%(前日比で拡大:割安)

 

S&P500が大幅続伸した一方で、米長期金利が大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲2.774%から+0.167%と平均値より上方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲0.928%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.061%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.238%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.558%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.281%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.806%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、19/4/25-1.468%

              20/10/12-▲1.450%、20/10/22-1.438%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・11月3日:▲1.650%⇒11月4日予想▲1.685%(前日比で拡大:割安)

 

NASDAQは大幅続伸した一方で、米長期金利は大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲1.806%から▲0.121%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.494%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.698%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.813%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.118%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.409%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が大幅低下した一方で、株価は大幅続伸したものの小幅拡大した。長期金利の低下がハイテク株への買いを促し、ナスダックが3.85%高と非常に強い動きを見せた。一時のイールドスプレッドより半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい合いとなっている。NASDAQのイールドスプレッドは、▲1.6%台後半に低下して推移している。そのため、割高感が続いていることから、ネガティブなニュースが出ると引き続き下落しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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