FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで11月26日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、三指数ともに上昇した一方で、米長期金利は低下したものの三指数の上昇率が高かったことから、イールドスプレッドは三指数ともに縮小する結果となった。三指数とも割高なほどは買われているわけではないものの、過去のイールドスプレッドと比較して割安感は薄れてきている。3指数ともに史上最高値を更新しているものの、米長期金利が以前に比べて低いことから、過熱感が抑えられている。米長期金利の動向が重要なポイントとなる。

 

NYダウは、5日SMAの27,893ドルと10日SMAの27,876ドルを回復したことで、再び上昇基調に戻った。ただ、ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)では、%D:76.33、Slow%D:80.10と高水準で、%DがSlow%Dを下抜けしてきていることから、下押しバイアスが強まる可能性もある。今後も長期金利の動向次第で上米国株の割高感が意識されるようになる。NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。割高になると米国株を売って、安全資産である債券などに資金がシフトされやすくなり、米国株の下落調整しやすい地合いとなる。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲4.318%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/6/3-▲4.038%、

               19/8/5-▲4.102%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・11月22日:▲3.480%⇒11月25日予想▲3.461%

 

11月25日はNYダウは上昇した一方で、長期金利は低下したもののNYダウの上昇率が高かったことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲4.318%から▲0.857%と平均値よりかい離していることで割高になっている。18年12月3日の天井▲3.069%まで▲0.392%に接近してきた。19年4月25日の天井3.048%まで▲0.413%に接近してきた。

 

NYダウが上昇たことで株式益利回りは低下した。一方で、米長期金利は低下したもののイールドスプレッドは前日比で縮小した。米国債券に対してNYダウが前日比で割高となった。前日比ではNYダウを買うよりも米国債券を買う方が良いことになる。米中貿易協議の焦点である知的財産権の保護で、中国が譲歩したと伝わると、米中協議の進展期待が高まった。アップルや3M、キャタピラーなど中国売上高比率が高い銘柄を中心に買いが集まり、引けにかけて上げ幅を広げた。また、大型買収も相次ぎ、終日堅調推移した。

 

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲3.641%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、19/4/25-▲2.966%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/6/3-▲3.881%、

                19/8/5-▲4.002%、19/8月15日-4.179%

・11月22日:▲3.415%⇒11月25日予想▲3.394%

 

S&P500が上昇した一方で、米長期金利は低下したもののS&P500の上昇率が高かったことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲3.642%から▲0.248%とかい離していることで割高になっている。また、18年12月3日の天井となった▲2.731%まで▲0.663%に接近した。19年4月25日の天井となった2.966%まで▲0.428%に接近した。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲2.146%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、19/4/25-1.468%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/6/3-▲2.328%、

              19/8/5-▲2.383%、 19/8/15-▲2.498%

・11月22日:▲1.854%⇒11月25日予想▲1.824%

 

NASDAQは上昇した一方で、米長期金利は低下したもののNASDAQの上昇率が高かったことでイールドスプレッドが前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲2.148%から▲0.324%と平均値より縮小した。また、18年12月3日の天井となった▲1.198%まで▲0.626%に接近した。19年4月25日の天井となった▲1.468%まで▲0.356%に接近した。

 

NASDAQは割高にはなっていないが、イールドスプレッドが未だに2.00%台割れとなっており、割安感も払しょくしている。NASDAQはハイテク関連銘柄が多く米中貿易摩擦の影響が大きく、三指数の中で上下に振れるボラティリティが最も高くなっている。特に米中通商協議の行方に左右されやすく、報道に振れやすい地合いとなっている。

 

三指数のイールドスプレッドは、指数が上昇した一方で、米長期金利は低下したものの三指数の上昇率が高かったことで三指数ともに縮小した。米国株は史上最高値近辺に推移しているものの、割高感を感じるまでは買われているわけではない。だだし、全般米国株への割安感は薄れてきている。割高・割安感がないということは見方を変えれば、上振れ・下振れしやすいとも言える。また、米長期金利が上昇すると、一気に米国株に割高感が出てくるので、今後の米長期金利の動向には注意が必要となる。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

 

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