FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで11月24日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、三指数全て反発する展開となった。10月シカゴ連銀全米活動指数が9月から上昇、11月製造業PMI速報値も予想外に10月から改善し2014年9月来で最高となったなった。また、アストラゼネカの新型コロナウイルスワクチンが臨床試験で好結果が出たと伝わったほか、米製薬ファイザーが開発中のワクチンの接種が来月11日にも始まる見通しとなった。ワクチン開発を巡る好材料が相次いだことで、経済活動正常化への期待が広がり買いが膨らんだ。 ハイテク株から景気循環株への買い替えが再燃した。引けにかけて、バイデン氏が次期財務長官にイエレン前FRB議長を指名すると報じられると大規模な財政策への期待に上げ幅を拡大した。一方米長期金利は、新型コロナウイルスのワクチン開発を巡る好材料が相次ぎ、経済活動正常化への期待が広がると、相対的に安全資産とされる米国債に売り(利回りは上昇)が出た。この日発表の米経済指標が軒並み良好な結果となったことも相場の重石となった。そのため、今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数ともかなり割高感が出ており、リスク回避の材料が出ると引き続き下落しやすい。

 

感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬が開発されるなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。また、新型コロナウイルス感染『第2波』『第3波』が懸念されている。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を押し上げている。そのため、期待感が薄れるような事態となると、再び下値模索の動きとなりやすい。VIX指数は23.70から22.66へ上昇した。VIX指数が22台半ばで推移していることから、リスク回避の動きは継続している。株価の日中ボラティリティが高まっていることで、引き続き不安定な動きが続く。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.321%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%

                20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・11月20日:▲3.174%⇒11月23日:予想▲3.095%(前日比で縮小:割高)

 

11月23日のNYダウが反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲3.321%から▲0.226%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.131%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.007%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.446%下回った。20年3月23日の6.017%から▲2.922%下回った。コロナ対応のワクチン開発期待が支援材料になった。英製薬アストラゼネカが23日、オックスフォード大学と共同開発する新型コロナウイルスのワクチンの臨床試験で、最大90%の有効性を確認したと発表した。米製薬ファイザーが開発中のワクチンの接種が、12月11日にも始まるとの見通しもリスク選好を後押しさせている。また、米国の経済指標では、最新11月のPMIで製造業、非製造業ともに改善した。米バイデン新政権での財務長官には、イエレン前FRB議長が有力との情報が浮上。FRBとの対話円滑化とFRBの金融緩和長期化期待、米議会と財務省の過度な対立懸念の緩和などが株高を後押しさせた。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.775%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、19/04/25-▲2.966%

               20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・11月20日:▲2.895%⇒11月23日予想▲2.839%(前日比で縮小:割高)

 

S&P500が反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲2.775%から+0.064%と平均値より上方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.030%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.163%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.340%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.660%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.383%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.804%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、19/4/25-1.468%

              20/10/12-▲1.450%、20/10/22-1.438%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・11月20日:▲1.604%⇒11月23日予想▲1.563%(前日比で縮小:割高)

 

NASDAQは反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.804%から▲0.241%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.616%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.820%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.935%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.240%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.531%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が上昇しうえ、株価も反発したことで縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQのイールドスプレッドは、▲1.5%台半ばまで低下して推移している。そのため、割高感が続いていることから、ネガティブなニュースが出ると引き続き下落しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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