FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで11月19日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、三指数全て続落する展開となった。製薬大手ファイザー(PFE)が開発中の新型コロナウイルスのワクチンの最終分析で有効性が95%に達したと発表、年内にもワクチン実用化の目処が立ったほか、米連邦航空局(FAA)がボーイング(BA)の737マックスの運航停止措置を解除したことが好感され寄り付き後上昇した。しかし、その後は昨日と同様に目先の利益確定売りが強まった。特に旅客機『737MAX』の運航再開承認を受けて時間外から上昇していたボーイングは一転して売りが集中した。指数は引けにかけて一段と下げ足を速めた。 一方米長期金利は、新型コロナワクチンの開発期待が相場の重石となった。20年債入札結果が低調な内容だったことも売り(利回りは上昇)を誘った。 このところ、米長期金利は上下に振れる展開から、日々のイールドスプレッドへの影響が強まっている。そのため、今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数ともかなり割高感が出ており、リスク回避の材料が出ると引き続き下落しやすい。

 

感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬が開発されるなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。また、新型コロナウイルス感染『第2波』『第3波』が懸念されている。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を押し上げている。そのため、期待感が薄れるような事態となると、再び下値模索の動きとなりやすい。VIX指数は22.71から23.84へ上昇した。VIX指数が23台後半で推移していることから、リスク回避の動きは継続している。株価の日中ボラティリティが高まっていることで、引き続き不安定な動きが続く。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.321%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%

                20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・11月17日:▲3.070%⇒11月18日:予想▲3.102%(前日比で拡大:割安)

 

11月18日のNYダウが続落した一方で、米長期金利は上昇したもののイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲3.321%から▲0.219%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.124%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.000%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.439%下回った。20年3月23日の6.017%から▲2.915%下回った。米国株市場の前半には、米製薬大手ファイザーが独ビオンテックと共同開発するコロナワクチン候補について、臨床試験データ最終分析で、95%の確率で有効性が示されたと発表した。数日内に米当局に緊急使用許可(EUA)を申請する準備が整い、米国株はサポートされる場面があった。しかし、米国内でのコロナ感染の増加が続き、経済打撃懸念で米国株は高値警戒売りに押された。米NY市がコロナ感染状況を踏まえ、学校の対面授業を再び中止すると報じられたことで、米国株は下げ幅を拡大させている。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.775%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、19/04/25-▲2.966%

               20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・11月17日:▲2.789%⇒11月18日予想▲2.819%(前日比で拡大:割安)

 

S&P500が続落した一方で、米長期金利は上昇したもののイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲2.775%から+0.044%と平均値より上方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.050%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.183%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.360%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.680%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.403%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.805%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、19/4/25-1.468%

              20/10/12-▲1.450%、20/10/22-1.438%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・11月17日:▲1.539%⇒11月18日予想▲1.546%(前日比で拡大:割安)

 

NASDAQは続落した一方で、米長期金利は上昇したもののイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲1.805%から▲0.259%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.633%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.837%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.952%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.257%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.548%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利は上昇した一方で、株価が続落したことで拡大した。しかし、イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQのイールドスプレッドは、▲1.5%台半まで低下して推移している。そのため、割高感が続いていることから、ネガティブなニュースが出ると引き続き下落しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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