FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで11月17日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、三指数全て反発する展開となった。米製薬会社モデルナ開発の新型コロナウイルスワクチンが大規模な第3相臨床試験で94.5%の確率で効果を示したとの報道を受けて感染収束への期待が膨らみ、買いが優勢となった。また、バイデン氏が議会は速やかにパンデミック経済救済策を成立させる必要があると主張したことも後押しした。NYダウ節目の3万ドルに迫り、約9カ月ぶりに過去最高値を更新した。一方米長期金利は、欧米での新型コロナウイルスの感染拡大を受けて時間外で債券買いが先行し、利回りは一時0.87%まで低下した。その後は米モデルナ社のワクチン開発報道をきっかけに失速し0.93%手前まで急上昇した。一方で、11月米ニューヨーク連銀製造業景気指数が弱かったことで売り(金利は上昇)も一服した。このところ、米長期金利は上下に振れる展開から、日々のイールドスプレッドへの影響が強まっている。そのため、今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数ともかなり割高感が出ており、リスク回避の材料が出ると大幅下落しやすい。

 

感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬が開発されるなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。また、新型コロナウイルス感染『第2波』『第3波』が懸念されている。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を押し上げている。そのため、期待感が薄れるような事態となると、再び下値模索の動きとなりやすい。VIX指数は23.10から22.45へ低下した。VIX指数が22台半で推移していることから、リスク回避の動きは継続している。株価の日中ボラティリティが高まっていることで、引き続き不安定な動きが続く。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.322%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%

                20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・11月13日:▲3.030%⇒11月16日:予想▲2.959%(前日比で縮小:割高)

 

11月16日のNYダウが続伸したうえ、米長期金利もわずかに上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲3.322%から▲0.363%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.267%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.143%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.582%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.058%下回った。モデルナのコロナワクチンがフェーズ3試験で94.5%の有効性を示し、安全性も確認できたと発表したことで、経済活動正常化期待が一段と高まった。コロナパンデミックで大きく売られたクルーズや空運、小売りなどの景気敏感株が軒並み大幅高となったほか、原油高を好感しエネルギー株が大幅高した。長期金利の上昇を受けて金融株も軒並み上昇した。ファイザーのコロナワクチン開発を好感し前週に9カ月ぶりに取引時間中の史上最高値を更新した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.775%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、19/04/25-▲2.966%

               20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・11月13日:▲2.758%⇒11月16日予想▲2.708%(前日比で縮小:割高)

 

S&P500が続伸したうえ、米長期金利も小幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲2.775%から▲0.067%と平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.161%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.294%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.471%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.791%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.514%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.805%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、19/4/25-1.468%

              20/10/12-▲1.450%、20/10/22-1.438%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・11月13日:▲1.504%⇒11月16日予想▲1.477%(前日比で縮小:割高)

 

NASDAQは続伸したうえ、米長期金利も小幅上昇したことからイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.805%から▲0.328%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.702%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.906%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.021%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.326%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.617%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利は小幅に上昇したうえ、株価も続伸したこことで縮小した。イールドスプレッドより半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQのイールドスプレッドは、▲1.4%台後半まで低下して推移している。そのため、割高感が続いていることから、ネガティブなニュースが出ると引き続き下落しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

 

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