FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで11月13日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、三指数全て下落する展開となった。米国での新型コロナウイルス新規感染者数が連日で過去最多を更新する中、経済活動規制の動きなどを受けて景気回復の遅れへの懸念が改めて浮上した。シカゴ市長が市民に外出を控えるよう勧告を出すと引けにかけ、下げ幅をさらに拡大した。また、『トランプ米大統領は中国人民軍との関係を理由に中国の一部企業への投資を禁止する』との報道が伝わると、米中関係を巡る懸念も高まり一時500ドル近く下げた。一方米長期金利は、新型コロナウイルスの感染再拡大による経済活動規制の動きなどを受けて、相対的に安全資産とされる米国債に買いが入った。予想を下回る米インフレ指標や、米中関係を巡る懸念も債券買い(利回りは低下)を後押しした。 このところ、米長期金利は上下に振れる展開から、日々のイールドスプレッドへの影響が強まっている。そのため、今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数ともかなり割高感が出ており、リスク回避の材料が出ると大幅下落しやすい。

 

感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬が開発されるなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。また、新型コロナウイルス感染『第2波』『第3波』が懸念されている。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を押し上げている。そのため、期待感が薄れるような事態となると、再び下値模索の動きとなりやすい。VIX指数は23.45から25.35へ上昇した。VIX指数が25台前半で推移していることから、リスク回避の動きは継続している。株価の日中ボラティリティが高まっていることで、引き続き不安定な動きが続く。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.322%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%

                20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・11月11日:▲2.902%⇒11月12日:予想▲3.022%(前日比で大幅拡大:割安)

 

11月12日のNYダウが続落したうえ、米国債市場が大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で大幅拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲3.322%から▲0.300%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.204%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.080%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.519%下回った。20年3月23日の6.017%から▲2.995%下回った。新型コロナウイルスの感染再拡大による景気への影響が懸念された。新規感染者数が水曜日だけで14万4000人を上回り、シカゴではステイ・アット・ホームが推奨され、ニューヨークではレストランやバー、ジムなどの営業規制が強化された。パウエルFRB議長が経済の先行き見通しに強い懸念を示したことも下げ幅拡大につながった。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.775%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、19/04/25-▲2.966%

               20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・11月11日:▲2.690%⇒11月12日予想▲2.803%(前日比で大幅拡大:割安)

 

S&P500が反落したうえ、米長期金利は大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲2.774%から+0.029%と平均値より上方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.066%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.199%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.376%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.696%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.419%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.805%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、19/4/25-1.468%

              20/10/12-▲1.450%、20/10/22-1.438%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・11月11日:▲1.458%⇒11月12日予想▲1.551%(前日比で拡大:割安)

 

NASDAQは大幅反落したうえ、米長期金利も大幅低下したことからイールドスプレッドは前日比で大幅拡大した。平均値の▲1.805%から▲0.254%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.628%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.832%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.947%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.252%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.543%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利は大幅低下したうえ、株価も反落したこことで大幅拡大した。ただ、イールドスプレッドより半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQのイールドスプレッドは、▲1.5%台半ばに低下して推移している。そのため、割高感が続いていることから、ネガティブなニュースが出ると引き続き下落しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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