FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで11月11日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、NYダウは続伸したものの、S&P500は反落しNASDAQは続落する展開となった。新型コロナウイルスワクチンの早期普及への期待から投資家のリスク選好意欲が強まった。製薬関連のほか、旅行、エネルギー、金融など経済再開による恩恵が見込まれるセクターが個別に物色された。一方、ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は続落した。在宅勤務の拡大などを追い風にコロナ禍でも買われてきたハイテク株には今日も売りが続いた。欧州当局が独禁法違反の疑いがあると警告したと伝わったアマゾン・ドット・コムは3%超下落した。一方米長期金利は、新型コロナウイルスのワクチン開発を巡る楽観的な見方を背景に、安全資産とされる米国債に売り(利回りは上昇)が出た。10年債入札が『低調だった』と受け止められたことも債券売りを誘った。このところ、米長期金利は上下に振れる展開から、日々のイールドスプレッドへの影響が強まっている。そのため、今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数ともかなり割高感が出ており、リスク回避の材料が出ると大幅下落しやすい。

 

感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬が開発されるなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。また、新型コロナウイルス感染『第2波』『第3波』が懸念されている。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を押し上げている。そのため、期待感が薄れるような事態となると、再び下値模索の動きとなりやすい。VIX指数は25.75から24.80へ低下した。VIX指数が20台半ばで推移していることから、リスク回避の動きは継続している。株価の日中ボラティリティが高まっていることで、引き続き不安定な動きが続く。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.322%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%

                20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・11月9日:▲2.975%⇒11月10日:予想▲2.907%(前日比で縮小:割高)

 

11月10日のNYダウが続伸したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で大幅縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲3.322%から▲0.415%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.319%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.195%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.634%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.110%下回った。バリュー買い、グロース売りの流れが継続した。ボーイングなどには強い動きが見られた一方、アマゾンやフェイスブックなどは大きく売られた。米国株もクラッシュのような動きにはなっておらず、NYダウは終盤にかけて上げ幅を広げた。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.775%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、19/04/25-▲2.966%

               20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・11月9日:▲2.741%⇒11月10日予想▲2.717%(前日比で縮小:割高)

 

S&P500が小幅に反落した一方で、米長期金利が大幅上昇したことからイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲2.774%から▲0.057%と平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.152%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.285%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.462%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.782%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.505%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.805%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、19/4/25-1.468%

              20/10/12-▲1.450%、20/10/22-1.438%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・11月9日:▲1.504%⇒11月10日予想▲1.505%(前日比でほぼ変わらず)

 

NASDAQは反落した一方で、米長期金利は大幅上昇したもののイールドスプレッドは前日比でほぼ変わらずとなった。平均値の▲1.805%から▲0.300%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.674%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.878%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.993%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.298%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.589%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が大幅上昇一方で、株価が反落したこことでほぼ変わらずとなった。イールドスプレッドより半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQのイールドスプレッドは、▲1.5%台前半に低下して推移している。そのため、割高感が続いていることから、ネガティブなニュースが出ると引き続き下落しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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