FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで11月10日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、NYダウとS&P500は大幅反発、NASDAQは反落する展開となった。米大統領選の結果に目処がつき不透明感が一段と後退したほか、米ファイザーが発表した新型コロナウイルスのワクチンの治験結果を受けて、感染収束への期待が高まった。NYダウは一時1600ドル超上昇し、取引時間中の史上最高値を更新した。3万ドルの大台に迫った。一方、ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は6営業日ぶりに反落した。在宅勤務の拡大などを追い風にコロナ禍でも買われてきたハイテク株には売りが優勢となった。一方米長期金利は、米ファイザーによる新型コロナワクチン治験の好結果や米大統領選でバイデン氏が当選確実となったことから、相対的に安全資産とされる米国債に売り(金利は上昇)が集まった。利回りは一時0.9730%前後と320日以来の高水準を付けた。このところ、米長期金利は上下に振れる展開から、日々のイールドスプレッドへの影響が強まっている。そのため、今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数ともかなり割高感が出ており、リスク回避の材料が出ると大幅下落しやすい。

 

感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬が開発されるなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。また、新型コロナウイルス感染『第2波』『第3波』が懸念されている。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を押し上げている。そのため、期待感が薄れるような事態となると、再び下値模索の動きとなりやすい。VIX指数は24.86から25.75へ上昇した。VIX指数が20台半ばで推移していることから、リスク回避の動きは継続している。株価の日中ボラティリティが高まっていることで、引き続き不安定な動きが続く。S&P500指数が上昇したにも関わらず、VIX指数も上昇する展開となった。こういうケースでは、NY市場では下落することが多い。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.322%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%

                20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・11月6日:▲3.119%⇒11月9日:予想▲2.899%(前日比で縮小:割高)

 

11月9日のNYダウが大幅反発したうえ、米長期金利も大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で大幅縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲3.322%から▲0.423%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.327%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.203%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.642%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.118%下回った。米大統領選で民主党バイデン候補の当選がほぼ確実となり、選挙明けラリーが強まる中、ファイザーが独バイオNテックと開発中のコロナワクチンがフェーズ3試験で90%以上の有効性を確認できたと伝わり、経済活動正常化期待が高まった。コロナ・パンデミックで大きく売られた景気循環株が幅広く上昇した一方、ステイ・アット・ホーム銘柄には利益確定売りが強まった。ダウ平均は一時1610ドル高の29933.83ドルまで上昇し、約9カ月ぶりに史上最高値を更新した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.775%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、19/04/25-▲2.966%

               20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・11月6日:▲2.856%⇒11月9日予想▲2.707%(前日比で縮小:割高)

 

S&P500が反発したうえ、米長期金利も大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲2.774%から▲0.063%と平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.162%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.295%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.472%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.792%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.515%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.806%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、19/4/25-1.468%

              20/10/12-▲1.450%、20/10/22-1.438%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・11月6日:▲1.590%⇒11月9日予想▲1.520%(前日比で縮小:割高)

 

NASDAQは反落した一方で、米長期金利は大幅上昇したもののイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.806%から▲0.286%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.659%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.863%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.978%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.283%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.574%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が大幅上昇一方で、株価が反落したものの縮小した。イールドスプレッドより半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすいとなっている。NASDAQのイールドスプレッドは、▲1.5%台前半に低下して推移している。そのため、割高感が続いていることから、ネガティブなニュースが出ると引き続き下落しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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