★NY株式市場では、三指数全てが反落する展開となった。追加財政策を巡るムニューシン財務長官と民主党のペロシ下院議長の交渉を睨んだ展開となった。クドロー国家経済会議(NEC)委員長が交渉進展に楽観的見方を示したほか、ペロシ議長も大統領選前の合意に前向きな見方を示し一時140ドル超上げた。しかし、メドウズ大統領首席補佐官がまだ多くの相違が見られると慎重な見解を示したほか、新型コロナウイルスのワクチン開発を巡る不透明感から売りが出ると下げに転じた。ブラジル政府はこの日、同国で実施されていた英アストラゼネカとオックスフォード大が開発中のワクチンの臨床試験で被験者が死亡したと明らかにした。なお、一部報道では『死亡した被験者にはワクチンは投与されなかった』とも伝わっている。一方米長期金利は、米経済対策を巡る与野党協議が進展しているとの期待感から、相対的に安全資産とされる米国債が売られた(金利は上昇)。利回りは時間外取引で一時0.8343%前後と6月9日以来の高水準を付ける場面があった。このところ、米長期金利は上昇基調になっており、日々のイールドスプレッドへの影響が強まる展開となっている。そのため、今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数ともかなり割高感が出ており、引き続きリスク回避の材料が出ると大幅下落しやすい。米長期金利も底打ちして0.8%台まで上昇する展開となっており、イールドスプレッドの縮小要因となっている。今後も金利が上昇するようなら、株価は調整しやすい地合いが強まるので注意が必要となる。
感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬が開発されるなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。また、新型コロナウイルス感染『第2波』が懸念されている。さらに、米大統領選を控えて、米中対立の激化が懸念されている。しかし、経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を押し上げている。そのため、期待感が薄れるような事態となると、再び下値模索の動きとなりやすい。VIX指数は29.35から28.65へ低下した。VIX指数が20台後半で推移していることで、リスク回避の動きは継続している。株価の日中ボラティリティが高まっていることから、しばらくは不安定な動きが続く。S&P500が反発したにも関わらず、VIX指数も上昇する展開となっている。このような動きをした後は、株式市場が不安定になりやすいので注意が必要となる。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。
そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.323%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%
20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・10月20日:▲2.999%⇒10月21日:予想▲2.977%(前日比で縮小:割高)
10月21日のNYダウが反落した一方で、米長期金利は5日連続上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲3.323%から▲0.346%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.249%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.125%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.564%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.040%下回った。追加財政策を巡るムニューシン財務長官と民主党のペロシ下院議長の交渉を睨んだ展開となった。クドロー国家経済会議(NEC)委員長が交渉進展に楽観的見方を示したほか、ペロシ議長も大統領選前の合意に前向きな見方を示し一時140ドル超上げた。しかし、メドウズ大統領首席補佐官がまだ多くの相違が見られると慎重な見解を示したほか、新型コロナウイルスのワクチン開発を巡る不透明感から売りが出ると下げに転じた。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.774%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、19/04/25-▲2.966%
20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%
20/3/23-▲6.222%
・10月20日:▲2.769%⇒10月21日予想▲2.742%(前日比で縮小:割高)
S&P500が反発した一方で、米長期金利が上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲2.774%から▲0.032%と平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.127%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.260%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.437%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.757%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.480%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.807%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、19/4/25-1.468%
20/08/27-▲1.452%、20/10/12-1.450%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・10月20日:▲1.507%⇒10月21日予想▲1.478%(前日比で縮小:割高)
NASDAQが反落した一方で、米長期金利が上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.807%から▲0.329%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.701%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.905%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.020%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.325%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.616%下回った。
NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が5日上昇した一方で、株価は反落したものの縮小した。一時のイールドスプレッドより半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やす地合いとなっている。NASDAQのイールドスプレッドは、▲1.4%台へ低下して推移している。そのため、割高感が続いていることから、ネガティブなニュースが出ると引き続き下落しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。
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