FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで10月12日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、三指数全て3日続伸する展開となった。『米政権は従来案から1.8兆ドルに増額した経済対策案を民主党に再提案する』と報じられたほか、クドロー米国家経済会議(NEC)委員長がこの増額案について『トランプ大統領が承認した』と明らかにした。ただ、共和党のマコーネル上院院内総務は選挙前の合意は困難との考えを示したため一時伸び悩む場面もあった。しかし、いずれ何らかの救済策で合意成立するとの根強い期待感に終日堅調に推移した。市場では景気敏感株などへの買いが優勢になり、NYダウは一時250ドル超上げた。一方米長期金利は、米追加経済策への期待から米国株が上昇すると安全資産とされる米国債には売り(金利は上昇)が先行したものの、経済策を巡る与野党協議の行方に対する不透明感は根強く、引けにかけて買い(金利は低下)戻されわずかに低下した。このところ、米長期金利の変動幅が上下に大きくなっており、日々イールドスプレッドへの影響が強まる展開となっている。そのため、今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数ともかなり割高感が出ており、引き続きリスク回避の材料が出ると大幅下落しやすい。

 

感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬が開発されるなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。また、新型コロナウイルス感染『第2波』が懸念されている。さらに、米大統領選を控えて、米中対立の激化が懸念されている。しかし、経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を押し上げている。そのため、期待感が薄れるような事態となると、再び下値模索の動きとなりやすい。VIX指数は26.36から25.00へ低下した。VIX指数が20台半ばで推移していることで、リスク回避の動きは継続している。株価の日中ボラティリティが高まっていることから、しばらくは不安定な動きが続く。VIX指数は高止まりしており、いつ大幅下落調整しても不思議ではない水準で推移している。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.324%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%

                20/01/17‐▲3.018%、20/09/1-▲2.867%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・10月8日:▲2.969%⇒10月9日:予想▲2.952%(前日比で縮小:割高)

 

10月9日のNYダウが3日続伸した一方で、米長期金利はわずかに低下したもののイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲3.324%から▲0.372%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.274%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.150%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.589%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.065%下回った。『米政権は従来案から1.8兆ドルに増額した経済対策案を民主党に再提案する』と報じられたほか、クドロー米国家経済会議(NEC)委員長がこの増額案について『トランプ大統領が承認した』と明らかにした。ただ、共和党のマコーネル上院院内総務は選挙前の合意は困難との考えを示したため一時伸び悩む場面もあった。しかし、いずれ何らかの救済策で合意成立するとの根強い期待感に終日堅調に推移した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.774%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、19/04/25-▲2.966%

               20/08/27-▲2.677%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・10月8日:▲2.753%⇒10月9日予想▲2.726%(前日比で縮小:割高)

 

S&P500が3日続伸した一方で、米長期金利はわずかに低下したもののイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲2.774%から▲0.048%と平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.143%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.276%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.453%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.773%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.496%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.808%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、19/4/25-1.468%

               20/08/27-▲1.452%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・10月8日:▲1.538%⇒10月9日予想▲1.510%(前日比で縮小:割高)

 

NASDAQが3日続伸した一方で、米長期金利はわずかに低下したもののイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.808%から▲0.298%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.669%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.873%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.988%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.293%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.584%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利がわずかに低下したものの、株価が3日続伸したことで縮小した。米国の追加経済策への期待から買い優勢となった。一時のイールドスプレッドより半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やす地合いとなっている。NASDAQのイールドスプレッドは、▲1.5%台前半まで低下して推移している。割高感が続いていることから、ネガティブなニュースが出ると引き続き下落しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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