FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで1月7日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、NYダウとS&P500が続伸する一方で、ナスダック指数は反落する展開となった。ADP雇用統計が予想外の減少となったことを嫌気し寄り付き後下落した。その後、5日投開票のジョージア州の米上院決選投票で民主党候補が2議席ともに獲得し、同党が上下両院で過半数を制するとの見方が強まった。追加経済対策やインフラ投資の拡大などが見込まれ、景気敏感株を中心に買いが広がった。指数は一時630ドル超上げた。ただ、米大統領選の結果に抗議するトランプ大統領の支持者が首都ワシントンの米連邦議会に大挙して侵入し、占拠する異例の事態が発生すると伸び悩んだ。一方米長期金利は、米上院決選投票で2議席とも民主党が獲得し、追加の経済対策など財政出動拡大の観測が高まると債券売り(利回りは上昇)が膨らんだ。利回りは一時1.0524%前後と昨年320日以来の高水準を付けた。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数ともかなり割高感が出ており、リスク回避の材料が出ると下落しやすい。

 

感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬の投与で有効性が実証されるなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。また、新型コロナウイルス感染『第3波』が懸念されている。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を押し上げている。そのため、期待感が薄れるような事態となると、再び下値模索の動きとなりやすい。VIX指数は25.34から25.07へ低下した。VIX指数が25台前半で推移しているほか、株価の日中ボラティリティも高まっていることで、引き続き不安定な動きが続く。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.317%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%

                20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・1月5日:▲2.820%⇒1月6日:予想▲2.685%(前日比で大幅縮小:割高)

 

1月6日のNYダウは続伸したうえ、米長期金利も大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で大幅縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲3.317%から▲0.632%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.541%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.417%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.856%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.332%下回った。NYダウはジョージア州上院決選投票で民主党が2議席とも獲得するとの見方が強まり、民主党による大統領と上下院の全制圧期待と景気対策の円滑増強期待が支援材料になった。財政支出やインフラ支出の拡大、環境対策の強化期待などで、関連株が買われている。財政出動の円滑化と米国債の増発の観測により、米国の長期債金利は上昇(債券価格は下落)。利ざや拡大期待で、金融株や保険株などが上昇した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.774%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、20/08/27-▲2.677%

               20/10/12-▲2.664%、20/12/08-▲2.666%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・1月5日:▲2.570%⇒1月6日予想▲2.468%(前日比で大幅縮小:割高)

 

S&P500が続伸したうえ、米長期金利も大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で大幅縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲2.774%から▲0.306%と平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.401%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.534%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.711%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲2.031%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.754%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.800%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、20/10/22-▲1.438%

              20/12/4-1.351%、20/12/8-1.383%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・1月5日:▲1.288%⇒1月6日予想▲1.220%(前日比で縮小:割高)

 

NASDAQは反落した一方で、米長期金利が大幅上昇はしたことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.800%から▲0.580%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.959%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲1.163%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.278%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.583%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.874%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が大幅上昇した一方で、株価は小反落したものの縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQのイールドスプレッドは、▲1.2%台前半まで低下して推移している。そのため、割高感が続いていることから、ネガティブなニュースが出ると引き続き下落しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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