FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで1月5日の米国株市場を先取り!割高感強まる!

 

★NY株式市場では、NYダウは続伸したものの、S&P500指数とナスダック総合指数は反落する展開になった。本年のパンデミック終息に伴う強い回復を期待した景気循環株中心とした買いに寄り付き後は上昇した。ISM製造業指数や雇用関連指標が予想を下回ったため失速したもののNYダウは終日堅調に推移し、連日で史上最高値を更新して終了した。米長期金利の上昇を受けて、利ざや改善期待からゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースなど金融株が買われた。原油高を背景に石油株も堅調だった。ハイテクは長期金利の上昇を受けて売られ、ナスダック総合指数は下落した。一方、長期金利は、米連邦準備理事会(FRB)による早期利上げ観測を背景に債券売り(利回りは上昇)が優勢となった。利回りは一時1.6840%前後と昨年11月24日以来の高水準を付けた。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で大幅に縮小して全般割高感が強まった。

 

世界的にオミクロン変異株の感染拡大でも『流行が短期で終息する』との専門家の見解を好感された。しかし、世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、株価にとっては、ネガティブな材料となりやすい。一方、米国株のVIX指数は16.60から16.91へ上昇した。VIX指数が20台を下回っていることで、リスク回避の動きは落ち着いている。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.282%

・直近イールドスプレッド縮小:20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%

                21/1/11-▲2.611%、21/10/21-▲2.758%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・1月3日:▲2.671%⇒1月4日:予想▲2.624%(前日比で縮小:割高)

 

1月4日のNYダウは続伸したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.282%から▲0.658%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.602%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.478%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.917%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.393%下回った。NYダウは、新型コロナウイルス感染拡大が続いたものの、エネルギー、金融、資本財などの景気敏感株が軒並み高となった。一方、長期金利の上昇が上昇が続いたことで2021年に大きく上昇したハイテク・グロース株に利益確定売りが強まった。NYダウは214.59ドル高(+0.59%)と2日続伸。12月30日以来、3営業日ぶりに取引時間中の最高値を更新し、終値では連日で最高値を更新した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.779%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・1月3日:▲2.680%⇒1月4日:予想▲2.661%(前日比で縮小:割高)

 

S&P500が小幅に反落した一方で、米長期金利が上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.779%から▲0.118%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.208%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.341%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.518%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.838%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.561%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.768%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、21/1/11-1.066%

              21/2/16-1.144%、21/11/23-1.299%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・1月3日:▲1.317%⇒1月4日予想▲1.336%(前日比で拡大:割安)

 

NASDAQは大幅反落した一方で、米長期金利は上昇したもののイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲1.768%から▲0.432%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.843%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲1.047%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.162%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.467%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.758%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利は上昇した一方で、株価も大幅反落したことで前日比で拡大した。ただ、イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.3%台前半でスプレッドが推移したことで割高感が強い。2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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