FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで1月4日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、主要三指数全てで反発する展開になった。新型コロナ、オミクロン変異株急拡大にもかかわらず、『流行が短期で収束する』との専門家の見解を受け、経済の強い回復継続期待に寄り付き後は上昇した。食品医薬品局(FDA)は製薬会社ファイザー(PFE)の新型コロナウイルスワクチンをめぐり、12-15歳にも追加接種を認める緊急使用許可を出したと発表した。オミクロン株流行への対策強化も好感され、終日堅調に推移した。ハイテク株の上昇も後押しし、引けにかけてNYダウは上げ幅を拡大した。また、市場では『年初とあって年金基金などの新規資金の流入を見込む買いが入った』との声が聞かれた。一方、長期金利は、米景気の回復基調が続くとの期待から米国株が底堅く推移すると、安全資産とされる米国債に売り(利回りは上昇)が出た。利回りは一時1.6385%前後と11月24日以来の高水準を付けた。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で大幅に縮小して全般割高感が強まった。

 

世界的にオミクロン変異株の感染拡大でも『流行が短期で終息する』との専門家の見解を好感された。しかし、世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、株価にとっては、ネガティブな材料となりやすい。一方、米国株のVIX指数は17.22から16.60へ低下した。VIX指数が20台を下回っていることで、リスク回避の動きは落ち着いている。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.282%

・直近イールドスプレッド縮小:20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%

                21/1/11-▲2.611%、21/10/21-▲2.758%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・12月31日:▲2.826%⇒1月3日:予想▲2.678%(前日比で縮小:割高)

 

1月3日のNYダウは反発したうえ、米長期金利も大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で大幅に縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.282%から▲0.604%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.548%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.424%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.863%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.339%下回った。NYダウは、新型コロナウイルス・オミクロン株の感染拡大が続いたものの、重症化リスクが低いことなどでリスク選好が強まった。アップルが一時3%上昇し、米国企業初の時価総額3兆ドル乗せを達成したほか、2021年第4四半期の出荷台数が市場予想を上回ったテスラが13.5%高と急伸した。空運やクルーズなどの経済活動再開銘柄も軒並み高となったほか、長期金利の上昇を追い風に金融株も軒並み上昇した。NYダウは246.76ドル高(+0.68%)と3営業日ぶりに反発し、終値の最高値を更新した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.779%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・12月31日:▲2.826%⇒1月3日:予想▲2.680%(前日比で縮小:割高)

 

S&P500が反発したうえ、米長期金利も大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で大幅縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.779%から▲0.099%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.189%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.322%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.499%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.819%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.542%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.768%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、21/1/11-1.066%

              21/2/16-1.144%、21/11/23-1.299%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・12月31日:▲1.465%⇒1月3日予想▲1.312%(前日比で縮小:割高)

 

NASDAQは大幅反発したうえ、米長期金利も大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.768%から▲0.456%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.867%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲1.071%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.186%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.491%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.782%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利は上昇したうえ、株価も反発したことで前日比で縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.3%台前半へスプレッドが縮小したことで割高感が強まった。2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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