FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで1月31日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、主要三指数ともに全て上昇する展開になった。ウクライナ情勢や連邦準備制度理事会(FRB)の大幅な利上げを警戒した売りに、寄り付き後は下落し一時350ドル超下落したがその後持ち直した。注目となっていた10-12月期雇用コスト指数が予想を下回る伸びにとどまったため金利が低下したことで、高PER(株価収益率)のハイテクが買われ一時570ドル超上昇した。一方、長期金利は、10-12月期米雇用コスト指数が予想より弱い内容となったことを受けて債券買い(利回りは低下)が先行した。1月米消費者態度指数(ミシガン大調べ)確報値が予想を下回り、2011年11月以来の低水準となったことも相場の支援材料になった。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利が低下したうえ、主要三指数が下落したことで前日比で拡大する展開になった。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。

 

世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。米国株のVIX指数は30.49から27.66へ低下した。しかし、30を上回っていることで、リスク回避の動きがかなり強まってきている。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.278%

・直近イールドスプレッド縮小:20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%

                21/1/11-▲2.611%、21/10/21-▲2.758%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・1月27日:▲2.719%⇒1月28日:予想▲2.676%(前日比で縮小:割高)

 

1月28日のNYダウは大幅反発した一方で、米長期金利は低下したたもののイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.278%から▲0.602%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.550%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.426%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.865%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.341%下回った。足もとで大きく下落したハイテク株が大きく反発した。NYダウは564.69ドル高(+1.65%)と4日ぶりに大幅反発した。好決算を発表したアップルが6.98%高、ビザが10.60%高となり、2銘柄でNYダウを217ドル押し上げた。NYダウは、決算が予想を下回ったシェブロンが3.52%安、予想を上回る決算を発表したキャタピラーも5.19%安となり、一時353ドル安まで下落する場面もあった。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.779%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・1月27日:▲2.976%⇒1月28日:予想▲2.894%(前日比で縮小:割高)

 

S&P500は大幅反発した一方で、米長期金利は低下したもののイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.779%から+0.115%と平均値より下方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲0.975%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.108%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.285%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.605%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.328%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.766%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、21/1/11-1.066%

              21/2/16-1.144%、21/11/23-1.299%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・1月27日:▲1.742%⇒1月28日予想▲1.666%(前日比で拡大:割高)

 

NASDAQは大幅反発した一方で、米長期金利は低下したもののイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.766%から▲0.100%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.513%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.717%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.832%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.137%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.428%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が低下した一方で、株価は大幅反発したことで前日比で縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.6%台半ばでスプレッドが推移していることで割高感が強まった。2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

カテゴリー: ホットニュース

カテゴリー

カレンダー

4月 2024
« 1月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ページの先頭へ