FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで1月27日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、NYダウとS&P500指数は続落した一方で、ナスダック総合指数は小反発する展開になった。。エネルギーセクターの上昇やITサービスのマイクロソフト(MSFT)の好決算などがけん引し寄り付き後は上昇した。連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表を控え買戻しが先行し堅調に推移した。その後、連邦準備制度理事会(FRB)は予想通り政策金利据え置きを決定し、声明もタカ派色を示さずプラス圏を維持した。しかし、パウエル議長が会見で3月の利上げの可能性や各会合での利上げの可能性も除外しないと言及したほか、バランスシートの縮小も過去に比べて速やかなペースになると言及するなどタカ派姿勢を示したため売り圧力が強まり、NYダウは下落に転じた。ナスダック総合指数はかろうじて上昇で終了した。一方、長期金利は、米連邦公開市場委員会(FOMC)で3月利上げの可能性が示唆され、利上げ開始後にバランスシート圧縮を実施する方針が示されると、債券売り(利回りは上昇)が先行した。パウエルFRB議長が定例記者会見で金融引き締めに前向きな姿勢を見せたことも債券売りを促した。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利が大幅上昇したことで、NYダウとS&P500が続落し、ナスダック総合指数が小幅上昇したものの米国主要三指数とも前日比で縮小した。そのため、割高感が強まる展開になった。

 

世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。米国株のVIX指数は31.16から31.96へ上昇した。30を上回ってきたことで、リスク回避の動きがかなり強まってきている。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.278%

・直近イールドスプレッド縮小:20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%

                21/1/11-▲2.611%、21/10/21-▲2.758%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・1月25日:▲2.803%⇒1月26日:予想▲2.725%(前日比で縮小:割高)

 

1月26日のNYダウは続落した一方で、米長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.278%から▲0.553%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.501%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.377%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.816%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.292%下回った。NYダウは、決算や見通しが好感されたマイクロソフトの上昇などを追い風に上昇してスタートしたものの、米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表後に長期金利が上昇したことで売りが優勢となった。FOMC声明文で3月利上げが示唆され、バランスシートの縮小についても言及があった。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は会見でインフレ高進について強い懸念を示し、労働市場を傷つけることなく利上げが可能だと強調した。NYダウは一時517ドル高まで上昇後、421ドル安まで反落し、129.64ドル安(-0.38%)と2日続落して終了した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.779%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・1月25日:▲2.950%⇒1月26日:予想▲2.862%(前日比で縮小:割高)

 

S&P500は続落した一方で、米長期金利が大幅に上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.779%から+0.083%と平均値より下方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.007%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.140%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.317%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.637%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.360%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.766%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、21/1/11-1.066%

              21/2/16-1.144%、21/11/23-1.299%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・1月25日:▲1.718%⇒1月26日予想▲1.622%(前日比で縮小:割高)

 

NASDAQは反発したうえ、米長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.766%から▲0.144%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.557%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.761%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.876%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.181%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.472%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が大幅上昇したうえ、株価も小幅上昇したことで前日比で大幅縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.6%台前半でスプレッドが推移していることでやや割高感が強まった。ただ、2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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