FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで1月14日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、主要3指数は全てが反落する展開になった。12月米卸売物価指数(PPI)が予想ほど上昇せず、米長期金利が低下したため高PER(株価収益率)のハイテク株に買いが先行した。指数は一時220ドル超上昇する場面があった。ただ、これから本格化する米主要企業の昨年10-12月期決算発表を前に、ポジション調整目的の売りが強まると下げに転じた。市場では『米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強めていることから、売りが出やすかった』との声も聞かれ、引けにかけて下げ幅を広げた。一方、長期金利は、12月米卸売物価指数(PPI)や前週分の米新規失業保険申請件数が予想より弱い内容となったことを受けて、債券買い(利回りは低下)が先行した。米国株相場の失速で、安全資産とされる米国債の需要が高まった面もあった。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利が低下したうえ、米国主要三指数が全て反落したことで、イールドスプレッドは全てで拡大する展開になり割高感がやや後退した。ただ、三指数共に平均値を下回るスプレッドになっていることから、割高感は継続している。

 

世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。米国株のVIX指数は17.62から20.31へ上昇した。再び20を超える上昇となっており、リスク回避の動きが強まりやすい地合いになっている。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.280%

・直近イールドスプレッド縮小:20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%

                21/1/11-▲2.611%、21/10/21-▲2.758%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・1月12日:▲2.656%⇒1月13日:予想▲2.721%(前日比で拡大:割安)

 

1月13日のNYダウは反落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲3.280%から▲0.559%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.505%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.381%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.820%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.296%下回った。NYダウは、米12月生産者物価指数(PPI)の伸びが市場予想を下回ったことが支援となり上昇してスタートしたものの、テスラ、エヌビディアなどのハイテク・グロース株が大きく下落し相場を押し下げた。米10年債利回りは低下したが、ハト派で知られる米連邦準備理事会(FRB)のブレイナード理事が、米上院銀行委員会の副議長指名公聴会で利上げに積極的な姿勢を示したことが嫌気された。NYダウは朝方に223ドル高まで上昇したが、246ドル安まで下落し、176.70ドル安(-0.49%)で終了した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.779%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・1月12日:▲2.635%⇒1月13日:予想▲2.742%(前日比で拡大:割安)

 

S&P500が反落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.779%から▲0.037%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.127%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.260%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.437%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.757%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.480%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.767%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、21/1/11-1.066%

              21/2/16-1.144%、21/11/23-1.299%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・1月12日:▲1.321%⇒1月13日予想▲1.443%(前日比で拡大:割安)

 

NASDAQは反落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲1.767%から▲0.324%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.736%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.940%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.055%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.360%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.651%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が低下したうえ、株価も反落したことで前日比で拡大した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.4%台半ばでスプレッドが推移していることで割高感は継続している。2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

カテゴリー: ホットニュース

カテゴリー

カレンダー

4月 2024
« 1月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ページの先頭へ