FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで1月13日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、三指数ともに全て反発する展開となった。ワクチン普及期待や予想を上回った雇用関連指標を好感し寄り付き後上昇した。下院によるトランプ大統領の弾劾訴追決議案採決を控えた政局不安や金利の上昇を警戒し利益確定売りに一時下落に転じた。しかし、バイデン次期政権による経済対策への期待などから景気敏感株の一角に買いが入り、指数を押し上げた。ただ、米主要企業の決算発表シーズンを控えて様子見ムードも広がったため、大きな方向感は出なかった。前日終値を挟んだ一進一退の動きが続いた。一方米長期金利は、米民主党政権下で財政出動に伴う国債増発を見込む売り(利回りは上昇)が先行し、利回りは一時1.1855%前後と昨年319日以来の高水準を付けた。ただ、好調な米10年債入札をきっかけに債券を買う(利回りは低下)動きが強まると相場は上げに転じた。 今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数ともかなり割高感が出ており、リスク回避の材料が出ると下落しやすい

 

感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬の投与で有効性が実証されるなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。また、新型コロナウイルス感染『第3波』が懸念されている。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を押し上げている。そのため、期待感が薄れるような事態となると、再び下値模索の動きとなりやすい。VIX指数は24.08から23.33へ低下した。VIX指数が23台前半で推移しているほか、株価の日中ボラティリティも高まっていることで、引き続き不安定な動きが続く。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.316%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%

                20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・1月11日:▲2.611%⇒1月12日:予想▲2.614%(前日比で小幅拡大:割安)

 

1月12日のNYダウは小幅反発した一方で、米長期金利が大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比でわずかに拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲3.316%から▲0.702%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.612%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.488%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.927%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.403%下回った。NYダウは、ワクチン普及期待や予想を上回った雇用関連指標を好感し寄り付き後上昇した。下院によるトランプ大統領の弾劾訴追決議案採決を控えた政局不安や金利の上昇を警戒し利益確定売りに一時下落に転じた。しかし、バイデン政権下での大規模財政支援策への期待も根強く底堅く推移し、引けにかけては上げ幅を拡大した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.773%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、20/08/27-▲2.677%

               20/10/12-▲2.664%、20/12/08-▲2.666%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・1月11日:▲2.320%⇒1月12日予想▲2.328%(前日比で小幅拡大:割安)

 

S&P500が小幅反発した一方で、米長期金利が大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比でわずかに拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲2.773%から▲0.445%と平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.541%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.674%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.851%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲2.171%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.894%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.799%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、20/10/22-▲1.438%

              20/12/4-1.351%、20/12/8-1.383%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・1月11日:▲1.066%⇒1月12日予想▲1.071%(前日比でわずかに拡大:割安)

 

NASDAQは反発した一方で、米長期金利が大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比でわずかに拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲1.799%から▲0.728%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲1.108%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲1.312%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.427%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.732%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲3.023%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が大幅低下した一方で、株価は反発したものの拡大した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQのイールドスプレッドは、▲1.0%割れ寸前まで縮小して推移している。そのため、割高感が続いていることから、ネガティブなニュースが出ると引き続き下落しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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