FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで1月11日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、NYダウとS&P500指数は続落したほか、ナスダック総合指数はわずかに反発する展開になった。12月のタカ派連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を受けて、連邦準備制度理事会(FRB)が市場が予想していたよりも速やかなペースで金融緩和引き締めを進めるとの警戒感に寄り付き後は下落した。金利の上昇で、ハイテクも売られた。その後、ニューヨーク市のオミクロン感染がピークを打った兆候が見られるとの報道やJPモルガンのダイモンCEOがインタビューで、消費が強く、経済もここ数十年で最も強い成長を予想しているとの楽観的見解を明らかにすると、NYダウは下げ幅を縮小した。ハイテクは金利上昇が一段落したため、引けにかけて買われナスダックは小幅上昇で終了した。一方、長期金利は、米金融政策の正常化が想定より速いペースで進むとの見方から、この日も売り(利回りは低下)が先行した。利回りは一時1.8064%前後と2020年1月以来約2年ぶりの高水準を付けた。ただ、引けにかけては買い戻し(利回りは低下)が優勢となり、前営業日比横ばいで取引を終えた。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利がほぼ横ばいだったことや米国主要三指数でNYダウ下落したものの、NYダウ以外は小幅な動きだったことで、イールドスプレッドは前日比で三指数ともに拡大した。

 

世界的にオミクロン変異株の感染拡大でも『流行が短期で終息する』との専門家の見解を好感された。しかし、世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、株価にとっては、ネガティブな材料となりやすい。一方、米国株のVIX指数は18.76から19.40へ上昇した。VIX指数が20台付近まで上昇してきたことで、リスク回避の動きがやや強まってきた。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.281%

・直近イールドスプレッド縮小:20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%

                21/1/11-▲2.611%、21/10/21-▲2.758%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・1月7日:▲2.665%⇒1月10日:予想▲2.686%(前日比で拡大:割安)

 

1月10日のNYダウは続落した一方で、米長期金利はほぼ横ばいだったことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲3.281%から▲0.595%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.540%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.416%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.855%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.331%下回った。NYダウは、長期金利の上昇が嫌気されハイテク株を中心に朝方に大幅安となったが、金利上昇が反転したことで買い戻された。NYダウは591ドル安まで下落後、162.79ドル安(-0.45%)と4日続落して終了した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.779%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・1月7日:▲2.661%⇒1月10日:予想▲2.669%(前日比で拡大:割安)

 

S&P500が小幅続落した一方で、米長期金利はほぼ横ばいだったことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.779%から▲0.110%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.200%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.333%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.510%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.830%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.553%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.767%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、21/1/11-1.066%

              21/2/16-1.144%、21/11/23-1.299%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・1月7日:▲1.351%⇒1月10日予想▲1.352%(前日比でわずかに拡大:割安)

 

NASDAQはわずかに反発した一方で、米長期金利はほぼ横ばいだったことでイールドスプレッドは前日比でわずかに拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲1.767%から▲0.415%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.827%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲1.031%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.146%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.451%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.742%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利はほぼ横ばいだった一方で、株価はわずかに上昇したが前日比でわずかに拡大した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.3%台半ばでスプレッドが推移していることで割高感は継続している。2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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