FITS エコノミックレポート

グローバル製造業PMIとエコノミックサプライズ指数から市場を見る!(7/31作成)

J.P.モルガン.グローバル製造業PMI(季節調整済)

PMI(購買担当者景気指数)とは、景気の方向性を示す経済指標で速報性の高さから金融市場で注目されている。企業の購買担当者に新規受注や生産、雇用の状況などを聞き取り、景況感についてアンケート調査した結果を指数化したものである。50を判断の分かれ目としてこの水準を上回る状態が続くと景気拡大、逆に50を下回る状態が続くと景気減速を示す。

 

グローバル製造業PMIは、先進国や新興国を含めた世界全体の景気度合いを計る指標として注目されている。

 

また、英国の金融情報・調査会社のIHSマークイットが独自にまとめたPMIがある。

 

『グローバル製造業PMI』は、昨年17123154.5がピークとなり景気拡大の勢いが鈍化し、今年に入ってから指数は低下し続けていた。しかし、331日の53.3をボトムとして一旦は53.5まで回復基調となった。ただ、630日には再び下落し53.0へ低下したことで、世界的な景気の勢いは再び鈍化傾向となっている。しかし、現在は景気成長の節目である50を上回っており、景気拡大は鈍化しながらも継続している。米FRBが利上げを継続していることや、米国発の米中、米欧の貿易通商協議の先行き不透明感が強まっている。また、最近の人民元安や原油が70ドル前後で高止まりしている。米国長期金利が2.90%台まで上昇していることから、ドル建て債務を抱えた新興国の景気の打撃となりやすい。また、世界的に異常気象が発生しており、経済基盤の弱い国では景気の下押し懸念が高まる。

 

一方、『日米欧のマークイット製造業PMI』では、米国は昨年630日時点がボトムとなり、その後若干の調整をしながらも上昇基調を継続していたが、直近の製造業PMIは大きく下落した。FRBの利上げやドル高、そしてトランプ政権による米中・米欧などの貿易通商協議の不透明感が、企業の購買部担当者の景況感を悪化させている。また、直近では関税賦課により鉄鋼価格が先行き上昇すると見られるほか、米国内への輸入車の関税の話しも出ており製造業へのアゲンストとなっている。ただ、7月に入ってからは貿易摩擦懸念も一服状態となっており、若干回復傾向にある。欧州は昨年1231日がピークとなり、下落基調が継続している。今年に入ってからユーロ高が続いていたことが大きな要因と思われるが、このところのユーロ高是正により先行きは戻り基調になりやすい。また、7月25日のトランプ米大統領とユンケル欧州委員長の会談では、今後の交渉で欧州製鉄鋼・アルミへの関税や、オートバイ、バーボンなど米国製品にEUが課している報復関税の『解消』に取り組むことで合意したと明らかにした。このことで欧米間の貿易摩擦の激化が後退したこともあり、購買部担当者の景況感が好転した。一方、日本においては8月9日から日米通商協議が行われる。そのため、米国からどんな圧力が掛かるのか戦々恐々となるなか、購買部担当者の景況感が悪化しやすい。そのため、7月20日の53.0から51.6へやや悪化している。

エコノミック・サプライズ指数(びっくり指数)

シティグループが算出しているエコノミック・サプライズ指数(びっくり指数)は、各種経済指標と事前予想との食い違い(かい離幅)を指数化し、ゼロ(予想通り)を挟んで、上下(プラス・マイナス)で示した指数である。雇用や生産などの各種経済指標が事前の市場予想と比べてどうだったかを指数化したもので、実績が予想を上回れば指数は上昇、逆に下回れば下落する仕組みとなっている。

この指数は市場の期待値に対して上回るものが多いのか、それとも下回るものが多いのかを示す指数である。市場の期待値に対して上回る指標が多ければ当然に株価や通貨が高くなりやすい。一方で、市場の期待値を下回り続けると、市場参加者が景気の先行き懸念が生じることから、遅行して株価や通貨などが下落しやすい。

 

新興国のびっくり指数は資源価格が上昇したことなどから、今年前半は経済指標が市場予想を上回る結果が多くなっていたが、315+39.50がピークとなり、その後は米利上げの影響やドル高の影響もあり急速な下落基調となった。しかし、持ち直しの傾向となっているが、このところはゼロライン近辺で横ばいとなっており、回復基調も一服気味となっている。また、先進10カ国と新興国のびっくり指数は、ゼロライン近辺まで持ち直しているものの、マイナス圏にあることから経済指標は市場予想を下回る結果が若干多い。先進国10カ国のびっくり指数は昨年1224日をピークとして下落基調が続いていたが、新興国同様に戻り基調となってきた。全面ドル高となっていることで、先進国への経済指標の持ち直しがけん引している可能性が高い。ただ、米国と先進国間で通商問題が激化してきていることや、トランプ米大統領からドル高けん制発言がでたことでドルの重石となりやすく、昨年までのような動きにはなりにくい。ただ、びっくり指数が改善方向にあることから、株価の大幅下落などリスク回避の動きにはつながりにくい。

米欧日のびっくり指数では、日欧のびっくり指数はドル高・円安・ユーロ安の恩恵もあり、市場予想を上回る指数が多くなってきている。一方で、米国のびっくり指数は下落基調が続いており、マイナス圏に入ってきた。また、欧州よりも日本の方が円安の恩恵が強く影響し、市場予想を上回る指標が増えてきている。そのため、日欧の株価は持ち直しの傾向が強まっている。一方、米国内ではインフレが高まってきていることも景気の足かせとなってきた。特にトランプ政権が中国や欧州との間で関税賦課の応酬激化の様相となっていることも、先行き不安から企業マインドや消費マインドなども収縮してきている。特に住宅関連指標は、住宅金利の上昇が足かせとなり減速傾向が強くなってきている。米国のびっくり指数の低下は、先行きの米国株価動向を探るうえでも気になるところである。また、米国経済指標が市場予想を下回ると、リスク回避の円買いやユーロ買いにつながりやすい。

 

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