FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2024/01/12/15:15:33

日経平均株価:海外投機筋の買いが相場をけん引

取引時間中のバブル崩壊後高値を連日で更新した。日本株の再評価に加え、海外投機筋の買いなどの需給要因が相場を支えた。個別では、指数寄与度の高いファーストリテイリングが決算を受けて5%超高となり、日経平均を約214円押し上げた。日経平均株価は5営業日で約2100円上昇しているため、短期的な過熱感を警戒する声は少なくはなかった。結局、前営業日比527円高の3万5577円と5日続伸して終了した。東証が12日に発表した1月第1週(4日~5日)の投資部門別株式売買動向(東証・名証の合計)によると、海外投資家(外国人)は1405億円の買い越しとなり、買い越しは2週ぶりとなった。個人投資家は336億円の売り越しとなり、売り越しは4週連続となった。信託銀行は49億円の買い越しとなり、買い越しは3週ぶりとなった。

 

東京外国為替市場:日本株高と米長期金利上昇からドル底堅い展開に

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、145.40円付近へ上昇した。日経平均株価の大幅高で、リスク選好が高まったことも円売りを誘った。しかし、米連邦準備制度理事会(FRB)の早期利下げ観測が根強く、積極的な上値追いは手控えられた。その後、米国市場の3連休を控えた持ち高調整などのドル売り・円買いに押され、145.00円付近へ下落した。午後は、海外短期筋などがドル売り・円買いに動き、一時144.85円付近までじり安となった。ただ、今晩発表される12月米卸売物価指数(PPI)の結果を見極めたいとの雰囲気から下げは一服した。その後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、値を切り返して145.20円を挟んでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、1.09ドル台後半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

日銀は2024年度の物価見通しの下方修正を検討へ:一部報道

日銀は2024年度の物価見通しを下方修正する方向で検討しているという。最近の原油価格の下落を踏まえ、消費者物価上昇率(生鮮食品を除く)の見通しについて、昨年10月時点の前年度比2.8%から、2%台半ばへの引き下げを軸に議論するとのこと。

 

中国政府は台湾与党候補は「極めて危険」とけん制

中国で台湾政策を担う国務院台湾事務弁公室の陳報道官は、台湾総統選・立法委員(国会議員)選を13日に控えるなか、大多数の台湾人民が「正しい選択」をすることを期待すると表明した。また、与党民主進歩党(民進党)の総統候補である頼清徳氏について、中台の衝突を引き起こす「極度の危険性」があると警告している。

 

11月のトルコ経常収支に注目集まる:3ヵ月ぶりの赤字が確実視

本日は欧州序盤に11月トルコ経常収支が発表予定である。観光シーズンが終了し、外貨獲得手段が減るなかで3カ月ぶりの赤字が確実視されている。市場予想が17億ドルの赤字と、結局は前2カ月分の黒字・20億ドルをほぼ取り崩すことになりそうである。シムシェキ財務相が掲げる経常収支の改善への道のりはまだ遠く、リラ売り外貨買いの継続にも繋がってしまう。昨日30リラを超えたドル/リラであるが、トレンドは変わらないとする見方が大勢である。一部メディアが米大手銀行JPモルガンの予想を報じており、2024年末はこれまで1ドル=34リラとしていたところから、36リラまでドル高方向に引き上げた。

 

南アの新政党の行方は

今年は世界中で選挙が行われ、世界70カ国で30億人を超す有権者が投票するとされている。南アでも日程の詳細は決まっていないが、5月に総選挙が行われる。南アではアパルトヘイト廃止後の議会選挙でアフリカ民族会議(ANC)が政権与党を獲得し、その後も同党が与党の座を維持してきた。しかしながら、国民のANC離れは深刻であり、今年の選挙では過半数を初めて割り込むと予想されている。ただし、これまでANCに嫌気して新たに結成された政党の選挙結果は良くない。アパルトヘイト廃止後の20年間の選挙(1999年から2019年)では、議席を確保できた新政党は64政党中わずか14政党だけだった。健闘したのは2004年に50議席を獲得した民主同盟(DA)。元ANCメンバーによって設立された政党も比較的健闘しており、国民会議(COPE)と経済的解放の闘士(EEF)は2009年にそれぞれ30議席、2014年に25議席を得た。もっとも、その後の選挙に勢いをもたらすことができたのはEEFだけだった。今年の選挙でも新たな政党が立ち上がることが確実視されているものの、早期に南アの政局に影響を与えるのは難しそうである。

 

格付け会社S&Pはユーロ圏の弱い成長は格付け下振れリスク

格付け会社S&Pグローバルのディレクター、ヴァルタペトフ氏は、ユーロ圏の経済低迷が長引いた場合、中欧の景気回復の見通しに悪影響を及ぼす可能性があるとした。また、これは最終的に同地域のソブリン格付けに下方圧力をかけかねない重要なリスクだと指摘している。

 

米12月PPIは前年同月比で上昇加速か:US Dashboard

本日12日に12月の米卸売物価指数(PPI)が発表される。市場予想では前年同月比1.4%上昇と、上昇率の前月0.86%から伸びの加速が見込まれている。前月比でも0.2%上昇を見込む。変動の大きいエネルギーと食品を除くコア指数は2.0%上昇と前月から横ばいになる見通し。PPIは企業間で取引される川上の価格動向を示すことから、川下である米消費者物価指数(CPI)の先行指標とされる。11日発表の12月の米CPIは総合指数が前年同月比3.4%上昇、コア指数が3.9%上昇と市場予想のそれぞれ3.2%、3.8%を上回った。家賃や自働車保険などサービス価格の押し上げが主な要因である。米国のインフレが鈍化基調にあるとの市場の見方は変わらないものの、鈍化のペースは見通しづらくなっている。PPIが物価の高止まりを示す内容となるか注目が集まる。

 

欧米市場イベント

○16:00   11月英国内総生産(GDP、予想:前月比0.2%)
○16:00   11月英鉱工業生産指数(予想:前月比0.3%/前年比0.7%)
○16:00   11月英製造業生産高(予想:前月比0.3%)
○16:00   11月英商品貿易収支/英貿易収支(予想:157.00億ポンドの赤字/30.00億ポンドの赤字)
○16:00   11月トルコ経常収支(予想:17.0億ドルの赤字)
○16:45   12月仏消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比0.1%/前年比3.7%)
○16:45   11月仏消費支出(予想:前月比▲0.1%)
○21:00   11月インド鉱工業生産(予想:前年同月比4.0%)
○21:00   12月インド消費者物価指数(CPI、予想:前年比5.87%)
○21:30   レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○22:30   12月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.1%/前年比1.3%)
       食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.2%/前年比1.9%)
○24:00   カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
○13日01:00   12月ロシアCPI(予想:前月比0.9%)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2024/01/11/15:12:26

日経平均株価:米国株高や円安を好感した買いが継続

日経平均は連日の取引時間中のバブル崩壊後高値を更新したほか、心理的節目の3万5000円を1990年2月以来、約34年ぶりに回復した。前日の米国株高や為替のドル/円が円安に振れたことが追い風になった。個別では指数寄与度の高い銘柄が日経平均を押し上げたほか、トヨタ自動車などの輸送用機器もしっかりだった。結局、前営業日比608円高の3万5049円と4日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:日本株や米長期金利睨みで145円台半ばでもみ合う展開に

ドル/円は、このところ急ピッチの上昇が続いていたため、利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いに押され、145.30円付近まで下落した。仲値にかけて本邦輸出勢などのドル売り・円買いが通常より多く持ち込まれたことも、ドル/円の下落につながった。その後は、米連邦準備制度理事会(FRB)の早期利下げ観測がやや後退していることからドル買い戻しが入り、145.50円台へ値を切り返した。午後は、海外短期筋などがドル売り・円買いに動き145.55-50円水準から一時145.29円付近まで下落した。ただ、今晩発表される12月米消費者物価指数(CPI)の結果を見極めたいとの雰囲気もあり、下値を追う動きは限られた。その後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、値を戻して145.50円前後でもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、1.0980ドル前後で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

中国人民銀はMLF金利を10bpの引き下げか:スタンダードチャータード

中国人民銀行(PBOC)が15日に中期貸出制度(MLF)によるオペを行う予定だ。スタンダードチャータードは11日付のリポートで、MLF金利が10bp引き下げられるだろうと予想した。23年12月に開かれた中央経済工作会議で資金調達コストの削減が求められたほか、12日発表の12月の消費者物価指数(CPI)、卸売物価指数(PPI)が共にマイナスになった可能性があることから、「利下げの条件が整ったと推察される」と見込んだ。MLFの引き下げを受け、実質的な政策金利である最優遇貸出金利(LPR)も10bp引き下げられるだろうとみていた。

 

トルコでは軍事産業が輸出に貢献

トルコの軍事企業『バイカル社』は、ロシアの侵攻に対抗するためウクライナ軍が使用した「バイラクタルTB2」という戦闘型ドローンを生産していることで有名である。また、同社製の攻撃型ドローンでは、「バイラクタルアキンチ」も性能の良さで知られている。そのバイカル社は2023年に17億6000万ドルの防衛製品を輸出し、国内企業のなかでも最大の輸出額を記録した。トルコの防衛産業輸出に限って言えば、前述した2つのドローンが3割以上を占めたと報じられている。トルコ政府は国防産業のさらなる発展を目指しており、産業の持続的成長が極めて重要だと位置付けている。同国の防衛・航空産業の輸出額は昨年、過去最高の55億ドルに達した。トルコメディアによれば、過去10年間でトルコは230種類以上の軍事製品をのべ180カ国以上に輸出した。その中でも主要な商品は、無人航空機、装甲車両、海軍艦艇、弾薬などとされている。さてバイカル社は昨年、エルドアン大統領の湾岸諸国訪問の際にサウジアラビアとの間で、過去最大規模の防衛輸出契約を結んだ。同社のCTOバイラクタル氏は、エルドアン大統領の娘婿である。やはり血縁関係もビジネスの発展には必要なようである。

 

23年10~12月期の2.2%成長を予想:米アトランタ連銀の「GDPナウ」

米アトランタ連邦準備銀行がリアルタイムに米国内総生産(GDP)を予測することを目的に独自に算出・公表する「GDPナウ」では、10日時点の2023年10~12月期GDP成長率は2.2%だった。10月27日の算出開始時は2.3%だったが、11月1日発表の米サプライマネジメント協会(ISM)の製造業景況感指数と米建設支出を受けて1.2%へと大きく低下した。その後は1.2~2.1%と水準を切り下げたまま推移していたが、12月8日の米雇用統計で2.3%へと上昇した。12月19日、20日には米住宅着工件数と米中古住宅販売件数で2.7%と算出期間での最高値をつけた。米景気後退(リセッション入り)懸念は大きく後退し、軟着陸(ソフトランディング)の見通しが広がった。しかし、年末にかけて1.9%へと低下し(12月28日)、年明け後も2.0~2.5%と2%台前半での推移が続いている。

 

米MBAの住宅指数が大幅改善方向:US Dashboard

米抵当銀行協会(MBA)が10日に発表した1月5日までの週の米住宅ローン申請件数は前週比で9.9%増加した。借り換え指数が同19%上昇し、前年同週比で30%上昇した。新規の購入指数も同6%上昇し、前年同週比でも6%上昇した。30年固定の住宅ローン金利は前週の6.76%から6.81%へ上昇した。今回の数値は年末年始の休日を調整したものだが、休日調整前の申請指数でも前週比で45%上昇した。未調整の借り換え指数も前週比53%上昇、前年同週比17%上昇だった。一方、未調整の新規購入指数は前週比で40%上昇したが、前年同週比では16%減少した。MBAは「おそらくホリデーシーズン後の営業活動による相上と年末にかけての金利低下によるものだろう。ここ数週間、住宅ローン金利と申し込み状況は不安定で、全体的な活動は依然として低迷している」と慎重だった。

 

米国はイエメンへの攻撃を含む積極的な措置を取る可能性が高い:ユーラシア

ブリンケン米国務長官が10日、イエメンの親イラン武装組織フーシによる商船攻撃に関して「世界各国の利益に対する明確な脅威だ」とし、「攻撃が続けば報いがある」と断言し、報復を再警告した。ユーロシア・グループは10日付のリポートで、「昨日の紅海海上輸送に対するフーシ派武装勢力の攻撃はこれまで最も洗練されたものであり、米国は今後の攻撃を抑止するためにイエメンへの攻撃を含む積極的な措置を取る可能性が高い」との見解を示した。リポートでは、米国の攻撃は、フーシ派の能力を決定的に排除するのではなく、主に象徴的な役割を果たす可能性が高いとも指摘した。しかし、標的を全土の複数の場所に弾薬を備蓄しているといい、「決定的な攻撃は困難であり、米国の意図よりもエスカレートする可能性がある」という。しかし、標的を絞った攻撃は1月初めに米国が出した「最終警告」に基づいており、フーシ派の価値の高い標的を排除するために使用される可能性があるともみていた。

 

米国市場では12月消費者物価指数コア指数が公表:予想は前年比+3.8%

11月実績は前年比+4.0%だった。コア指数の上昇率は鈍化しつつある。ベース効果による前年比伸び率の押し下げ寄与は失われつつあるが、12月のインフレ率は11月実績を若干下回る見込みになっている。

 

欧米市場イベント

○18:30   ブイチッチ・クロアチア中銀総裁、講演
○21:00   12月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前年同月比4.54%)
○21:00   11月メキシコ鉱工業生産(季調済、予想:前月比0.1%)
○22:30   12月米消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.2%/前年比3.2%)
       エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.3%/前年比3.8%)
○22:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.0万件/187.1万人)
○12日02:40   バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○12日03:00   米財務省、30年債入札
○12日04:00   12月米月次財政収支(予想:653億ドルの赤字)

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欧米タイム直前市場コメント!

2024/01/10/15:16:47

日経平均株価:バブル崩壊後高値を更新

日経平均は心理的節目の3万4000円を回復した後も上値追いの展開となり、ザラバでバブル崩壊後高値を更新した。1990年3月上旬以来、約33年10カ月ぶりの高値水準となった。9日の米国株式市場でのハイテク株高に加え、為替のドル高・円安が日本株を押し上げた。市場では東証の改革要請や新NISAへの期待なども株価を押し上げ要因となっているとの見方もあった。結局、前営業日比678円高の3万4441円と大幅に3日続伸した。終値ベースで1990年2月28日以来、約33年11カ月ぶりの高値となった。東京証券取引所が10日発表した12月第4週(25日~29日)の投資部門別株式売買動向(東証・名証の合計)によると、海外投資家(外国人)は2020億円売り越しとなり、売り越しは3週ぶり。個人投資家は2834億円売り越しとなり、売り越しは3週連続となった。信託銀行は891億円の売り越しとなり、売り越しは2週連続となった。

 

東京外国為替市場:145円台が視野に入ると上値の重い展開に

ドル/円は、144.41‐44円水準で始まった。本日は五・十日にあたり、仲値に向けて本邦輸入勢などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、144.70円付近へじり高となった。その後も、日経平均株価の大幅高でリスク選好の円売りが強まり、144.80円台へ値を上げた。午後に入ってもドル買い・円売り基調は続き、一時144.93円付近まで上昇した。ただ、心理的節目の145.00円に接近すると上げは一服した。その後は、利益確定や戻り待ちのドル売り・円買いも見られ、やや値を下げて144.70円台を中心に取引された。明日発表される12月米消費者物価指数(CPI)を見極めたいとのムードが広がっている。ユーロ/ドルは、手掛かり材料難から積極的な売り買いは目立たず、1.09ドル台前半で小動きに終始した。

 

11月の実質賃金の減少率は前月から拡大

厚生労働省が10日発表した2023年11月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月比で3.0%減少した。名目賃金の伸びを上回って消費者物価指数(CPI)が上昇し、実質賃金は2022年4月以来、20カ月連続で減少した。減少率は10月(2.3%減)から拡大した。名目賃金にあたる1人あたりの現金給与総額は前年同月比0.2%増の28万8741円と、23カ月連続で増加した。基本給にあたる所定内給与が1.2%増、残業代など所定外給与が0.9%増となった。賞与など特別に支払われた給与は13.2%減だった。パートタイム労働者比率は0.46ポイント上昇の32.42%、時間あたり給与は4.6%増の1307円だった。

 

トルコ財務相がNY行きを取り止めがトルコリラの重し

ドル/リラは30リラに迫ってきている。シムシェキ・トルコ財務相が、予定していたニューヨーク行きを取り止めたこともリラの買いづらさに影響しているのかもしれない。同財務相は今週、米大手銀行JPモルガン主催のイベントにエルカン・トルコ中銀総裁と共に出席し、投資家向けにプレゼンテーションを行う予定だった。シムシェキ氏はオンラインでは参加予定とされているが、トルコの状況を直接聞きたかったファンドマネージャー達を落胆させたことは確かである。

 

南アに対するエネルギー政策の不信感が高まる

南アの統合資源計画(IRP)は、石炭の長期使用と原子力の使用を主張する一方で、再生可能エネルギー技術は安全なエネルギー供給を提供しないと発表した。国営電力会社の元CEOのデルイター氏が「66000MW相当の再生可能エネルギープロジェクトが進行中」と在職中は述べていたにもかかわらず、このような発表を行ったことで、再び南アに対するエネルギー政策の不信感が高まっている。

 

メキシコでは国外労働者による送金額が前月からの大幅減少を懸念する声も

メキシコ銀行(中央銀行)が2日に発表した11月の国外労働者によるメキシコへの送金額は49億810万ドルとなった。前年同月比では約1.9%増となり、前年同月の水準を43カ月連続で上回る結果となった。1-11月までの送金額はこれで約577億9000万ドルとなり、過去最高額を記録した昨年1年間の送金額が585億1000万ドルであることを考慮すると、12月分を加味すれば過去最高額を更新するのは確実な情勢である。その一方で考慮すべきなのが足もとの送金額の減少具合。国外労働者による送金は基本的に11月に減少し、クリスマス休暇に向けて12月に増加する傾向があるため、11月の減少自体は珍しいことではないが、今月の減少率は前月比15.5%と過去5年間の平均である同5.7%を大きく上回るものだった。専門家からは今月の大幅減少について、「米国の雇用環境が弱まりつつある影響が顕在化してきたのではないか」との指摘も聞かれた。
さらに、メキシコペソ高とインフレによる影響を考慮した送金による購買力は、13カ月連続で低下しているとのデータもある。11月の購買力は前年同月比で12.7%減となっている模様で、過去最高額の更新を額面通りに受け取るべきではない。

 

新年最初の5営業日にS&P500がマイナスになると年間でも弱い経験則

米株には新年最初の5営業日(First Five Day、FFD)が強ければ、その年は強いというジンクスがある。今年は2~3日のFFDの期間にS&P500指数が0.13%安となり、アノマリー通りならことはやや弱い相場展開が予想される。相場のアノマリー分析に詳しいトレーダーズ・アルマナックによれば、1950年以降、FFDがマイナスになった年のパフォーマンスは上昇14回に対して下落が12回で、平均騰落率はプラス0.3%だった。直近でFFDがマイナスとなった年は22年(1.87%安)で、この年にS&P500は年間で19.44%安となった。この年は1月の月間でも5.25%安となっており、月間で弱ければその年も弱いというジンクスも合致していた。

 

欧米市場イベント

○16:00   11月トルコ失業率
○16:00   11月トルコ鉱工業生産
○16:00   12月ノルウェー消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.2%/前年比4.8%)
○16:45   11月仏鉱工業生産(予想:前月比横ばい)
17:20   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○21:00   MBA住宅ローン申請指数
○23:00   シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○23:15   ベイリー英中銀(BOE)総裁、議会証言
○24:00   11月米卸売売上高(予想:前月比▲0.3%)
○11日00:30   EIA週間在庫統計
○11日03:00   米財務省、10年債入札
○11日04:30   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○11日05:15   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演

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欧米タイム直前市場コメント!

2024/01/09/15:20:21

日経平均株価:半導体関連株が上昇をけん引

米ハイテク株高を好感する動きが優勢となり、半導体関連株の上昇が指数をけん引した。バブル後高値を更新し、心理的節目3万4000円に迫る場面もあった。買い一巡後は、ドル/円が円高方向に振れる中で伸び悩んだ。市場では、何度も上抜けられなかったザラ場高値を抜けたことで、上を目指す動きになりやすい。ただ、米消費者物価指数(CPI)の発表や台湾の総統選挙を控えており、警戒感が上値を抑えるリスクはあるとの見方が聞かれた。結局、前営業日比385円高の3万3763円と1990年3月以来33年10カ月ぶりの水準となった。QUICKが評価損益率を計算した、信用取引で買った株式の含み損益の度合いを示す信用評価損益率は12月29日申し込み時点でマイナス8.2%と、前の週のマイナス9.68%からマイナス幅が1.48ポイント縮小した。改善は2週連続となった。

 

東京外国為替市場:米長期金利が上昇するに連れてドル買戻し

ドル/円は、仲値に向けて本邦輸出勢などのドル売り・円買いが通常より多く持ち込まれ、143.85円付近までじり安に推移した。仲値発表後もドル売り基調が続き、143.42円付近まで下げ幅を拡大した。米長期金利がやや低下したこともドル売りを促した。午後は、持ち高調整のドル買い・円売りが見られ、143円台半ばから143.80円台へじり高に推移した。米長期金利がやや上昇したこともドル買い要因となった。ユーロ/ドルは、米長期金利の持ち直しを眺めたユーロ売り・ドル買いがやや優勢となり、1.0960ドル台から1.0940ドル台へじり安に推移した。

 

ドル買い・ユーロ買い比率は低下:前週のFX概況

QUICKが9日に算出した店頭の外国為替証拠金取引(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると「ドル/円」取引の総建玉に占めるドル買い比率は5日時点で49.6%だった。前の週末から9.8%低下し11月10日以来、約2カ月ぶりの低水準だった。米金利の低下一服で円安・ドル高が進む場面で、個人投資家は円売り・ドル買いの持ち高解消に動いた。5日発表の2023年12月の米雇用統計で非農業部門の雇用者増加数が市場予想を上回ると円相場は一時145.98円と昨年12月中旬以来の高値をつけた。昨年末にかえて個人投資家は相場の流れに逆らう「逆張り」で円売り・ドル買いの持ち高を積み上げていた。このため、円安進行で利益確定や持ち高調整の買いを入れた。「ユーロ/円」取引のユーロ買い比率も低下し、6.3ポイント低い34.4%だった。

 

実質金利マイナスの状態ではトルコリラ安の流れを止めるのは難しい

先週トルコ統計局が発表した12月消費者物価指数(CPI)は前月比が3%に届かず、前年比も64%後半とそれぞれ市場予想を下回る結果となった。しかしながら、CPI前年比は約1年ぶりの水準まで上げてきており、ここから5月頃にかけて70-75%まで加速が見込まれている。一方でトルコ中銀は、昨年6月から進めてきた金融引き締めがそろそろ終了するとの見通しを示している。主要な欧米金融機関は今月25日の金融政策委員会(MPC)で2.5%引き上げが決定され、それで一連の利上げサイクルが終了するとの予測である。少数派ではあるが、米大手投資銀行ゴールドマン・サックスは今月も利上げなしとの予想を表明している。インフレ率が金利を上回る実質金利マイナスの状態では、リラ売り外貨買いの流れを止めるのはなかなか難しい。ドル/リラがトップアウトしない限り、リラ/円も本格的に反発というのは見込め無さそうである。ただ外国人投資家からは、シムシェキ財務相やエルカン総裁のもとで進められた金融財政の正常化路線を評価する声は高まっている。先週も欧米の大手資産運用会社からトルコに投資したとの話が伝わった。

 

南アでは国家だけでなく地方の財政も困難に直面

南ア最大都市ヨハネスブルクのグワマンダ市長は、市議会は2024年に向けて憂慮すべき財政状況に直面していると述べた。同市幹部によれば、23年5月に市を引き継いだ際にサプライヤーの請求書未払いが60億ランド以上あり、「破産寸前の自治体」になっているとしている。南アフリカが国家だけでなく地方の財政も困難に直面していることは、同国経済が今後成長する上で足かせになるかもしれない。

 

24年末のJPモルガンの顧客調査

JPモルガンが顧客を対象に行った調査によると、2024年末のS&P500種株価指数のターゲットについて、5000と答えた比率が30%と最も多かった。4750が19%、5250が16%だった。平均は4815だった。24年末のフィラデルフィア(FF)レートについて、4.5%との予想が43%と最も多く、4.0%が21%、5.0%が20%と続いた。平均は4.37%だった。米10年債利回りについて、3.5%との予想が最も多く、4.0%が26%と続いた。平均は3.69%だった。ドル指数は100との予想が38%と最も多く、105が29%、95が18%だった。平均は101だった。今後数日~数週間で株式エクスポージャーを拡大すると答えた比率は47%と前回調査から増加した。現在の株式のポジショニングについて、過去平均の60~70パーセンタイルと50~60パーセンタイルがそれぞれ21%ずつだった。

 

欧米市場イベント

○15:45   12月スイス失業率(季節調整前、予想:2.3%)
○16:00   11月独鉱工業生産(予想:前月比0.2%/前年同月比▲4.0%)
○16:45   11月仏貿易収支
○16:45   11月仏経常収支
○19:00   11月ユーロ圏失業率(予想:6.5%)
○未定   ポーランド中銀、政策金利発表(予想:5.75%で据え置き)
○21:00   12月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前年比4.55%)
○22:30   11月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比▲1.7%)
○22:30   11月カナダ貿易収支(予想:20.0億カナダドルの黒字)
○22:30   11月米貿易収支(予想:650億ドルの赤字)
○10日02:00   バー米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
○10日02:30   ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○10日03:00   米財務省、3年債入札

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2024/01/05/15:10:00

日経平均株価:円安を好感した買い優勢も方向感の出にくい展開

米国株はまちまちで手掛かりに乏しかったが、為替の円安が輸出関連株を中心に支援した。米雇用統計の発表を控え、上値追いは限られた。市場では、日本株は新NISAや企業改革など固有の先行観があり底堅いが、米重要指標の発表を控えて一段高の手掛かりを欠いており、方向感が出にくいとの声が聞かれた。12月の米雇用統計発表を控えて、大引けにかけて徐々に利益確定売りが増えて上げ幅を縮めた。結局、前営業日比89円高の3万3377円で終了した。

 

東京外国為替市場:心理的節目の145円台が意識され上値の重い展開

ドル/円は、仲値に向けて本邦輸入勢などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、144.75円付近から144.89円付近までドル買いが進行した。仲値発表後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、144円台後半で小動きとなった。午後は、米長期金利がやや上昇すると、ドル買い・円売りが持ち込まれ、一時144.94円付近まで上値を拡大した。ただ、心理的節目の145.00円が意識されるとこれ以上の上値追いは限られた。その後は、今晩予定されている12月米雇用統計や12月米ISM非製造業景気指数の結果を見極めたいとの雰囲気もあり、持ち高調整のドル売り・円買いに押され、144.60円台までじり安に推移した。ユーロ/ドルは、1.0930ドル台を中心とする狭いレンジで推移した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

日銀の去年の国債購入額は過去2番目の高水準

日銀は4日、2023年に市場で買い入れた長期国債が113兆9380億円だったと発表した。過去最大だった16年の119兆2416億円に次ぐ過去2番目の高水準となった。市場で長期金利に上昇圧力がかかる中、大規模な金融緩和策の一環で続けた金利抑制のための買い入れが膨らんだ。国債の大量購入は流通量の減少や、金利水準を決める市場の機能低下を招いている。日銀が機能改善を目的に、22年以降行った政策修正に大きな効果は見られず、引き続き緩和策の副作用への対処が求められそうだ。

 

12月ユーロ圏消費者物価コア指数が公表:予想は前年比+3.5%

11月実績は全体、コア指数の上昇率は鈍化した。サービス部門の伸び率が鈍化しており、12月もこの状況は変わらない見込み。ベース効果による前年比伸び率の押し下げ寄与は失われつつあるが、12月のインフレ率は11月実績を若干下回る可能性がある。

 

トルコの外貨準備高が大幅な減少:為替介入を実施した可能性も

昨日トルコ中銀の週間データをもとに算出されたネット外貨準備高は、29日時点で349.5億ドルとされた。これは前週比で約50億ドル減となる。準備高の大幅な減少は、金融当局がドルリラの上昇を抑えるため為替介入を実施したのかもしれない。仮にそうだとしてもドル/リラのリラ安基調は弱まっておらず、完全に1ドル=30リラが視野に入っている。

 

米税関・CBPはメキシコとの国境の検問所を再開

米税関・国境警備局(CBP)はメキシコとの国境にある検問所を再開すると発表した。CBPは高水準の不法移民流入が収まり人員に余裕ができたとしており、メキシコ外務省も検問所の再開を歓迎する声明を発表している。もっとも、今年は米大統領選挙が控えており、移民対策は大きな争点となることが予想されるため、今後も不法移民を巡る懸念は続くことになる。

 

アップル時価総額は年初来1700億ドル消失

4日の取引でアップルの株価が一時1.4%下落し、8週間ぶりの安値を付けた。パイパー・サンドラーが投資判断を「オーバーウエイト」から「ニュートラル」に引き下げたことが嫌気された。アップルの投資判断引き下げは2日のバークレイズに続き今週2回目。アップルの時価総額は年初来、約1700億ドル失われている。

 

季節要因や暖冬の影響から12月のNFPは19万人増か:ゴールドマン

4日に発表された23年12月のオートマチック・データ・プロセッシング(ADP)の全米雇用リポートで民間部門の新規就業者数が16万4000人となり、市場予想の12万5000人を上回った。5日に発表される12月雇用統計も上振れが期待されるところだが、ゴールドマン・サックスは4日付のリポートで非農業部門の新規雇用者数(NFP)を19万人増と予想し、市場予想の16万人増、前月は19万9000人増を上回ると予想した。リポートでは、12月の季節要因で約5万人の増加が見込まれるほか、北東部と中西部の主要都市で降雪が少なく、暖冬の影響も後押ししたと指摘した。ネガティブ要因としては、年末商戦の軟調な消費動向を反映して小売業の雇用者数がさらに大幅に減少すると想定した。なお失業率は3.7%で前月から横ばいと予想。市場予想は3.8%だが、11月に急上昇した後の家計雇用の横ばいを想定した。

 

米国市場では12月ISM非製造業景況指数が公表:予想は52.6

11月実績は52.7で10月から上昇した。総合指数は回復したものの、新規受注指数が横ばいにとどまり、価格指数は低下した。12月については新規受注の改善は期待できないこと、価格指数は伸び悩む可能性があることから、全体的には11月実績を下回る見込みとなっている。

 

欧米市場イベント

○16:00   11月独小売売上高(予想:前月比▲0.1%/前年比▲0.5%)
○18:30   12月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:46.0)
○19:00   12月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比3.0%)
○19:00   12月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比3.5%)
○19:00   11月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比▲0.1%/前年比▲8.7%)
○22:30   12月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化1.35万人/失業率5.9%)
○22:30   12月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化17.0万人/失業率3.8%/平均時給、前月比0.3%/前年比3.9%)
○24:00   12月カナダIvey購買部協会景気指数
○24:00   12月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(予想:52.6)
○24:00   11月米製造業新規受注(予想:前月比2.1%)
○6日03:00   12月ブラジル貿易収支(予想:78.00億ドルの黒字)
○6日03:30   バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○ロシア(新年休暇)、休場

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