FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2020/03/24/15:17:16

日経平均株価:買い戻し主体の上げで大幅続伸

日銀のETF買いに対する期待が支えとなり、朝方から大型株への買いが先行した。その後、NYダウ先物やアジア株の堅調推移に伴って日経先物の買い戻しの流れが強まり、現物指数も上げ幅を拡大した。市場からは『買い戻しが主体。急落した分、自立反発の幅も大きくなる。』との声もあった。需給主導の一方的な上昇に対する警戒感からやや伸び悩む場面もあったが、大引けにかけて再び一段高となった。結局、前営業日比1204円高の1万8092円と大幅続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:FRBのドル資金供給の取り組みからドル弱含み

ドル/円は、FRBなどの主要中銀が市場安定化に向けてドル資金供給に取り組んでいることで、短期筋などのドル売り・円買いに押され110.09円付近まで下落した。ユーロやポンドなどの欧州通貨に対するドル安が波及した面もあった。しかし、トランプ政権が検討している経済対策の行方を見極めたいとうの雰囲気から、下げは一服した。その後は、値ごろ感からドル買いを戻す動きも見られ、110.30円台へ値を切り返した。午後は、日経平均株価やアジア主要株価の動向を睨みながら、110円台前半でもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、米長期金利上昇を眺めた持ち高著性などのユーロ売り・ドル買いが入り1.08ドル台前半から1.07ドル台後半へ水準を切り下げた。

 

中国よりも先に米国で感染者が出ていた疑い

中国外務省の報道官は22日夜、中国で確認されるよりも前に、アメリカで新型コロナウイルスの感染者が出ていた疑いがあると指摘する内容をツイッターに投稿した。
この報道官は先に『新型コロナウイルスはアメリカ軍が中国に持ち込んだものかもしれない』と投稿してアメリカ側の反発を招いたばかりで、再びアメリカ側の反発を招きそうだ。中国外務省の趙立堅報道官は22日夜、ツイッターに、アメリカCDC=疾病対策センターが、新型コロナウイルスの患者をインフルエンザの患者と誤って診断したことを認めていると指摘したうえで、インフルエンザの流行時期を念頭に『新型コロナウイルスの感染が去年9月ごろに始まったとするならば、どれくらいの人が感染したのか。アメリカは最初の患者がいつ現れたのか明らかにすべきだ』などと書き込んだ。

 

アジア通貨危機ならば円安の可能性も

ドル全面高とアジアでのドル調達難、アジア通貨安が加速された。現状段階では円相場は、微妙ながらもドル高に対してのアジア通貨安・円安という連動性が見られている。その意味で引き続きコロナ影響によるアジア経済の打撃とドル調達難や資本流出、日本へのマイナス影響伝播、その流れからのアジア通貨安と円安の相関性は注視される。しかもアジア通貨に関しては、ドル調達難と同時にドル外貨準備高の減少、FRBによるドル資金供給スワップ協定の締結の遅れなども通貨安要因として警戒され始めた。1997-1998年のアジア通貨危機の際は、複合要因もあってドル高・アジア通貨安の加速に連動してドル高・円安が進展。当時のドル/円は1997年6月の110円前後を起点として、1998年8月には147円方向へとドル高・円安がオーバーシュートした実績を有している。

 

欧州市場では3月製造業購買担当者景気指数が公表

2月改定値は49.2に上方修正されたが、新型コロナウイルスの感染拡大によって地域の景況感は急速に悪化している。雇用にも悪影響がおよびつつあることから、3月の数字は2月実績を下回る可能性が高いとみられる。

 

景気後退と株式の弱気相場入りの相関は80%程度

S&P500種株価指数が『弱気相場』の目安となる直近高値からの下落率20%以上を記録したケースは過去93年間に13回ある。13回の弱気相場の内、1年以内に米経済がリセッション(景気後退)入りしなかったのは1987年と1966年の2回だけであり、残り11回はリセッション(景気後退)入り(※85%)している。過去93年間でのリセッション(景気後退)局面は、14回あるが、弱気相場は11回(※79%)、弱気相場でなかったのは3回にとどまる。すなわち、リセッションと弱気相場は、約80%程度の相関関係を有している。

 

投資家の心理改善に重要な3点:ゴールドマンサックス

ゴールドマンサックスの株式ストラティジストは株式相場の速やかな回復と長期にわたる回復に違いをもたらす投資家の心理改善に重要な点は以下の3点だと指摘している。 ⓵どの程度速やかに新型ウイルスの蔓延を抑制できるか、②ビジネスが、90日から180日維持することができる十分な資本や流動資金にアクセスできるか、③財政刺激策が成長見通しを安定させることができるか もし、短期的なビジネス閉鎖が債務不履行や閉店、恒久的な雇用削減につながった場合、企業収益の伸びに与える損害は、新型ウイルス蔓延が終息後も長期化する可能性があると警告している。

 

米国市場では3月製造業購買部担当者景気指数が公表

3月NY連銀製造業景況指数は▲21.5に急低下し、下げ幅は過去最大となった。新型コロナウイルスの感染拡大の影響が表面化している。2月実績を大幅に下回るかの制が高い。

 

欧米イベント

○17:15   3月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値(予想:40.0)
○17:15   3月仏サービス部門PMI速報値(予想:42.0)
○17:30   3月独製造業PMI速報値(予想:39.6)
○17:30   3月独サービス部門PMI速報値(予想:42.3)
○18:00   3月ユーロ圏製造業PMI速報値(予想:39.0)
○18:00   3月ユーロ圏サービス部門PMI速報値(予想:39.0)
○18:30   3月英製造業PMI速報値(予想:45.0)
○18:30   3月英サービス部門PMI速報値(予想:45.0)
○21:00   1月ブラジル小売売上高指数(予想:前年同月比2.2%)
○22:45   3月米製造業PMI速報値(予想:42.8)
○22:45   3月米サービス部門PMI速報値(予想:42.0)
○22:45   3月米総合PMI速報値
○23:00   2月米新築住宅販売件数(予想:前月比▲2.0%/75.0万件)
○23:00   3月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:▲15)
○25日02:00   米財務省、2年債入札
○先進7カ国(G7)外相テレビ会議
○先進7カ国(G7)財務相テレビ会議

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欧米タイム直前市場コメント!

2020/03/23/15:18:05

日経平均株価:日銀のETF買いに対する期待が下支え要因

時間外取引でNYダウ先物が弱含んだほか、アジア株式市場も波乱商状となる中で、買い戻す動きが活発化し底堅く推移した。引き続き市場環境は厳しいものの、日銀のETF買いに対する期待も下支え要因となっている。また、日経平均に影響力の大きいソフトバンクグループが大規模な保有資産の売却を原資とした自社株買いなどを発表して急伸したのも指数を押し上げた。年金などの買い観測もあり、下値が堅いとみた短期筋の買い戻しも入った。結局、前営業日比334円高の1万6887円と3日ぶりに反発して終了した。

 

東京外国為替市場:ドル売り強まり109円台後半へ下落

ドル/円は、上昇ピッチが速すぎるとの警戒感から、利食い売りなどに押されて110円台後半から110.00円まで下落した。米長期金利が低下したことや、日銀がドル資金供給オペを通知したこともドル売りを誘った。午後に入ると、日経平均株価の大幅反発に支えられ110.40円付近まで値を持ち直す場面もあった。しかし、今晩の米国株や原油相場への動向を見極めたいとのムードもあり、ドル買い・円売りは続かなかった。その後はユーロやポンドなどの欧州通貨に対するドル安が波及し、110円台を割り込んで一時109.80円付近まで下落した。ユーロ/ドルは、先週末の海外時間におよそ2年11ヵ月ぶりの安値をつけた反動から、持ち高調整などのユーロ買い・ドル売りが入り1.0750ドル台へ上昇した。

 

新規感染者は中国への逆輸入止まらず

中国では22日、新たに46人の新型コロナウイルス感染者が報告された。国家衛生健康委員会によると、このうち45人が海外からの入国者で、新規感染者は4日連続で前日を上回った。新型コロナの震源地となった中国は感染者を急速に減らしたが、海外から新たに持ち込まれるケースが着実に増えている。ほとんどは外国から帰国した中国人となっている。21日は41人の感染が報告され、全員が海外からの入国者だった。

 

食料品値上がりに中国の利下げは見送り

中国人民銀行は20日、政策金利である最優遇貸出金利(LPR)を年4.05%に据え置くと発表した。新型コロナウイルス感染拡大による経済落ち込みに対応すべく利下げ観測がくすぶっていただけに、据え置きは意外感をもって受け止められた。その意味で、人民銀の利下げ見送りは想定外といっても過言ではなく、豚コレラ等による食料品値上がりに配慮した可能性がある。中国ではLPR(1年物)を貸出基準金利に替わる政策金利としており、大手国有企業など優良企業向け貸出金利との位置づけで、新型コロナ感染拡大で受けた経済的な打撃を和らげるべく2月は昨年11月から3ヶ月ぶりに引き下げられた。

 

リスクパリティー戦略が相場の下げを加速

シーポート・グローバル・ホールディングスのマネジングディレクター、トム・ディガロマ氏は『債券市場で現在進行している出来事のほとんどは、株式投資で生じた損失を穴埋めするための買い持ち解消だと考えている』と述べた。同氏は今の値動きについて『株安・債券高というリスクオフからは大きくかい離しており、(債券の)換金売りで、できるだけ多くの現金を取ろうとしている』と説明する。過去数日間の売り圧力の一部は『リスクパリティー戦略』などを組み込んだコンピューターのシステム取引が原因だ。リスクパリティー戦略は、債券と株式の双方を買い持ちにするなどして、ポートフォリオ構成資産にリスクを分散、リスク量を均等化させ、資産全体のリスクを低下させることを目指す。しかし、こうした戦略は、ボラティリティーの高まった時間が長引くと、自動的なプログラム売りが発動されて全資産が一斉に売りに出され、相場の下げを加速させる。 

 

米大統領選は延期できるのか?

新型コロナウイルスの感染抑制に向けた措置が厳しくなる中、米大統領候補を選ぶ民主党の予備選・党員集会が最後まで実施できるのか、懸念が高まっている。秋までに感染拡大が収束していなければ、11月の本選の実施も危ぶまれる。
米国の選挙制度は、州法と連邦法が複雑に絡みあっている。大統領候補の選定プロセスを巡っては、民間組織である政党が自ら内部規定を設定できるため、さらに複雑さが増すとされている。

 

金融経済混乱後の反動で米長期金利は上昇

米国債金利は世界的キャッシュ化余波で上昇(価格は下落)となっているが、その一巡後も再上昇の余波が警戒される。過去の金融経済混乱における米10年債金利でいえば、2008年9月のリーマン・ショック直後、同年12月にかけて2.04%方向へと急低下した。しかし、その同月段階から、米国株が底入れ反転となる翌2009年3月の前に先行して金利は上昇へと転換した。現在と同じような過度な安全逃避の反動調整もあり、2009年6月にかけて4.00%方向に金利が急上昇した。2001年9月のNY同時テロの際にも、米10年債金利は同月最高の5.00%から11月には4.10%方向へ急低下した。しかしその後は現在期待されている財政出動の実際の始動などもあって、上昇へと転換した。翌2002年3-4月にかけて5.47%へと急上昇した。

 

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2020/03/19/15:15:54

日経平均株価:ソフトバンクグループの下落が上値の重石に

前日の米国株市場が大幅安になりながらも、ECBが量的緩和を開始すると発表したことが好感され、急反発して始まった。その後は、一転して下げに転じたものの、値上がり銘柄の方が多く、指数の推移と物色動向がかい離する展開になった。午後には、ソフトバンクグループが後場に下げ幅を拡大し、一時17%超安となった。日経平均株価を110円押し下げる要因となった。結局、前営業日比173円安の1万6552円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:ドル/円は値動きの激しい展開が継続

ドル/円は、本邦実需筋などのドル買い・円売りに支えられ、108円台後半へ水準を切り上げた。その後も、オセアニア通貨や資源国通貨に対するドル高が波及、109.50円付近まで上昇した。低下していた米長期金利が持ち直したことも、ドルの押し上げにつながった。午後もこの流れは続き、日銀が午前に続いて5~10年の国債買い入れオペ通知すると、一時109.55円付近まで値を上げ、2月下旬以来のドル高・円安をつける場面があった。しかし、連日で乱高下している米国株価動向を見極めたいとの雰囲気もあり、上げは一服した。その後は、高値警戒感から利益確定などのドル売り・円買いに押され、108円台後半へ下落する荒い値動きとなった。ユーロ/ドルは、欧州の景気減速を警戒したユーロ売りが一巡すると、1.0900ドル前後で方向感に欠ける値動きとなった。

 

ECBも臨沂の試算購入プログラムの導入を発表

欧州中央銀行(ECB)は18日、新型コロナウイルスの感染拡大に対応し、7500億ユーロ相当の新たな臨時の資産購入プログラムの導入を発表した。民間、公的部門の証券を対象に2020年末まで実施する。『パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)』は、既存の資産購入プログラムの下での全ての適格資産カテゴリーに加え、信用の質が認定される非金融のコマーシャルペーパー(CP)にも対象を拡大する。ギリシャ債も購入対象に含まれる。報道によると、新型コロナ感染拡大に伴う危機のフェーズが終わったと判断すれば、PEPPの下での純資産購入は打ち切られる。ただ、年内継続が想定されている。

 

新興国ではトリプル安の中でトルコも協調緩和

昨年末に中国で発生した新型コロナウィルスは、中国以外での感染者数の爆発的増加により世界的に移動制限の動きが広がるなど世界経済のリスク要因となっている。
また、米中合意への期待などで活況を呈した国際金融市場も世界経済の減速懸念を受けて一転混乱し、OPECプラス瓦解による原油市況の暴落が混乱に拍車を掛ける。結果、新興国では株式、為替、債券が下落する『トリプル安』に直面する事態となっている。 新型肺炎の震源地が欧州に移るなか、欧州経済への依存度が高いトルコはその影響が避けられなくなっている。トルコ景気は政府の下支え策やインフレ鈍化などを追い風に堅調に推移したが、雲行きが急速に怪しくなっている。 こうしたなか、中銀は17日に緊急会合を開催して政策金利を9.75%とエルドアン大統領の悲願である一桁台に引き下げる決定を行った。世界的な協調緩和の波に乗る形で利下げに動く格好となった。 一昨年のリラ暴落を受けて加速したインフレ率は昨秋にかけて一転鈍化するも、足下では底入れしており、今回の利下げで実質金利のマイナス幅は拡大する。

 

新型肺炎の感染拡大で米国雇用市場に変化も

米国の全50州で新型ウイルスの感染が確認された。大都市ニュージャージー州、ニューヨーク州、コネチカット州などもサンフランシスコ州に続き8時以降の外出禁止令が出されたことで、ジム、レストランやバーなどの営業ができすに一時的に休業を強いられた。また、アップルに続く形で、相次いで大手小売り店も当面休業を発表。新型肺炎蔓延の影響で米国経済はほぼ停止状態となっている。休業を同時に、小売り店や企業は速やかな雇用の削減を強いられている。ニュージャージー州は17日の一日だけで1.5万件の失業保険の申請があったと報じられている。最終的には900万人が雇用の危機に直面すると分析されている。ムニューシン米財務長官は、もし、財政支援がなければ失業率が20%まで上昇すると警告している。

 

米国の2月の住宅市場は非常に強い展開だった

米国の2月住宅着工件数は前月比‐1.5%の159.9万戸と予想150.0万戸を上回った。1月分は162.4万戸と2006年12月以降13年ぶり高水準に上方修正された。2月住宅建設許可件数は前月比‐5.5%の146.4万戸と予想150.0万戸を小幅下回った。1月分は155.0万戸と2007年3月来で最高に上方修正されており、新型肺炎の感染拡大する前、住宅市場が非常に強かったことが証明された。

 

米国市場では20日に2月中古住宅販売件数が公表

1月の実績は、前月比▲1.3%、546万戸となった。中古住宅価格(中心値)は前年同月比+6.8%と底堅さを保っている。2月については、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が出ているものの、金利水準の低下は住宅購入を後押しすることから、販売戸数は1月実績を上回る可能性がある。

 

欧米市場のポイント

○17:30   スイス国立銀行(中央銀行)、政策金利発表(予想:▲0.75%で据え置き)
○18:00   3月独Ifo企業景況感指数
○19:00   1月ユーロ圏建設支出
○21:30   10-12月期米経常収支(予想:1090億ドルの赤字)
○21:30   3月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:10.0)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22.0万件/172.5万人)
○23:00   2月米景気先行指標総合指数(予想:前月比0.1%)
○未定   南アフリカ準備銀行(SARB)、政策金利発表(予想:5.75%に引き下げ)

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欧米タイム直前市場コメント!

2020/03/18/15:19:50

日経平均株価:NYダウ先物の下げ幅拡大で連れて売り優勢に

前日の米国株市場が反発した流れを引き継ぎ、朝方から買いが先行した。NYダウ先物の軟調推移を眺めて上げ幅を縮小する場面もあったが、前日終値近辺で踏みとどまった。日銀のETF買いへの期待や年金の買い観測なども出ている。市場では『米港株が下げ止まらないと日本株の本格的な反発は見込めない。新型コロナウイルスは中国国外での感染拡大が止まっておらず、あや戻しにすぎない」との声もあった。時間外取引でNYダウ先物が下げ幅を広げたことで、今晩の米国株式市場への警戒感から売りが優勢となった。結局、前営業日比284円安の1万6726円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:NYダウ先物の下落でドル売り

ドル/円は、NYダウ先物の下落や時間外取引での米長期金利低下を眺め、107.10円付近まで下落した。前日の海外時間に急伸した反動から、利益確定売りなどのドル売り・円買いも観測された。午後もこの流れは続き、日経平均株価が急速に伸び悩んで下げ幅を拡大すると、さらにドル売り・円買いが進み、107円を割り込んでいちい106.95円付近まで下落した。ただ、下値では値ごろ感からドルを買い戻す動きも見られ107.00円を挟んでもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、米長期金利の低下を背景に持高調整などのユーロ買い・ドル売りが入り1.1045付近まで上昇した。

 

昨今の市場は『ミンスキー・モーメント』

一般的に「ミンスキー・モーメント」とは米経済学者ハイマン・ミンスキー氏の名前に因んだもので、投資家が保有する投機的でないポジションさえも債務支払いで売却の必要に迫られ、価格下落スパイラルと深刻な貨幣需要が生じる瞬間をいう。つまり、投資家が過剰な投機で生じた債務スパイラルにより、深刻なキャッシュフロー問題を抱えるポイントであり、長い繁栄と借金による投機を促す投資価値の増大の後にやって来るとされる。今回の米国株の急落は、バブル的な信用(債務)膨張に支えられた経済で長く隠れたリスクが突然、新型コロナウイルスのパンデミックにより『ブラックスワン』が顕在化、慌てふためいた投資家による資産『投げ売り』が株価暴落を誘発している可能性がある。

 

スペイン風邪も実は中国が発生源

中国を発現地とする疫病拡大の一つが1918年秋に全世界で猛威を振るったインフルエンザ『スペイン風邪』であり、当時の感染者は地球人口の20-40%に及び、感染からわずか4ヵ月で死者2000万人、死亡率2.5%の惨状に至った。日本でも2000万人以上が感染し、死者は約40万人に上った『スペイン風邪』は、その名称からスペインが発生源と誤解する人が多いが、実は、中国が発生源であり、1917年に中国南方で発生し船便を通じて世界各国へ拡散した。スペイン風邪だけでなく、インフルエンザ系ウイルスによる中国を発現地とする疫病拡大の歴史は枚挙に暇がない。1880年に広東で発現したコレラは、翌81年に北京で大流行、感染経路が広東を発源地とする03年SARS流行と酷似したことは記憶に新しい。新型コロナが『100年に一度のパンデミック』とすれば、感染拡大封じの封鎖・隔離『非薬事介入』政策の長期化による経済ショックが懸念される。

 

米国の新型コロナウイルス対策として巨額財政支出の検討

米ホワイトハウスと米連邦議会は、新型コロナウイルス対策として巨額の財政支出の検討に入った。トランプ米大統領は2020年だけで8000億ドル(約84兆円)という異例の大型減税を提案、野党・民主党にも家計や中小企業を対象に7500億ドル規模の財政支出案が浮上している。米経済は景気後退懸念が強まり金融緩和『限界論』と共に次は財政出動が求められている。米議会は3月6日ワクチン開発等に充てる83億ドルの緊急補正予算を成立、16日には下院で新型コロナの検査無償化などを盛り込んだ『第2弾』の経済対策を可決した。さらに、16日に連邦政府に500億ドル超の支援を要請した米航空業界への資金繰り支援策をホワイトハウスと議会は『第3弾』として検討する。米経済は小売店や飲食店の営業停止や欧州等の入国制限で景気後退懸念が浮上しており、米政権と議会は本格的な景気浮揚策の検討に着手せざるを得ない。

 

欧州各国も新型コロナウイルスの感染拡大による緊急対策

欧州各国は医療体制強化や企業資金繰り支援など新型コロナウイルスの感染拡大による社会混乱や景気失速を防ぐべく緊急対策を打ち上げ株価は2000ドル近く急反発した。1.7万人超と中国に次いで感染者が拡大したイタリア政府は、最大250億ユーロ(約3兆円)の経済支援策を用意、売り上げが大幅減少した企業の支援、医療体制の拡充などに充てる。スペインの感染者は5000人を超え、サンチェス首相は13日に非常事態を宣言、政府が強制力を持って人の往来を制限し一定物資を管理下に置く。ドイツ政府は13日、新型コロナの感染拡大の影響を受けた企業の資金繰りを支援すべく総額に上限なき無制限の信用供与を実施すると発表、メルケル首相は『必要なことは何でもやるつもり』と財政出動を示唆した。

 

米国の失業率が20%まで悪化する可能性も

ムニューシン米財務長官が与党共和党の上院議員に対し、新型コロナウイルス感染拡大を受けた経済の混乱により、米国の失業率が20%まで悪化する可能性があると警告したと報じている。現在は3.5%と約50年ぶりの低水準を維持しているが、2008年の金融危機時に比べて悪い状況に陥る恐れがあると懸念を示したという。 

 

欧米イベント

○17:00   2月南アフリカ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.8%/前年比4.5%)
○19:00   1月ユーロ圏貿易収支(季調済、予想:192億ユーロの黒字)
        ユーロ圏貿易収支(季調前)
○19:00   2月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(予想:前年比1.2%)
○19:00   2月ユーロ圏HICPコア改定値(予想:前年比1.2%)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○20:00   1月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比0.3%)
○21:30   2月カナダCPI(予想:前月比0.4%/前年比2.1%)
○21:30   2月米住宅着工件数(予想:150.0万件、前月比▲4.3%)
        建設許可件数(予想:150.0万件、前月比▲3.2%)
○23:30   EIA週間在庫統計
○未定   ブラジル中銀、政策金利発表(予想:4.00%に引き下げ)
○米政権、対欧州連合(EU)への関税引き上げ発動

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欧米タイム直前市場コメント!

2020/03/17/15:20:19

日経平均株価:終日上下に振れる不安定な展開が継続

米FRBが金融利下げを実施したことが、新型コロナウイルスの感染拡大による景気悪化に対する懸念を強めた。前日の米国株式市場でNYダウが2997ドル下落し、過去最大の下げ幅となった。そのため、東京株式市場も米国株の流れを引き継ぎ続落スタートとなったものの、その後はNYダウ先物や為替のドル/円と連動し、プラス圏とマイナス圏を往来する展開となった。結局、前営業日比9円高の1万7011円と5日ぶりの小幅高となった。

 

東京外国為替市場:株価に連れた動きが継続

ドル/円は、引き続き株価につれた動きとなり、日経平均株価が後場に250円超高まで上げた場合で106.60円台まで下値を切り上げたが、株価が再び上げ幅を縮めたため戻りは鈍かった。ユーロ/ドルは、1.11ドル台後半を中心としてもみ合う展開となった。欧州勢待ちの展開となっている。

 

東京五輪中止の場合3兆円以上の損失か:第一生命経済研究所

国際オリンピック委員会(IOC)は17日21時頃、電話会議による臨時理事会を開催する。第一生命経済研究所の16日のレポートでは、東京オリンピックが中止となった場合の損失が3兆円以上となる見込みと指摘した。1984年のロサンゼルス以降の夏季オリンピックを開催した国の経済成長率の平均では、開催年にプラス0.3%ポイント押し上げられており、GDP(国内総生産)の押し上げ額に換算するとプラス1.7兆円、経済波及効果ベースでプラス3.2兆円程度になるという。東京オリンピック・パラリンピックが中止になった場合に最も注意しなければならないのは、『日本人や外国人旅行客の特需が失われることだろう』と指摘している。

 

ロイター短観では過去最大の悪化の見込み

新型コロナウイルスの感染拡大による景況感の悪化で、製造業DIがマイナス20、非製造業DIがマイナス10と、そろって2桁のマイナスとなった。製造業で前月比15ポイントの悪化と、東日本大震災直後の2011年4月以来の悪化幅となった。非製造業は統計開始の1998年6月以来、過去最大の25ポイントの悪化幅となった。新型ウイルスの感染拡大に伴う受注の減少や、消費の落ち込み、イベント開催の中止による売り上げ減など、マイナス要因を挙げる声が多く聞かれた。今回は3月2日‐3月12日に調査が行われた。調査期間は、新型ウイルスの感染が拡大した最中にあたる。調査票発送企業は502社、回答社数は242社。

 

米FRBの金融性政策の出尽くしによる警戒感強まる

欧米での感染拡大は加速傾向にある。FRBは15日、FF金利の誘導目標水準を0.00-0.25%へと1.00%引き下げる緊急利下げを行った。同時に、量的緩和政策も復活させた。今後数ヶ月で米国債を少なくとも5,000億ドル、MBS(住宅ローン担保証券)を2,000億ドル買い入れることを決定した。また、日銀、ECB、BOE、カナダ中銀、スイス中銀と、ドル供給(米ドルスワップ)の拡充を決定した。FRBは緊急利下げについて、新型コロナウイルスの感染拡大を背景とした景気の下振れ圧力の増大への対応とした。 また、パウエルFRB議長は記者会見で、金融市場での資金の逼迫を警戒してのものでもあったと説明している。これを受けて日米の株価先物は一旦大幅に上昇したものの、その後は急落した。 異例ともいえる日曜夜(米国時間)での緊急利下げと主要中銀の協調は一旦は好意的に受け止められたものの、今回の措置で景気が浮揚するとの見方にも繋がらず、(財政政策などを含めて総合的に見れば)対策は不十分との見方が勝った。 また、金利がゼロにまで引き下げられたことで、FRBの執りうる手段は出尽くしてきた(今後はマイナス金利や量的緩和の拡大程度しかない)との警戒感を高めることにも繋がったと考えられる。

 

戦略石油備蓄の積み増し増加でも30ドル維持には不十分

米ゴールドマン・サックス(GS)は、現在の市場の供給超過量を勘案すると、米政府が緊急時に備えて積み立てている戦略石油備蓄(SPR)の積み増しに向け購入量を増大させても、第2・四半期および第3・四半期の原油価格30ドル割れを防ぐには不十分、との見方を示した。トランプ米大統領は13日、原油価格の急落を受け、政府が原油を大量に買い入れてSPRを積み増すと表明した。米がSPR拡大の方針を打ち出すのは、2001年9月の米同時多発攻撃後に当時のブッシュ(子)大統領が実施して以来のこととなる。しかし、GSは15日付のレポートで、SPR向け購入量は最大でも日量50万バレル程度であり、国際原油市場の供給超過量である日量600万バレルには及ばない、と指摘した。

 

米国市場では2月小売売上高を公表

1月実績は前月比+0.3%だった。1月は暖冬の影響で建築・園芸資材の需要が増加した。飲食サービスの売上も堅調だったが、衣料品店の売上は反動減となった。2月については、衣料品の売上高が反動増となる可能性が高いことや、生活必需品の売上増加も予想されることから、全体的には1月実績に近い数字となる可能性がある。

 

欧米イベント

○18:30   2月英雇用統計(失業率/失業保険申請件数推移)
○18:30   1-3月英失業率(ILO方式、予想:3.8%)
○19:00   3月独ZEW景況感指数(予想:▲26.4)
○19:00   3月ユーロ圏ZEW景況感指数
○19:00   レーン・フィンランド中銀総裁、講演
○21:30   1月対カナダ証券投資
○21:30   1月カナダ製造業出荷(予想:前月比▲0.5%)
○21:30   2月米小売売上高(予想:前月比0.2%/自動車を除く前月比0.2%)
○22:00   2月ロシア鉱工業生産(予想:前年比1.0%)
○22:15   2月米鉱工業生産指数(予想:前月比0.4%)
       設備稼働率(予想:77.1%)
○23:00   1月米企業在庫(予想:前月比▲0.1%)
○23:00   3月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:73)
○フロリダなど4州で米大統領選民主党予備選

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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