FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米ビックイベント通過と好業績銘柄に買い

NYダウ先物が底堅い動きとなっていることに加え、香港ハンセン指数、上海総合指数などのアジア株が上げ幅を拡大したことも安心材料となった。市場では『積み上がっていたショートポジションを巻き戻す動きが活発化していることに加えて、好業績を発表した銘柄の上昇も目立った。また、米大統領選というビックイベントを通過したほか、足元の業績も想定以上に回復しており、株高になりやすいタイミングが重なっている』との指摘もあった。結局、前営業日比514円高の2万4839円と5日続伸して終了した。1991年11月5日以来29年ぶりの高値となった。

 

東京外国為替市場:103.00円近辺では底堅さを確認

ドル/円は、103円台前半で一進一退だった。仲値にかけて本邦輸入企業のドル買い・円売りが持ち込まれ103.20円付近から103.40円付近へ上昇する場面も見られた。ドル買い一巡後は103.25-35円付近へじりじりと値を下げた。好調な日米株に支えられドル/円もリスク選好基調となったものの、ドル/円の下落時では利益確定などのドル買い・円売りも散見され103円付近では下値は堅かった。午後は、ユーロ/円に連れて円売りが強まり、103.50円付近へ小幅上昇した。

ドル円の下値は、103.00円やその手前には買いオーダーが散見される。またの明日NYカットオプションが103.00円に観測され、もし大台を割りこんだ場合でもオプション絡みの買いもそれなりに出てくる可能性はある。ただし、テクニカル的には103円を割り込むと主だったサポート水準が無いことで、下げ幅が大きくなることもあり得る。

 

ユーロ/ドルは、1.18ドル台後半でもみ合い相場が続いた。欧州勢待ちの様相となっている。

 

国内機関投資家は外債投資を減少傾向:ドル/円の下支えになりにくい

先月に生命保険会社が発表した20年度下半期の運用計画を見ても、外債買いの減少が伺える。 最大手の日本生命は、国内債券などの残高を約1兆円積み増すとした。積み増し分は、新規資金7000億程度にくわえ、オープン外債(為替ヘッジをしない)の残高を約3000億円圧縮し振り向ける。ヘッジ付き外債の残高については横ばいを見込んでいるとしているが、オープン外債は為替相場の不透明感が続くとの理由で減少させる方針である。大手の明治安田生命も円債を積み増し、外債はオープン債を減らす方針である。第一生命も円債増、オープン外債の残高は、為替動向を踏まえて資金配分したことにより上期に減少した。下期もリスク許容度などをにらみながら調整していくとした。外債投資は当然ながら米国債だけではないものの、米債市場の流動性の高さから資金が一番向かいやすい。ただ暫くは国内投資家の米債購入は依然のように盛り上がらず、ドル円自体を支えることにはなりにくい。

 

トルコ財務相の突然の交代劇

週末に伝わった『エルドアン・トルコ大統領によるウイサル中銀総裁の更迭』や『アルバイラク財務相の辞任』の影響を見極めながらの値動きとなる。週明けの市場はリラ買い戻しで反応している。突然のウイサル総裁の更迭は、大統領が金融緩和を望んでいるにもかかわらず、中銀が夏以降に引き締め路線に転じたことが理由ではないかとされている。前総裁のチェティンカヤ氏も19年7月に解任されており、わずか1年4カ月での入れ替えとなった。今後、中銀の独立性への懸念が高まるなかで通貨リラへの信認が益々揺らいでしまう。来週19日には金融政策決定会合が控えており、新総裁に指名されたアーバル新トルコ中銀総裁の最初の舵取りが注目される。一部専門家からは『新総裁は政府や与党で豊富な経験があり、利上げの承認を取り付けられるかもしれない』との声も出ている。 

 

南アではポジティブ材料とネガティブ材料が交錯

アフリカ諸国にとっては、経済的に友好と思われる米民主党のバイデン政権が樹立されることになったことで、南アにとっては久々にポジティブな材料となる。もっとも、欧州の感染第2波とロックダウン再開が南アの自動車産業をはじめ製造業に与える影響が大きいことには警戒する。南ア自動車製造用者協会が発表した新車販売台数は前年比で-25.4%となった。南アの自動車製造業は国内製造業生産高の27.6%も占め、しかも自動車輸出の4分の3が欧州向けであるため、南アにとってはネガティブな要因として中期的に響く。

 

米大統領選結果では12月8日と12月14日が重要日

民主党のバイデン候補は勝利宣言を行ったが、関係筋によるとトランプ大統領は敗北を認めていない。法廷闘争が長引いた場合、政権移行は遅れ、経済・外交政策などに影響が及ぶことから、リスク選好的な円売りがただちに拡大する可能性は低い。なお、全米各州における選挙結果は12月8日までに確定させる必要がある。また、12月14日に行われる獲得選挙人による投票で米国の次期大統領が選出されるが、この時点で決定されなかった場合、1月3日に改選後の新たな議会が招集される見込み。1月6日に上下両院の合同本会議で投票結果を確認し、下院で50州の代表が各自1票ずつ投票し、26票以上を得た候補者が大統領に選出される可能性はゼロではないとみられている。

CNNテレビは、トランプ米大統領夫人のメラニア氏や娘婿のクシュナー大統領上級顧問がトランプ氏に敗北を認めるべきだと主張している、と報じている。トランプ氏は政策決定でクシュナー氏や長女イバンカ大統領補佐官の意見を重視しているとされ、家族による説得工作の行方に注目が集まっているという。一方で長男ジュニア氏や次男エリック氏は法廷闘争を続けるべきだと訴えているとされている。

 

10月米雇用統計結果:概ね予想上回る結果

米労働省が発表した10月失業率は6.9%と、9月7.9%から予想以上に低下しパンデミックで経済封鎖された3月来で最低となった。10月非農業部門雇用者数は前月比+63.8万人となった。伸びは9月+67.2万人から鈍化も予想+58.0万人を上回った。平均時給は前年比+4.5%と、予想通り9月+4.6%から伸びが小幅鈍化し3月来で最小となった。労働参加率は61.7%と、9月61.4%から予想以上に上昇。不完全雇用率(U6)は12.1%と、9月12.8%から低下し3月来で最低となった。

 

欧米市場イベント

○15:45   10月スイス失業率(季節調整前、予想:3.3%)
○16:00   9月独貿易収支(予想:160億ユーロの黒字)
○16:00   9月独経常収支(予想:190億ユーロの黒字)
○17:00   レーン・フィンランド中銀総裁、講演
○18:25   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○19:35   ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○21:00   10月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.57%)
○21:00   メルシュECB専務理事、講演
○23:00   ホールデン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○10日03:00   米財務省、3年債入札
○10日03:30   メスター米クリーブランド連銀総裁、カンファレンスに参加

 

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