FITS エコノミックレポート

欧米市場直前市場コメント!

日経平均株価:米国株の下落を引き継ぐ

前日の米国株市場で主要3指数が反落した流れを引き継ぎ、朝方から売りが先行した。米中の通商合意には時間を要するとの見方も投資家心理を冷やし、一時2万1300円台後半まで下落した。市場からは、『国内主要企業の決算発表前に動きづらい。日米貿易交渉や米FOMCで円高に振れるリスクを考えると日本株のポジションを軽くしておこうという動きも出た。内需株も消費増税を控えて小売株も買いづらい。』との声も出ている。結局、前日比66円安の2万1469円と続落して終了した。

 

東京外国為替市場:108円台前半で終日もみ合う展開

ドル/円は、一部メディアが関係者の話として『9月の日米首脳会談で、小規模な通商合意の可能性がある』と報じたことが好感され、108.33円付近まで上昇した。しかし、前日のNY市場でつけた高値108.37円が意識されると、ドルの上げは一服した。その後は、長期金利の低下や日経平均株価の続落をながめたドル売り・円買いに押され、108.10円台へ軟化した。午後は、日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら、108.20円付近でもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、1.12ドル台前半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

5月は中国の米国債保有額が2年ぶりに低水準

米財務省が16日に発表した5月の対米証券投資(TIC)統計によると中国の米国債保有額が1兆1102億ドルとなって前月(1兆1130億ドル)から28億ドル減ったことが分かった。減少は3ヵ月連続で、2017年5月(1兆1022億ドル)以来、2年ぶりの低水準に減ったことになる。トランプ大統領が5月5日に中国に対する追加関税措置をツイッターで発表し、この月は米中の貿易戦争懸念が高まる時期だった。ただ、JPモルガンの16日付けのリポートによれば、この月は英国が63億ドル買い越す一方でユーロ圏、産油国、日本、中国を除く新興国らがそろって売り越しとなっていた。英国経由の買いが中国によるものである可能性が残る一方、JPモルガンは『米国債に対する需要の大部分は民間部門からのものと予想され、公的部門による需要は依然として低調なものとなりそうだ』と指摘している。

 

中国景気の底打ちはしばらく時間を要する可能性

米中摩擦は先月の米中首脳会談を経て一時休止状態となったが、対米輸出の半分以上に制裁関税が課される状況のなか、外需を巡る状況は一段と厳しさを増している。こうした状況は幅広く企業マインドの悪化を招き、景気減速が意識されている。今年1-3月の実質GDP成長率は横這いで推移して早期の景気底打ちが期待されたが、その後は景気下振れ懸念が高まった結果、4-6月は前年比+6.2%と最も低い伸びとなった。年前半の成長率は+6.3%と通年目標の範囲内にあるが、年後半の景気の鍵を握るのは内需の動向になる。家計部門の可処分所得の伸びは一段と鈍化しており、財布の紐が緩む環境にはほど遠い状況は変わっていない。昨年末以降の金融緩和に伴う不動産市場への資金流入が関連投資を下支えしているが、過剰債務が経済活動の重石となるなか、持続力の低下は避けられない状況にある。政府(国家統計局)は年後半の景気に比較的楽観的な姿勢をみせるが、内・外需双方で不透明要因が山積し、見通しは立ちにくい状況が続く。景気の底打ちにはもうしばらく時間を要する可能性が高いと見込まれる。 

 

本格化する米企業決算に注目

米国株市場では今週以降、4-6月期の決算発表が本格化していく。米国株は6月からFRB利下げ期待などで大幅反発となっており、決算発表での『現実の収益悪化確認』が調整株安のリスクとなる。為替相場では、リスク回避の円高要因となりやすい。
もっともS&P500採用企業に関しては、『4-6月の増益率が前年比-0.3%前後』という減益リスクは織り込みも進みつつある。先行きについては利下げ期待や金利低下、ドル安、過度な貿易摩擦懸念の反動などにより、『10-12月期にかけて+6.7%前後の修復予測』も見られ始めた。今回の決算発表シーズンが『当座の最悪期』となる可能性があり、中長期スパンでのドルの下値拾いや円の戻り売りが後押しされる余地も残されている。

 

米国市場では6月住宅着工件数が公表

5月実績は、前月比▲0.9%の127万戸だった。全米4地域のうち3地域で減少した。6月については5月に減少した北東部での着工件数がやや持ち直す可能性があるものの、6月のNAHB住宅市場指数は今年初の低下を記録しており、6月の着工件数が大幅に増加する可能性は低いと見られてる。

 

欧米市イベント

○17:30   6月英消費者物価指数(CPI、予想:前月比横ばい/前年比2.0%)
      CPIコア指数(予想:前年比1.8%)
○17:30   6月英小売物価指数(RPI、予想:前月比0.1%/前年比2.9%)
○17:30   6月英卸売物価指数(PPI、食品とエネルギーを除くコア指数、予想:前年比1.7%)
○18:00   5月ユーロ圏建設支出
○18:00   6月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(予想:前年比1.2%)
○18:00   6月ユーロ圏HICPコア改定値(予想:前年比1.1%)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○20:00   5月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比1.6%)
○21:30   5月カナダ製造業出荷(予想:前月比2.0%)
○21:30   6月カナダCPI(予想:前月比▲0.2%/前年比2.0%)
○21:30   6月米住宅着工件数(予想:126.1万件、前月比▲0.7%)
        建設許可件数(予想:130.0万件、前月比0.1%)
○22:00   6月ロシア失業率(予想:4.5%)
○23:30   EIA週間在庫統計
○18日02:30   ジョージ米カンザスシティー連銀総裁、講演
○18日03:00   米地区連銀経済報告(ベージュブック)
○先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議(仏シャンティイ、18日まで)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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