FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント

日経平均株価:世界的な景気回復の鈍化懸念から売り優勢

新型コロナウイルスの変異種デルタ株の感染動向が警戒される中、前週末の米株安が嫌気された。2万7600円台から始まり、いったん戻りを試したものの、2万7800円を超えられずに失速した。買いが手控えられる中で、売りは急がれる展開になった。世界的な景気回復の鈍化を懸念した売りが出て、下げ幅は一時500円を超えた。国内では週末に4連休を控え投資家の慎重姿勢が強く、押し目買いも入りにくかった。結局、前週末比350円安の2万7652円と4日続落となった。

 

東京外国為替市場:米長期金利が持ち直すとドル買い戻し

ドル/円は、米長期金利が1.26%台へ低下したことからドル売り・円買いが先行し、109.85円付近まで下落した。NYダウ先物や原油先物価格の下落も、リスク回避の円買いを誘った。しかし、16日の東京市場でつけた安値109.74円が視界に入ると下げは一服した。その後は、本邦輸入勢などがドル買い・円売りに動き109.95円付近へ値を切り返した。低下していた米長期金利が1.28%台へ持ち直したこともあり、ドル買い戻しの動きになった。午後は日経平均株価やアジア主要株価を睨みながら、109.90円台を中心とした狭いレンジで取引された。ユーロ/ドルは、1.1805ドルを挟んでこう着状態相場となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

トルコはイスラム最大の祭りで今週は休暇ムード

今週のトルコは、イスラム最大の祭り『イード・アル・アドハー(いわゆる、犠牲祭)』で20日(火)から23日(金)が祝日、19日も前夜祭でイスタンブール株式市場は半休となる。夏季休暇ムード一色になることが予想され、想定外の事件が起きない限りリラ相場も大きくレンジを広げることはなさそうである。ただ、リラの流動性悪化には注意すべきであり、スプレッドも通常より広がる可能性がある。特徴的なのは犠牲祭期間というよりも、祭り後に下値を試していることが多い。値動きだけを参考にした場合、流動性薄い中で上げたところは売り場なのかもしれない。


 

政情・経済不安が重なり南アランドの上値は限定的

資産運用会社による南アフリカの株式と通貨見通し引き下げ、ウイルス感染拡大によるロックダウンの延長などネガティブ要因に加えて、暴動の激化は南ア経済にとって大きな痛手となっている。当初はズマ前大統領の支持者によるデモでしたが、失業率が32.5%(15-24歳の若年層は63.2%)まで悪化していることなどで、国民の不満が爆発したかたちになっている。ウイルス感染が拡大するなか、暴動によりワクチン普及の遅れも目立ち始めた。政情・経済不安も重なっていることからランドは売り場探しとなりやすい。

 

今週の注目は南アの6月消費者物価指数

今週の最大の注目は6月南ア消費者物価指数(CPI)と南ア準備銀行(SARB)MPCの結果である。CPIは前回、SARB目標の中心値を上回ったことで徐々に利上げ期待が高まっている。ナイドゥSARB副総裁は金利について『金融緩和政策を維持する』とした一方で、『現在はマイナス金利の状態で、50ベーシス利上げしてもまだマイナス金利』とも発言した。結果次第でランド相場は不安定な動きとなる可能性もある。

 

メキシコでは年内2回の利上げの予想も

先月のサプライズ的な利上げを受けて一部アナリストの間では年内にあと2回は利上げを行う可能性を予想する声も出ている。インフレも一時的とみていた4-6月を終えて7月に入って低下していくのかどうかを見極めるうえでは、22日に発表される速報的な7月前半のCPIに注目される。

 

米7月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値は2月来最低

米7月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値は80.8と、6月85.5から上昇予想に反して低下し、2月来で最低となった。現在景況感は84.5と、6月88.6から上昇予想に反し低下し、昨年8月来で最低となった。消費者先行景況感も78.4と、6月83.5から予想外に低下し2月来で最低。米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ期待指標として注目している同指数の1年期待インフレ率速報値は4.8%と、6月4.2%から上昇し、2008年8月来で最高。5-10年期待インフレ率速報値は2.9%と、6月2.8%から上昇した。

 

リスク回避のなかでドルを支える可能性も:メイバンク

世界的に新型コロナウイルスのインド型(デルタ株)による感染再拡大が警戒される中、マレーシア最大手銀のメイバンクを19日付のリポートで『先週末に米国株下落によるリスク回避的な資金流出と、世界的なパンデミック状況におけるいくつかのネガティブな展開が19日のほとんどのドル/アジア通貨のペアを押し上げた』と指摘した。リスク回避の展開の中でドル高アジア通貨安が進んだことに着目しつつ、『インドネシアは一日の死亡者数がブラジルを超えている。シンガポールでは食品市場や学校での感染拡大が報告されている。フィリピンではデルタ株の初の症例が確認された。米国では、デルタ株の感染拡大により、50週全てで新型コロナの感染者数が増加しており、ワクチン接種率の低い地域でアウトブレイクが発生していると報告されている』などと指摘している。『センチメントは当面、警戒感を強める方に傾きドルを一時的に支える可能性がある』とし、リスク回避のなかで短期的にはドル高が続くとみていた。

 

欧米市場イベント

○18:00   5月ユーロ圏建設支出
○19:00   ハスケル英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○23:00   7月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:82)

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