★日経平均株価:米中通商問題懸念が根強く上値の重い展開
米中通商問題への懸念が根強く、朝方から幅広い業種で売りが先行した。先物への売りも相場を押し下げ、一時200円超に下げ幅を拡大した。しかし、その後は日銀の株式ETF買いへの思惑が下支えとなった。市場では、日経平均2万1000円を割り込むとこのレベルがレジスタンスとして意識されるとの観測だった。結局、前日比125円安の2万1062円と反落して終了した。
★東京外国為替市場:日本株下落でリスク回避の円買い
ドル/円は、トランプ大統領が早期に国家安全上のリスクがある企業の通信機器使用を禁止する大統領令に署名したことで、米中貿易摩擦が激化するとの懸念が広がり、109.33円前後まで下落した。日経平均株価の下げ幅が一時200円を超えたことも、リスク回避の円買いを誘った。しかし、前日の海外市場で付けた109.15円が下値も目処として意識され、下げは一服した。その後は、国内輸入企業のドル買い・円売りや上海総合株価指数の持ち直しに支えられ、109.50円前後まで戻した。午後は、株価をにらみながら109.50円を挟んだもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは1.12ドル台前半で方向感を欠く展開となった。欧州勢待ちの様相となっている。
★18日の豪州総選挙に注目
豪州では今週土曜日5月18日に連邦議会の総選挙が実施される。注目は下院(代議院、House of Representatives)150議席のうち改選前は69議席の野党・労働党が政権を奪還するかどうかである。週末の世論調査では、労働党支持率は51%と4月当初よりも低下しているが、モリソン首相率いる自由党を含む与党・保守連合の49%を上回っている。労働党が政権党となった場合、このところ強まっていた中国への警戒感を緩める姿勢に転換する可能性もでてきた。また、保守連合よりも労働党の方がより積極的な温室効果ガス排出量削減の目標を掲げており、多国籍企業や銀行へ課税し、それを財源に再生可能エネルギーへの投資も表明している。労働党が豪国民からの信頼を勝ち取れる政党になれるのか、18日に注目される。
★中国の景気底打ちが遠のく様相
米中貿易摩擦を巡っては、米中双方が制裁強化に動くなど不透明さが増している。昨年の中国経済はデレバレッジに伴う内需鈍化に加え、米中貿易摩擦や世界経済の減速懸念が外需の重石となったが、年明け以降は内需喚起策への期待が高まった。3月には企業マインドが底入れする動きもみられたが、4月には早くも頭打ちするなど期待先行の色合いが強く、米中摩擦再燃に伴い景気底打ち時期は後ズレが避けられそうにない。 4月の鉱工業生産は前年比+5.4%と再び鈍化し、インフラ関連で底堅い一方で製造業を中心に弱含む動きがくすぶっている。小売売上高も実質ベースで前年比+5.1%と歴史的低水準に鈍化し、株価の頭打ちや物価上昇に伴う実質購買力の下押しなどが消費の重石になっている。さらに、1-4月の固定資産投資は前年比+6.1%に鈍化し、『国進民退』が進むなど民間投資が鈍化する一方、カネ余りを受けて不動産投資は堅調に推移するなど新たなリスクもくすぶる。足下の不動産市況は底入れしており、上振れ懸念の再燃にも要注意だ。国家統計局は4月の経済指標について引き続き『合理的な水準』との見解を示す一方、下振れリスクを注視する姿勢を示し、マクロ政策による対応余地に言及した。劉鶴副首相が財政・金融政策での対応余地に言及したことに合致する。短期的にプラスの期待がある一方、中長期的な『バブル清算』のリスクは引き続きくすぶる。
★中国リスクは企業負債の増加
中国「構造不況」が景気底入れ後の回復力の鈍さを危惧させる最たる要因が、すでに日本のバブル期と同じ200%を超えた中国の民間債務比率の大きさである。足元で企業倒産が記録的な水準に達し、国全体の総負債額のうち60%を企業負債が占め、リーマン危機以降の財政大判振る舞いにより、世界の債務増加額67兆ドルのうち、中国が27.5兆ドルと全体の4割を占める。
『2017年の中国全体の負債額は32.5兆ドル(GDP比266%)を超え、10年間で4.4倍(GDP比で1.6倍)に膨れ上がった』そもそも、中国の経済発展は多額の債務をテコに成就された。2011年からの7年間で名目GDPは6.3兆ドル(約700兆円)増えたが、その間に債務も膨れ上がった。とりわけ、企業負債の中で突出しているのがドル建て債務であり、2011年頃から急増し17年10-12月期に450億ドルに迫った。
★10月末に近づくにつれ英国の合意なき離脱不安が高まる
メイ首相は6月第1週に離脱協定法案を議会に提出し、7月後半に始まる夏季休会前の成立を目指す方針を発表した。関税同盟への残留を軸とした与野党協議の行方に暗雲が広がっているうえ、保守党を取り巻く政治環境の悪化で議員の態度も硬化している。
法案成立に必要な賛成票が得られるかは疑わしい。見切り発車の法案審議が失敗に終わり、メイ首相はこのまま退陣を余儀なくされる可能性が高い。後継首相の下で再開される離脱協議も難航が避けられない。強硬離脱派の後継首相誕生時や10月末の協議期限が近づくにつれ、合意なき離脱の不安が再燃する。
★欧米市場イベント
○16:30 プラート欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○18:00 3月ユーロ圏貿易収支(季調済、予想:194億ユーロの黒字)
ユーロ圏貿易収支(季調前)
○21:30 3月対カナダ証券投資
○21:30 3月カナダ製造業出荷(予想:前月比1.1%)
○21:30 4月米住宅着工件数(予想:120.5万件、前月比6.2%)
建設許可件数(予想:129.0万件、前月比0.2%)
○21:30 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22万件/168.0万人)
○21:30 5月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:9.0)
○21:30 デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○17日01:05 カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
○17日01:15 ブレイナード米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○17日02:30 ハスケル英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○17日03:00 クーレECB理事、講演
○17日03:00 メキシコ中銀、政策金利発表(予想:8.25%で据え置き)
○ユーロ圏財務相会合(ブリュッセル)
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