FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:様子見ムード強まり利益確定売り優勢

寄り付きの日経平均は米国株高を好感し続伸スタートとなったものの、その後急速に上げ幅を縮小しマイナス圏に転落した。9日に決算を発表した安川電機が一時8%超安と大幅に下落したことなどが嫌気された。ドル/円は円高傾向も重石となり、日経平均は前引けにかけて下げ幅を拡大する展開になった。市場では、『日経平均は3万円を回復すると利益確定売りに押される。週内で米国株が大きく上昇となると日経平均も再び3万円台を回復する可能性はあるが、日米ともに企業決算の本格化を控え、様子見ムードが強まりやすい、3万円台定着はなかなか難しいのではないか』との声が聞かれた。結局、前営業日比229円安の2万9538円で終了した。

 

東京外国為替市場:米長期金利低下からドル半ばまで急落

ドル/円は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、しばらくは109.70円台で小動きだった。仲値も売り買いに大きな偏りもなく無難に通過した。しかし、米長期金利がやや低下したことを切っ掛けに、日米金利差縮小を意識したドル売り・円買いが持ち込まれ、109.48円まで急速に下落した。アジア株安や日経平均株価が下げ幅を拡大したことで、リスク回避の円買いが進んだことも重石になった。午後のドル/円は、夕方から参入してくる欧州勢の動向を見極めようとの向きから様子見ムードとなり、109円台半ばで小幅な値動きに終始した。ユーロ/ドルは、バネッタECB専務理事が週末に一部スペイン紙のインタビューで、ユーロ圏の景気回復が思うように進んでいないとの発言も伝わっており、これに対する市場動向を見極めてたいなど、欧州勢待ちの様相となり、1.18ドル台後半で小幅な値動きに終始した。

 

EUでワクチン接種に好転の兆し:EUの正常化期待でユーロ下支え

新型コロナウイルスワクチンの接種で英米に大きく出遅れていた欧州連合(EU)諸国が転機を迎えつつある。ワクチンの供給に支障が生じないことが前提だが、年央までに事態が好転する兆しが出てきた。英アストラゼネカ製ワクチンの安全性を巡る懸念など、足かせとなる要因はなお残る。だが、社会的および政治的な圧力が強まる中で、欧州の政策担当者やアナリストからは、夏には潮目が変わるとの慎重ながらも楽観的な見方が出ている。ワクチンメーカーも生産を加速させており、秋までには経済再開を実現できるだけの十分な量を供給できると話している。専門家の分析では、7月下旬までにEUの成人の50%以上がワクチンを接種すれば、正常化への道が開けると推定されている。ただこれは、複数のメーカーからの供給が途絶えることなく、当初接種ペースを遅らせていた物流や行政手続きなどの制約を克服できるかにかかっている。

 

イラン核施設で配電網を巡る事故:中東情勢悪化リスクも

イランのメディアによると、原子力庁報道官は11日、ウラン濃縮活動を行っている中部ナタンツの核施設で配電網をめぐる事故が起きたと明らかにした。詳しい原因は不明だが、同庁のサレヒ長官は『テロ行為』との見方を示した。負傷者や大気への汚染はないという。時事通信が伝えた。サレヒ氏は、国際社会や国際原子力機関(IAEA)が対応策を取るよう要求した。『実行犯に対して行動する権利がある』と述べ、何らかの報復を行う可能性も示唆した。イスラエル当局はコメントしていないが、同国のメディアでも『イスラエルによるサイバー攻撃』を疑う声が出ている。

 

15日のトルコ中銀金融政策決定会合が最大の注目

先週発表されたトルコ物価指標では、インフレ改善の兆候は全くみられない。現状では、カブジュオール・トルコ中銀総裁の就任後に警戒感が高まった『早期緩和』は避けられそうである。。ただし、引き締めスタンスが維持されるにしても、その声明には何等かの変更がみられるかもしれない。また、先週トルコ中銀が発表した2日時点の外貨準備高は前週比で5.5%減少していた。(既に準備高減が危惧されていた)1年前と比較しても、17.4%減の落ち込みである。昨年を振り返っても、金融当局による為替介入の効果は薄いだろうことは想像できる。逆に、リラ水準を無理やり上げたことで相場にただ売り場を与えるだけになってしまうかもしれない。

 

南アの経済が回復傾向にあることはランドの支え

先週発表された国際通貨基金(IMF)の世界経済見通しで、南アの成長見通しが2.8%から3.1%へ上方修正された。南ア準備銀行(SARB)は今年3.8%成長、財務相は3.3%成長と見込んでいる。また、世界銀行は3.0%予測で、国内より海外のほうが南アの回復にはまだ厳しい意見が多いが、徐々に南アが回復傾向にあることはランドの支えとなる。

 

メキシコの3月CPIは中銀のインフレ目標を5カ月ぶりに上回る

3月メキシコ消費者物価指数(CPI)は市場予想通りの結果となり、前年比では4.67%の上昇とメキシコ銀行(中央銀行)のインフレ目標(2.0-4.0%)上限を5カ月ぶりに上回った。一方、前回分(3月25日)の金融政策決定会合議事要旨では、同日の金利据え置きは一時的な措置であって緩和サイクルが終了したことを意味するものではないことが強調されている。インフレについても以前の予想より高くなる可能性を指摘しつつも、今後はコアインフレ率も含めて低下していくとの見方が堅持された。

 

米国VIX指数急低下はその後の短期株安が警戒される

米国株は昨年11月以降、1-3月期決算を含めた企業収益のV字回復を織り込む形で大幅高となっている。その意味で4月14日にかけて続く決算発表のシーズンでは、良好でも一旦の好材料出尽くしや最良期の先行きピークアウト懸念、悪ければ過剰期待の反動失望などにより、短期的な米株安が警戒される。しかも米国株市場では、リスク回避の尺度であり、米株投資家の不安心理を映すシカゴ・オプション取引所(CBOE) ボラティリティー(VIX)指数が、4月8日の終値で16.95となった。直近の日中最高である3月4日の31.90から大きく低下し、昨年2月以来、約14カ月ぶりの低水準となっている(リスク選好)。過去実績として『1年スパンのレンジ下限下抜け』となるようなVIX指数急低下は、その後に揺り戻し的なVIX上昇と短期株安が警戒されやすい。

 

欧米市場イベント

○16:00   2月トルコ経常収支(予想:25.0億ドルの赤字)
○16:00   2月トルコ失業率
○18:00   2月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比1.7%/前年比▲5.3%)
○21:00   2月インド鉱工業生産(予想:前年同月比▲3.0%)
○22:00   テンレイロ英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○13日00:30   米財務省、3年債入札
○13日02:00   米財務省、10年債入札
○13日03:00   3月米月次財政収支(予想:6580億ドルの赤字)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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