FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:見送りムード強く方向感を欠く展開

金融緩和政策の長期化が株価を下支えするとの期待が大きいものの、日米ともに企業の決算発表シーズンを控えて投資家の見送りムードが強かった。さらに、国内では東京都にもまん延防止等重点措置が適用されそうなことも株価の重石となった。材料難の状態が続き見送り気分が支配した。結局、前営業日比21円安の2万9708円と小幅反落して終了した。3月第5週の海外投資家は、2週間ぶりに895億円の買い越しとなった。

 

東京外国為替市場:日経平均株価の持ち直しからドルは下げ止まる

ドル/円は、仲値に向けて本邦輸出勢のドル売り・円買いが通常より多く持ち込まれ、109.70円付近へ下落した。日経平均株価の下げ幅が一時200円を超えたことも、リスク回避の円買いを誘った。午後も軟調地合いは続き109.64円付近まで値を下げた。しかし、今晩予定されているパウエル米FRB議長のパネルディスカッションを見極めたいとの雰囲気もあり、下げは一服した。その後は、日経平均株価の持ち直しを眺めたドル買い・円売りが入り、109.65円前後で取引された。ユーロ/ドルは、1.1870ドル台を中心とした狭いレンジで取引された。欧州勢待ちの様相となっている。

 

エルドアン大統領は金利引き下げ発言

エルドアン大統領の金利引き下げ発言を受けてトルコリラ売りが先行した。大統領は与党議員らに対し『政策金利は1桁台に下がる』と述べ、上昇傾向のインフレについても1桁台に押し下げる決意を表明した。一部通信社の調査によれば、15日のトルコ中銀金融政策決定会合では『政策金利の据え置き』が大方の予想とされているが、第2または第3四半期には金融緩和に転じるとの見方が多いようである。なお、来週13日から始まるラマダン(断食月)を控え、エルドアン大統領は行動制限の強化を再び表明した。大統領は、新型コロナウイルスの新規感染者数をラマダン後に数千人に抑えることができれば、5月に始まる観光シーズンを活性化させることができると述べている。現在、トルコの1日あたりの新規感染者数は5万人に迫る勢いであり、大統領の思惑通りの状況改善はかなり難しい。

 

南アの経済指標は比較的良好な結果

昨日発表された3月南ア商工会議所(SACCI)企業景況感は94.0となり前回の94.3よりも弱い結果となったが、概ね市場予想通りとなった。また、この結果で第1四半期の平均は94.3となり、昨年の第1四半期の91.6よりも高い結果となり、今年に入ってからの南アの経済指標は比較的良好なものが多い。本日、南ア国内から2月の製造業生産が発表されるが、市場の反応は限られる。ただし、先週発表されたPMIによると南アの製造業が好調なので、どのような数値が出るかを確かめておく必要がある。 

 

IMFによるメキシコの成長率予想:1月公表分より上方修正

国際通貨基金(IMF)が世界経済見通しを公表した。それによるとメキシコの2021年成長率予想は5.0%、2022年見通しは3.0%となっており、1月公表時点(2021年4.3%、2022年2.5%)からいずれも上方修正された。もっとも、IMFは中南米経済について新型コロナウイルスの感染やワクチン供給を巡る不透明感から回復はまちまちと予想しており、不確実性についての懸念も残っている状態である。

 

FOMC議事要旨ではハト派姿勢を確認:早期の金融引き締め兆候なし

米連邦準備制度理事会(FRB)は連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(3月16-17日分)を公表した。FRBはこの会合で市場の予想通り、ゼロ金利や資産購入プログラムの据え置きを決定。議事要旨でも、経済や雇用が依然、『望ましい水準をかなり下回る水準』で、緩和縮小の条件を満たすまでには『程遠い』との考えを繰り返し、速やかに緩和縮小する兆候は全く見られなかった。
景気判断で、刺激策やワクチン普及で、いくらかの楽観的兆候に言及し、回復ペースは加速したと言及した。累積需要が消費を押し上げる可能性を指摘するにとどまった。また、注目されていた長期金利の上昇に関しては、『利回りの上昇は経済見通しの改善を反映』と言及、金利上昇に対応する兆しも少しも見せなかった。FRBが当面緩和策を維持する可能性を再確認した。ただ、緩和策の長期化は、金融安定リスクにつながる。

 

米国の税制改革案を発表:15年間で275兆円の税収案

米国のバイデン政権は7日、企業課税を強化する税制改革案を発表した。企業の税負担などを減らし投資や景気の浮揚につなげてきたこれまでの政策を大きく転換するもので、各国にも法人税の引き下げ競争をやめるよう呼びかけている。(米国の法人税引き上げで国内から海外に企業が逃避してしまうため)
『メイド・イン・アメリカ税制』と名付けられた今回の改革案では、まず、トランプ前政権が21%まで下げた法人税率を28%に引き上げるほか、大企業が上げる利益についてはさらに課税を強化する。また、海外事業を行う企業の法人税にも最低税率を設定することや、国境を越えた税逃れ『租税回避』への罰則の強化も盛り込んだ。
米財務省は、この計画により15年間で日本円で275兆円の税収が見込めるとしている。(バイデン政権は最長でも8年間のため次期政権へ先延ばし)

 

米3月の財政赤字は半年ベースで過去最大の赤字額を見込む

来週発表される米3月の財政赤字では、2021会計年度(20年10月~21年9月)の5カ月ベースに続いて半年ベースでの過去最大の財政赤字が見込まれている。今後、『米国救済計画』(1.9兆ドル規模)や『米国雇用計画』(2.25兆ドル規模)の大規模な財政出動の財源は、増税と米国債増発によりファイナンスされることになる。法人税や所得税の増税は、企業収益や競争力、個人消費を悪化させて景気回復の足かせとなり、ドル安要因となる。非居住者による米国債投資を誘引するには、高い利回りかドル安によるドル建資産の割安感を示す必要があることから、バイデン米政権のドル安誘導への警戒感を高めることになる。

 

欧米市場イベント

○15:00   2月独製造業新規受注(予想:前月比1.2%/前年同月比5.3%)
○15:45   2月仏貿易収支
○15:45   2月仏経常収支
○17:30   3月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:54.6)
○18:00   2月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.6%/前年比1.4%)
○20:00   3月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.83%)
○20:30   欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨(3月11日分)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:68.0万件/365.0万人)
○24:00   ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
○9日01:00   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、国際通貨基金(IMF)・世界銀行春季会合のセミナーに参加
○9日03:00   カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
○20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議(最終日)
○IMF・世界銀行春季会合(テレビ会議、9日まで)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

カテゴリー

カレンダー

4月 2024
« 1月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ページの先頭へ