FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:手掛かり材料難から様子見ムード

日本株は前日に大幅下落となったことで値ごろ感から押し目買いを誘い自立反発して始まったものの、手掛かり材料難で売り買いともに手控えられ、前場中盤から日経平均株価は前日比変わらずの水準でもみ合う相場となった。世界経済の回復観測を背景に企業業績を上向くとみた買いが相場を支える一方で、国内での新型コロナウイルスの感染拡大が上値を抑えた。また、年度初めの益出しの売りも出た。結局、前営業日比34円高の2万9730円と小幅反発して終了した。信用評価損率は4月2日申し込み時点でマイナス7.59%と、前週のマイナス7.41%から、マイナス幅が0.18ポイント悪化した。悪化は2週連続となった。

 

東京外国為替市場:米長期金利低下でドルの上値が重い

ドル/円は、前日のNY時間に米長期金利が1.65%台まで低下したことで、日米金利差縮小を意識したドル売り・円買いが強まり、109.58円付近まで下落した。仲値にかけて国内輸出企業のドル売り・円買いも通常より多く観測された。ただ、心理的節目の109.50円に接近すると下げは一服した。その後は、値ごろ感からドルの押し目買いが入り、109.80円付近へ値を持ち直した。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、109.70円台を中心とした狭いレンジで取引された。NY時間に予定されているFRB当局者の講演やFOMC議事要旨を前に、様子ムードが広がった。ユーロ/ドルは、1.187ドル前後で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

クレディ・スイスの損失は5,200億円

スイス金融大手クレディ・スイス・グループは6日、米ヘッジファンドとの取引で44億スイスフラン(約5200億円)の損失が生じると発表した。米投資会社アルケゴス・キャピタル・マネジメントの運用失敗に伴う費用とみられる。クレディは3月に経営破綻した英グリーンシル・キャピタルとの取引でもファンド閉鎖に追い込まれた。リスク管理の甘さが露呈し、経営幹部が辞任する事態に発展している。

 

トルコのインフレ圧力の強まりへの懸念

5日に発表された3月トルコ生産者物価指数(PPI)は前年比で2年以上ぶりの高水準まで上昇した。トルコ中銀からPPI高騰によるインフレ圧力の強まりへの懸念が示された。なお、国際通貨基金(IMF)が公表した世界経済見通しでは、トルコの21年成長予測は6%と1月に上方修正された数値から横ばいだった。米JPモルガン銀行は昨日、トルコの年末インフレ予想をこれまでの11.2%から13.4%に上方修正した。現状のままではインフレ改善が見込めず、トルコ中銀の目指す年末9%台はかなり難しくなる。カブジュオール・新トルコ中銀総裁は実質金利プラスを維持すると述べていたが、高金利を嫌うエルドアン大統領のプレッシャーのもとでは更なる利上げに踏み切ることができるとも思えない。実質金利マイナスが現実味を帯びてくるようならば、トルコ国内のドル化の流れが加速する。

 

南アのGDP予測は上方修正:国際通貨基金見通し

昨日発表された国際通貨基金(IMF)の世界経済見通しで、今年の南アGDP予測は、1月に発表された2.8%から3.1%成長に上方修正され、2022年は2.0%成長と発表された。また、消費者物価指数(CPI)は今年は+4.3%、2022年は+4.5%となった。GDPは上方修正されているが、南ア準備銀行(SARB)は今年3.8%成長、財務相は3.3%成長と見込んでいる。また、世界銀行は3.0%予測で、国内より海外のほうが南アの回復にはまだ厳しい意見が多い。

 

顧客が米株を2週ぶり売り越し:B of Aセキュリティーズ

6日付けの顧客フローのリポートによると、同社の顧客は3月29日~4月1日の1週間に米国株を10億9300万ドル売り越した。2週ぶりの売り越しとなる。この週は2日のグッドフライデーの株式・商品市場の休場を控えて上値が重かったものの、米長期金利が1.67%台に低下したことで主力ハイテク株が強く、S&P500指数が数週間で1.14%高となって2週連続で上昇して史上最高値を更新した時だった。主体別動向では、ヘッジファンドが5億1500万ドルの売り越しで、2週ぶりの売り越しとなった。機関投資家は8億6900万ドルの売り越しで、4週連続の売り越しとなった。個人投資家は2億200万ドルの小幅買い越しで、6週連続の買い越しとなった。企業の自社株買いは7100万ドルで、決算発表シーズンを前に1億ドルを下回って低調だった。傾向として機関投資家やヘッジファンドの売りが響いた。リポートではグロース株の上昇投資信託(ETF)が売り越しになったことも着目していた。

 

半導体不足で車の生産が制限される事態

半導体不足が世界的にさらに深刻化し、さまざまな影響を起こしつつある。発端はトランプ米前政権による中国企業への制裁である。受託生産大手の中芯国際集成電路製造(SMIC)などが標的となり、台湾勢などに注文が集中した。対中制裁は中国企業を弱らせるだけでなく、世界的な半導体不足を招き、米自動車メーカーのフォード・モーターやゼネラル・モーターズ(GM)は生産削減に追い込まれた。半導体の生産に時間がかかることも不足の要因になっている。世界最大の中国の自動車市場の回復を受け、半導体不足で車の生産が制限される事態になっている。

 

米国市場では2月貿易収支が公表

1月実績は-682億ドルの赤字になった。2月については、欧州、アジア向けの輸出増加は期待できないこと、輸入額の減少は予想されていないことから、貿易赤字額は1月実績を上回る可能性がある。

 

欧米市場のイベント

○16:50   3月仏サービス部門購買担当者景気指数(PMI)改定値(予想:47.8)
○16:55   3月独サービス部門PMI改定値(予想:50.8)
○17:00   3月ユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想:48.8)
○17:30   3月英サービス部門PMI改定値(予想:56.8)
○未定   ポーランド中銀、政策金利発表(予想:0.10%で据え置き)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:30   2月カナダ貿易収支(予想:10.0億カナダドルの黒字)
○21:30   2月米貿易収支(予想:705億ドルの赤字)
○22:00   エバンズ米シカゴ連銀総裁、講演
○23:00   3月カナダIvey購買部協会景気指数(予想:60.5)
○23:30   EIA週間在庫統計
○24:00   カプラン米ダラス連銀総裁、パネルディスカッションに参加
○8日01:00   バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○8日02:00   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、討議に参加
○8日03:00   米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(3月16日-17日分)
○8日04:00   2月米消費者信用残高(予想:▲50億ドル)
○20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議(8日まで)
○国際通貨基金(IMF)・世界銀行春季会合(テレビ会議、9日まで)

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