FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:グロース系株買いで上昇幅拡大

前日の米国株式市場が上昇したことを好感し、朝方から上値を追う展開になった。物色の流れは、これまでのバリュー株中心の動きから、半導体関連株をはじめグロース系の銘柄にシフトし、再び値がさ株全体をリードする格好となった。結局、前営業日比465円高の2万9854円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:利益確定や持ち高調整のドル売り優勢

ドル/円は、前日に米長期金利が1.67%台へ低下したことで、日米金利差縮小を意識したドル売り・円買いが先行し、110.50円付近まで値を下げた。しかし、バイデン米政権が打ち出す大型インフラ投資計画への期待が高まっているため、下値を追う動きは限られた。その後は、国内輸入企業などがドル買い・円売りを持ち込み、110.65円付近へ値を戻した。午後は、今晩発表される3月雇用統計を控えて、利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いが入り、110.48円付近までじり安となった。ユーロ/ドルは、週末を控えて積極的な売り買いは目立たず、1.17ドル台後半で小幅な値動きに終始した。

 

3月日銀短観の企業想定為替レート

日銀が1日発表した3月短観(全国企業短期経済観測調査)で企業が想定する2021年度の円相場は1ドル106.07円だった。回答が集中した3月中旬は109円台の安値圏で推移していたが、20年度の見通し106.66円から0.6円ほどの円高を見込み、足元の円安進行を十分に織り込めていない企業が多いことが判明した。21年度の全産業の下期想定レートは106.10円、輸出企業は上期105.39円、下期105.36円を想定する。

 

トルコの信用リスクを示すCDSは高止まり

欧州序盤に発表された3月トルコ製造業PMIが52.6と前回51.7を上回ったことや、カブジュオール・トルコ中銀総裁が現状の金融政策を維持する意向を示したと伝わったことなどがリラの支えになった。また、トルコ中銀の新総裁が市場の緩和観測の打ち消しに走り回るなか、リラの下値を試す動きは小休止となる。昨日は中銀関係筋の話しとして、カブジュオール総裁が投資家に対し『現状のインフレ見通しのなかでは引き締め策が求められている』『時期尚早な利下げはしない』と述べたことが一部通信社から報じられた。ただ、信用リスクを示すクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)は高止まりしており、先行きの警戒感は15日の金融政策決定会合の結果を見極めるまではくすぶり続ける。気になるところでは、昨日トルコ中銀が発表した先月26日時点での外貨準備高(グロス、金保有高除く)が508.9億ドルと、前週からの減少幅が約30億ドル(約5.6%減)まで拡大したことである。

 

南アランド買いを促す2つの好結果

昨日は南アからランド買いを促す2つの好結果が発表された。1つ目はABSA製造表PMIだが、今年に入り1月から3月まで製造業PMIは全て上昇し、第1四半期が好調だったことを示している。PMIの中身も良く、輸出が好調だっただけでなく、国内需要も3月からロックダウンの規制が緩和されたことで好結果となった。唯一雇用指数のみ50を下回っているが、この指数も若干ながら改善されている。2つ目は南アフリカ歳入庁(SARS)が昨日発表した2020-21年会計年度の税収が1.25兆ランドとなったことである。新型コロナウイルス感染拡大前の当初目標は1.425兆ランドだったが、10月に1.112兆ランドに下方修正、2月の予算発表時に1.212兆ランドに若干上方修正をしたが、それよりも税収が多かったことになる。税収増は財政状況が悪い南アにとっては非常にポジティブな要因になる。

 

メキシコでは観光客の急増で感染拡大懸念

メキシコで世界有数の観光地とされるユカタン半島では、イースター休暇により観光客が急増しており、マスクを着用しないマナーの悪さが目立っていると現地メディアでは報じられている。新型コロナ感染拡大を危惧してメキシコ当局はユカタン州のマヤ遺跡をイースター休暇の間、閉鎖すると発表した。せっかく1月をピークに下り坂となっていた感染者数の増加がマナーの悪い観光客のせいで再び右肩上がりとならないかが懸念される。

 

法人増税では米共和党との審議は難航する見込み

バイデン大統領はインフラ投資の財源として望む法人税率21%の28%への引き上げの論拠は強い。法人税の約2割、年間700億ドルがタックスヘイブン(租税回避地)の優遇措置で徴収されず、米法人税の徴収額は僅かGDP比約1%相当に留まりOECD加盟国の平均3%を大きく下回る。さらに、キャピタルゲイン(売却益)税率を所得税と同率にする策も理に適うし、より累進的な相続税や高額所得者への所得税引き上げ(富裕層増税)が実現すれば、歳入はさらに増える。だが、こうした策はいずれも共和党には受け入れ難いものであり、上院共和党トップのマコネル院内総務はバイデン計画を『雇用を殺す』新税を仕組んだ『トロイの木馬』と冷淡だ。インフラ投資計画は法人増税で審議が難航、年内いっぱい時間を要する可能性が高い。

 

米国市場では3月雇用統計が公表

エコノミストの平均予想では、失業率は6.0%と2月の6.2%からさらに低下、非農業部門雇用者数は平均予想で65万人増と、2月の37.9万人増から伸びが拡大、10月来で最大の伸びが予想されている。コンファレンスボードが発表した3月消費者信頼感指数においても消費者が労働市場に一段と自信を強めたことも明らかになった。3月雇用統計では、100万人近くの雇用増予想もある。

 

欧米市場イベント

○15:45   2月仏財政収支
○21:30   3月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化64.7万人/失業率6.0%/平均時給、前月比0.1%/前年比4.5%)
○24:00   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○聖金曜日の祝日(グッドフライデー)でインド、ドイツ、スイス、フランス、スウェーデン、ノルウェー、南アフリカ、英国、カナダ、メキシコ、ブラジルなど休場。米国は株式・商品市場が休場、債券市場が短縮取引。
○4日 豪州、NZが冬時間に移行

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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