FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:短観改善を好感した買いも上値追いにはならず

名実ともに新年度入り相場となったが、米国株が堅調推移したことで、朝方から買い優勢の動きとなった。期末を意識した決算対策の売りも一巡したことで、新規資金への流入が期待された。また、寄り付き前に発表された3月日銀短観は、大企業・製造業の業行判断指数と非製造業が3期連続で改善となり、事前予想を上回ったことも好感された。午後からは底堅く推移したものの、積極的に上値を追うような展開にはならず、狭いレンジでの動きが続いた。結局、前営業日比210円高の2万9388円と反発して終了した。海外投資家の3月第4週では4週ぶりに3729億円の売り越しになった。

 

東京外国為替市場:急ピッチの円安に警戒感

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、110.83円まで上昇する場面があった。しかし、前日につけたおよそ1年ぶりの高値110.97円が意識され、追随する動きは見られなかった。その後は、急ピッチの上昇に対する警戒感から、利益確定や持ち高調整などのドル売り・円買いに押され、110.60円近辺へ値を下げた。午後もこの流れは続き、米長期金利の上昇一服を眺めてさらにドル売り・円買いが進み、110.57円まで下落した。しかし、今晩発表される米経済指標を見極めたいとの雰囲気もあり、下値を追う動きは限られた。その後は、バイデン米政権が打ち出す大型財政政策への期待からドル買いが入り、110円台後半でもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、1.17ドル台前半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

日銀短観は3期連続改善:製造業と非製造業では2極化の構図

3月短観によると、大企業・製造業の業況判断指数(DI)はプラス5、非製造業はマイナス1だった。ともに3期連続の改善となったものの、前回12月調査からの改善幅は製造業の方が大きく、2極化の構図が出ている。大企業・製造業の業況判断DIは、2019年9月以来の水準となった。大企業・非製造業の業況判断DIは、2020年3月以来の水準となった。事業計画の前提にっている想定為替レート(全規模・全産業)は、21年度のドル/円が106.07円、ユーロ/円が123.10円だった。ドル/円は20年度の106.66円に比べてやや円高、ユーロ/円は121.76円から円安の設定となっている。

 

トルコ新中銀総裁が利上げ出来るかに注目集まる

新たなトルコ中銀総裁の発言を信じるならば、今月15日に開催される金融政策決定会合での利下げは見送られることになる。『インフレ抑制のために断固たる姿勢で臨む』とする声明は変更される可能性はあるが、『物価が高止まりする中での金融緩和』という事態は避けられるかもしれない。 ただ、為替がリラ安に振れてしまったため、今後はインフレが更に上昇する懸念は高まっている。米ゴールドマン・サックスは、2月に15%台だったトルコ消費者物価指数(CPI、前年比)は4月には18%台まで上昇するとの見通しを示した。カブジュオール中銀総裁は実質金利もプラスを維持するとしていまる。しかしながら、エルドアン大統領の圧力の下で利上げはかなり難しく、そうなると実質金利におけるリラの魅力は一層後退することになる。

 

南アではイースター休暇後のロックダウン水準を注視

南アからは、ポジティブなニュースが少ないことは念頭に置いておく必要がある。イースター休暇(南アは4月2日休場)中は、厳格なロックダウンを行うことは辛うじて回避された。しかし、イースター中はアルコールはレストランやバーでの提供は許可されているが、小売りが販売することは禁止されることになった。南アでは感染第3波が急速に進んでいることもあり、今後の小売り業への影響が懸念されている。また、イースター後に感染第3波に対するロックダウンの水準引き上げの可能性もあることにも目を配っておく必要がある。

 

メキシコ政権では電力産業法で経済界との溝が深まる

メキシコ政権による国営企業保護の動きが顕著となっており、経済界との溝がますます深くなっている。エネルギー部門においては、国営電力公社CFEを優遇する内容が盛り込まれた電力産業法の改正案を可決させたことは記憶に新しいが、ガソリン供給を保障するために国営石油会社ペメックスを守ることを目的として、炭化水素法の改正案を議会に提出した。これは原油の輸出入や給油所の運営で民間企業の許認可を停止できるものとなっており、国営企業に有利に働くものであり、経済界からは大きな批判が出ている。

 

米国市場では2日に3月雇用統計が公表

エコノミストの平均予想では、失業率が6.0%と2月の6.2%からさらに低下すると予想、非農業部門雇用者数は平均予想で65万人増と、2月の37.9万人増から伸びが拡大すると見られている。先行指標の中で雇用統計との相関関係が最も強いとされる民間の雇用者数を示す3月ADP雇用統計は前月比+51.7万人と、9月以来の大幅な伸びとなった。コンファレンスボードが発表した3月消費者信頼感指数においても消費者が労働市場に一段と自信を強めたことも明らかになっている。ワクチン接種ペースの加速で、経済活動の再開も進んだため、週次失業保険申請件数も減少。パンデミックによる経済封鎖が開始された昨年3月以降で最小となった。継続受給者も引き続き減少基調にある。3月の雇用の増加に拍車がかかり、100万人近くの雇用増を予想するアナリストもいる。

◆市場エコノミスト予想失業率:6.0%(2月6.2%)非農業部門雇用者数:前月比+65万人(+37.9万人)民間部門雇用者数:前月比+63.8万人(+46.5万人)平均時給:予想:前月比+0.1%、前年比+4.5%(+0.2%、+5.3%) 

 

欧米市場イベント

○15:00   2月独小売売上高指数(予想:前月比2.0%/前年比▲6.3%)
○15:30   3月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.4%)
○15:30   2月スイス小売売上高
○16:00   3月トルコ製造業PMI
○16:30   3月スイスSVME購買部協会景気指数(予想:64.5)
○16:50   3月仏製造業PMI改定値(予想:58.8)
○16:55   3月独製造業PMI改定値(予想:66.6)
○17:00   3月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:62.4)
○17:30   3月英製造業PMI改定値(予想:57.9)
○20:30   3月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○21:30   2月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比▲1.4%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:68.0万件/377.5万人)
○22:45   3月米製造業PMI改定値(予想:59.2)
○23:00   3月米ISM製造業景気指数(予想:61.3)
○23:00   2月米建設支出(予想:前月比▲1.0%)
○2日01:00   10-12月期ロシア国内総生産(GDP、予想:前年比▲2.2%)
○2日02:00   ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
○2日03:00   3月ブラジル貿易収支(予想:31.00億ドルの黒字)
○ノルウェー、メキシコ(聖木曜日)、休場
〇石油輸出国機構(OPEC)など主要産油国の閣僚会合(テレビ会議)

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